水曜日, 2月 24, 2010

イラク戦争の検証

近代の戦争は自然に始まるものでも、他国を支配しようという恣意的な魂胆から始まるものでもありません。軍隊はあくまで防衛のための国家の一組織であって、自ら軍隊が危険を犯して勝手に他国を侵略することはまずあり得ません。

国家間での戦争が勃発するためには、そこに開戦の理由、いわゆる”大義”が必要です。どんなに政治的権力者たちが、そのような他国を支配しようという欲望を抱いたとしても、じっさいに命をかけて戦線に参加するのは普通の兵士であり、あるいは本人の意思に反して徴兵される若い青年たちです。そのような普通の人びとを戦争に駆り立て、”人を殺せるマシン”に仕立てることは容易なことではありません。そこで”戦争の大義”が出てくるのです。

始めに言ったように、戦争はなにもないところで自然に勃発することはないのですから、戦争を欲するどちらかの国(政治的権力者たち)が始める理由、”大義”を創造することになります。その最も効果的で、国民を奮い立たせ、否が応でも開戦に賛成せざるを得ない国民的雰囲気を引き出すものが、国家の危機という根拠です。つまり、他国による攻撃の可能性がある、あるいは攻撃されたので、国家とその国民の安全保障のために、”自己防衛”という理由から宣戦布告をすることです。そこには、相手(敵国)から攻撃される、あるいはされたという状況をつくる”やらせ”が必ず存在します。

過去の戦争がどうやって始まったかその裏の歴史を見ればそれは如実に示されています。日本と中国との日中戦争(1937~1945年)はそれ以前の満州事変と盧溝橋事件から始まりましたが、いずれも日本軍の”やらせ”がその発端になっています。太平洋戦争も、開戦時当時のアメリカ政府首脳は日本帝国太平洋艦隊の真珠湾奇襲を数ヶ月前から事前に知っていながら、わざと自国艦隊と兵士たちを犠牲にさせて対日宣戦布告に踏み切ることができたことは衆知の事実です。当時のアメリカは戦争などやりたくないという厭戦気分が一般的雰囲気だったのですが、日本軍の”卑劣な”真珠湾奇襲攻撃で国民感情は一夜にして参戦賛成に変わりました。ベトナム戦争のきっかけになったトンキン湾事件も米戦艦による”秘密工作作戦”ですし、第一次湾岸戦争のときも、アメリカ国民をイラクに対する怒りに駆り立てたのは、クウェートに進攻したイラク兵たちが保育器に入っている赤ん坊を床に投げ捨てていたというアメリカのクウェート大使の娘の”嘘の証言”でした。

トニー・ブレアのJPG

さて、今でも続いているアフガン・イラク戦争の根拠を改めて問い直そうという動きが昨年からヨーロッパを中心に起こっています。すでにご存知の方も多いと思いますが、オランダ政府の独立調査委員会はこの1月、イラク侵攻は「国際法上の合法性を欠く」として、同政府の参戦決定は違法だと結論づけました。また、イギリス議会もイラク戦争独立調査委員会を設けて、すでに公聴会でブレア元首相などイラク戦争遂行当事者たちを喚問しています。

日本でも、1月に民主党の斎藤つよし衆議院議員たちを含む与党3党の議員たちが中心になって、イラク戦争を支持し、自衛隊を派遣する決定をした当時の小泉内閣の判断を検証すべきだとして独立調査委員会の設置を求める動きを始めています。

朝日新聞は一昨日(22日)の「イラク戦争検証/日本も国家の責務として」と題する社説で、”戦争にかかわったなら、後でその政策決定に至る過程をきちんと分析し、是非を判断する。それは国家としての責務ではないか。ましてや、間違った戦争となればなおさらである。”とまったく当たり前の意見を述べています。ただ”間違った戦争”と言うのであれば、”正しい戦争”などあり得るのかという議論にもなります。詭弁のように聞こえるかもしれませんが、“正しい戦争”という大義で、これまでどの国民も悲惨な目に遭わされているからです。私たちは憲法で”国際紛争を解決する手段として戦争を放棄”した栄誉ある国民です。

そして、市民レベルではジャーナリストで「イラク戦争何だったの!?―イラク戦争の検証を求めるネットワーク」事務局長の志葉玲さんが「みんなで永田町を動かそう!! ロビイング代行アクション」を呼びかけています。それには、「有志の国会議員達が、「イラク戦争の検証」を鳩山内閣に求める、議員署名を始めました。そこで、当ネットワークも「みんなで永田町を動かそう!! ロビイング代行アクション~ みなさんの声を国会に届けます!~」と題し、国会議員へのキャンペーンを行います。」と市民からのさまざまなアクションを呼びかけています。

いまのところイラク戦争検証の焦点は、イラク戦争の”大義”とされたフセイン政権が大量破壊兵器を開発・保有していたという情報の”間違い”に気づいていたにもかかわらず戦争を始めたこと、そして9・11同時多発テロ事件を実行したとされるアルカイダとフセイン政権のつながりがなかったことです。

でも、そもそもの発端は、”これは報復戦争だ”とブッシュ大統領が直後に宣言した9・11事件です。

そして、私たちが9・11事件の真相にこだわるのは、それが”やらせ”つまり内部犯行であることを示すたくさんの証拠やアメリカ政府の9・11合同調査委員会報告書のいわゆる”政府説”の内容が矛盾だらけという根拠ある指摘がなされているのにもかかわらず、いまだにアルカイダによる犯行という、アメリカ政府自身も否定している主張を持ち出して、アフガニスタンとイラクとの戦争が正当化されているからです。一昨日の朝日新聞の社説でも、情けなく残念なことに、”「9・11」テロを実行したアルカイダ”などと書いているのですから、いかにマスコミがいまだに”9・11呪縛”から逃れられていないか分かります。

イラク戦争の検証が始まったことは大いに歓迎しますが、その責任追求が当時の戦争加担者である政治家たちだけに終わるのであれば、トカゲの尻尾をつかんだだけのことでしょう。彼らは、いわゆる操り人形にすぎないからです。その背後で戦争をもてあそび巨利を貪るためには平気で罪のない人々を犠牲にする陰の存在とその腐敗した構造を明らかにさせないかぎりこれからも戦争はなくならないでしょう。そのためにこそ9・11の真相解明はもっとも影響力を持つ鍵なのです。

5 件のコメント:

  1. はじめまして。まえから、記事を楽しく読ませていただいています。
    わたしも、このことについて、きくちゆみサンのブログをかってにリンクさせていただき、おそまつながら、記事にさせてもらいました。。(ゆみさン最近記事を更新なさっていないので、ことわっていなかったのですが、この場で、断らせていただきます。(笑)
    http://lazytown.exblog.jp/10723211/

    玄さんと、ゆみサンの記事いつも、たのしみにしています。
    これからも、玄さんと、ゆみサンの活動をかげながら、応援させてもらいます!!

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  2. テレビニュースが報道:9・11WTCビル倒壊は飛行機の衝突によるものではない

    http://www.youtube.com/watch?v=7YiOXG9IhgQ&feature=digest

    http://www.asyura2.com/10/warb3/msg/310.html

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  3. なるほど、納得です。「911」にこだわりつづける理由がよくわかりました。

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  4. いつもマシュー君のメッセージの翻訳ありがとうございます。
    先日友人に借りたホ・オポノポノの講演DVDの通訳がご夫妻でした。素晴らしい英語力に脱帽です。

    さて、今回の記事に関してひとつ意見を言わせて頂いていいですか。

    以前から気にはなっていたのですが、玄さんは未だに東京裁判史観に洗脳されたままなのが残念です。
    過去の中国やアメリカとの戦争はもうかなり真相は解明されていますので、お時間のある時に図書館ででもお勉強なさって下さい。そしたら日本のやらせとか’卑劣な’とかは言えなくなると思います。
    戦後も日本が両国との情報戦に負け続けているのは残念です。特に朝日新聞の貢献には涙が出ます。

    勿論私も心から平和を願っていますから、日本が再び同じ手にのって戦争をするような事があってはならないと思います。

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  5. マシュー君の記事など読んで、以前から疑問に思っていたことがあります。

    それは、例えばイルミナティという組織のトップにいるような人々は、スピリチュアルやオカルト的な視点を持っているのだろうか、という疑問です。

    つまり、彼らは、自分がネガティブな波動の元で、それに親しみ、それを増幅して世界に広げる役割を担っている、と認識しているのかどうか。

    知っていて、他者を道連れにしたいと考えているのでしょうか?
    知らずに、ただ波動の法則にのっとって、ネガティブな行動を取っているのでしょうか?
    それとも、ある種の宗教のように、ネガティブでありながらポジティブであるかのように、自分自身に嘘をついているのか。

    子ブッシュが大統領に就任したとき、彼が大学時代に、オカルトを思わせる秘密クラブに入っていた、という話題がTVで出ましたね。
    彼だけでなく、他の大統領経験者や、政財界のお偉方も、会員であることが報じられていました。

    それを思い出して、このような疑問を考えるようになりました。

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