38年前の1969年、そのころはベトナム戦争まっただ中で、ちょうど今のイラク・アフガン戦争と同じような背景でした。ジョンとヨーコは”ピースベッドイン”という世間を賑わすパーフォマンスで彼ら特流の平和活動をやっていました。
ある日、ジェリー・レビタンという名の14歳の男の子が、ちょうど”ピースイン”中のジョン・レノンとヨーコ・オノが泊まっているモントリオールのルームに忍び込みました。そして、彼らの会話をもとにつくられた短編アニメ映画「僕はセイウチに会った」は2008年度アカデミー賞のベスト短編アニメにノミネートされ、マンハッタン短編映画フェスティバルでは「最優秀アニメ賞」を獲得したのです。
以下は、その短編アニメ「I Met the Walrus」(僕はセイウチに会った)と訳です。もちろんこれは1967年にジョンが作曲した”I am the Walrus"にちなんでいます。
*************
1969年、14歳のジェリー・レビタンはテープレコーダーを持ってジョン・レノンをインタビューしようと、泊まっているホテルの部屋に忍び込んだ。
ジェリー:ジョン、あのー、聴かせて欲しいんですけど。あなたとアメリカの関係とか、アメリカへの入国問題について、どうなっているんですか?
ジョン:たくさんの人が僕がアメリカに来ることを良く思っていないんだ。僕がなにか暴力的な革命でも起こすと思っているようだが、そんなことはするはずがない。それに、平和運動もやって欲しくないようだ。平和運動は大きくなっているからね。戦争はビッグビジネスだよ。だから彼らは戦争が大好きだ。なんといっても戦争で彼らは太って喜ぶからね。僕は反戦だから、いつも蚊帳の外に置かれるのさ。でも、そのうち大丈夫になるよ。彼ら自身が平和に反対だって認めてるようなもんだからね。
ジェリー:ええと。僕たち若ものが何か手伝えることがありますか?
ジョン:自分自身のことをしっかりやってくれれば、それが僕を助けることになるんだよ。
戦闘的な革命家たちが言ってる革命の一つでも、それでどうなったか訊いてみるがいい。ロシアでもフランスでもどこでも同じさ。彼らがやることは破壊して、それをまた建てる。それを建てた人間たちがそれにしがみついて、支配者層になるんだ。君たちだって数年経てばその支配者層だ。部屋にいていろいろな機械があれば便利で楽だし、それをわざわざ壊すこともなくなる。大事なことは反抗することだよ。でも非暴力でだ。暴力が暴力を生む事は知っているだろう。やればやられるだけの話だ。それが宇宙の法則だよ。彼らには兵器もあるし、金もある。暴力でどう戦うかを知っているさ。なにしろ、何千年もそうやって僕らを抑え込んで来たんだからね。彼らが知らない唯一のものは非暴力、それとユーモアさ。
平和を広めるにはたくさんのやり方がある。平和のためだったら何でもやるんだよ。平和のためのオシッコだっていい。平和のためのスマイルだっていい。平和のために学校行くのも、また行かないのもいい。なんでもいいから平和のためにやるんだ。
人々次第だ。あいつらがこうしてるんだとか、われわれを戦争に巻き込もうとしてるとか言って、政府の所為には出来ない。僕らがそうさせてるんだよ。もし本当に変えようと思ったら出来るんだ。僕らに出来るんだよ。
ジェリー:ポールやリンゴ、ジョージはどうなんですか?
ジョン:僕ら4人はみなそれぞれの道を行ってるんだ。ジョージには彼自身の生き方があって、そのままに生きている。
通りに出て平和をよこせと叫んで、仲間たちをやっつけるなんてのはよくない。
いいかい、目を覚ます事だよ。でも非暴力でなければいけないんだ。
それはなかなか難しいんだ。なぜなら、僕らは内側では暴力的だからださ。誰でも心の奥にヒットラーがいる。誰でもこころの奥にキリストがいる。だからさ、自分のちょっとでもいいなあと思うところをやっていくんだよ。
ジェリー:あの、新聞で読んだんですが、ジョージは素晴らしいギタリストだなんて皆感じてるようだけど、僕はちょっと違うなあという感じなんです。どうも外れてるんじゃないかと。ビートルズは神のような存在で、彼はいまでもそのシンボルなんですが。でも、学校でどんなバンドが好きかいと訊くと、ビージーズだなんて言うんです。それで、どうしてビートルズじゃないんだい。かれらはすごいじゃないか、と言うと、みんなは、例えば、マリワナ容疑とかヒッピーだとかアメリカから追われて、汚いとか言うんだ。
ジョン:ああ、堅物のださい連中のようだね。パパとママの袖の下から出たばっかりなんだよ。
ジェリー:そうですね。かれらはロボットみたいです。あなたの曲をずっと聴いていて、なにかメッセージがあるんだと感じるんです。
ジョン:ミュージックは、なんでもどんなレベルでもそこにメッセージがあるんだよ。君がどのレベルで感じているにしてもだ、僕がそれを書いて歌っているときにはそれを感じていたんだ。でも、自分で書いて、録音して、演奏した曲をしばらく聴かないでいて、数ヶ月たって、寝転がっているときに、そんなときにビートルズのアルバムを聴くんだ。なるべく客観的にだ。すると、それはあらゆることについて言ってるんだと分かるんだよ。
うん、それはイギリスのこと。USSRのこと。無のこと。USAのことだ。そこに聞こえるすべてがある。分かるかい、すべてがそこにあるんだ。ちょうど花と同じだ。そこにすべてある。あるがままだ。じっと見ていればやがて答えがすべてそこにあることが分かる。音楽も同じさ。
(大きな箱の鍵かい?知らないねえ。どこにあるんだか・・・)
はじめまして。玄さん。
返信削除遅ればせながらこの動画を見させて頂きました。
ジョンレノンに関してはかなり詳しいと思っていたのですが、ジョンの平和運動的な事に関してはあまり興味が湧かなく、そんなに深いものではないだろうという先入観でスルーしていました。世間から奇人変人扱いだったし自分もあまりジョンのイメージを壊したくないなーって思って。自由人だから、みたいに思ってそういう活動に関してはご愛嬌みたいに思ってたんです。思い付きでやってる薄っぺらいものだろうけど、僕の大好きなジョンだからok、みたいな。
今回インタビューを聞いて認識が全く変わりました。本当に深い考えがあってやってたんですね。大好きだったけど全然知りませんでした。すごい事を言ってると思いました。
ビートルズ時代のレボリューションという歌は、今まではシニカルな歌だと思ってたんですが、あれはそのまま歌詞どうりのストレートな歌だったのかと思いました。ストレートに平和とか言うと奇人変人扱いされてしまう雰囲気の中で育ったためにそうやってすぐシニカルに捉えて身を守ろうとするようになってたんだなあと思います。平和とかはものすごいダサイ事という圧力がすごかったと思います。
このような作品を紹介して下さってどうもありがとうございました。2008年の賞をとったとの事ですが、全然知りませんでした。
あと、one love の動画も見ました。あれは動画も良かったですが、出て来るミュージシャンの人達の演奏のレベルが尋常じゃなく高かったですね。一人も知りませんでしたがおそらくみんな有名な人なんでしょうね。何十年も一つの楽器を引き続けて来た人なんだろうなと思えるすばらしい演奏ばかりでした。こういう動画ですからコンセプトがメインなのでしょうが、すごい演奏が続々で、そっちにも驚きました。
いつもマシュー君のメッセージを翻訳して下さってありがとうございます。心からお礼を申し上げます。今までは一歩引いた所から真偽を確かめようと分析してた感じだったように思いますが、マシュー君の特に最近のメッセージを読んで何かこう実際にコミットして行こう、もうその時期だと感じてそういうように行動しております。
光を吸収するにはただ神聖な生き方をすればいい。それだけなんですよね。嬉しいなあ、これは。僕も参加しよう。コミットしようと嬉しくなりました。