1999年9月23日、サウスカロライナのサイテイダル防衛大学で、当時テキサス州知事のジョージ・W・ブッシュは彼のアメリカの計画について講演しました。そのブッシュの話には、アメリカ新世紀プロジェクト(PNAC)の考えがはっきりと反映されていました。
アメリカ新世紀プロジェクト(PNAC)というシンクタンクは、今の共和党大統領候補ジョン・マケイン上院議員が中心になって1997年に創設されたネオコングループです。
ブッシュの講演は、PNACが2000年9月に出した「アメリカ軍備再編:新世紀への戦略、軍事力および予算」報告書の内容そのままでした。PNACは、ジョージ・ブッシュ(父)政権の末期に、当時のディック・チェイニー長官が卒いる国防省によって、1992年度国防政策ガイダンスの中で概説された防衛戦略に基づいています。
ウォルフォウィッツ報告書としても知られるこのガイダンスは、ライバルとなるような大国の出現を妨げて、アメリカの覇権を維持することで、”アメリカの基本方針と利権に沿った国際的安全保障を形成するための青写真”になりました。しかし、このガイダンスが正式に認可される前に、ニューヨークタイムズとワシントンポストにその内容が漏れてしまいました。そして、ソ連が崩壊したのにもかかわらず、大きな軍事費を維持させようという冷戦時の軍人たちのもくろみだと批判され、クリントン政権によって葬られました。PNACはこのチェイニーの一度死んだ計画を再生させようと作られたシンクタンク組織です。
ブッシュはサイテイダル防衛大学の講演でこう言っています。「もし大統領に選ばれたら、3つの目標をおきます。まず大統領と軍との信頼を回復します。アメリカ国民をミサイルとテロから守ります。そして次世紀の軍を作り始めます」、そして「私が選ばれても、できた新しい軍を統率することにはならないでしょう。それは私の次の大統領がやることになるでしょう。私たちの仕事の結果を見るのには何年も掛かると思います」。
明らかに、PNACの目的を遂行するためには、ブッシュの後継者はその目的に忠実でなければなりません。その人間は、クリントンのように、異なる考えを持っていてはまずいからです。今のところ、この条件を満たす候補者はジョン・マケインだけです・・彼は、前述したように、PNACの主な創始者でした。それに加えて、彼の選挙対策担当者たちとマケイン政権のメンバーとなるべき人間たちは、ほとんどが元PNAC幹部と協賛者たちで成り立っています。それには、ウィリアム・クリストル(ネオコン知識人のひとり、元PNAC議長、現在マケイン候補の外交政策アドバイザー)、ロバート・ケイガン(PNACの創始者のひとり、現在マケイン候補の外交政策アドバイザー)、ランディ・シューンマン(ロビイスト、PNACのメンバー)、ジェームズ・ウールズィ(元CIA長官)、ジョン・ボルトン(元米国連大使)、リチャード・アーミテージ(元軍人、元国務副長官)などがいます。
ここで2つの重要なことが考えられます。まず、ブッシュ/PNAC政権にとって、この選挙は10年越しの計画とその実施が掛かっていること。第二に、マケインが大統領になれば、ブッシュ/PNACの軍拡路線が確実にまた4年間引き継がれるということです。
ブッシュ大統領はイラクを”悪の枢軸”と呼びましたが、レーガン元大統領は旧ソ連を”悪の帝国”と呼んでいました。冷戦という緊張関係を保って来た2大超大国のひとつのソ連が1991年に崩壊してしまうと、アメリカ帝国の建設を夢見るタカ派保守陣営は、”帝国”という言葉を避けて、パクス・アメリカーナ(米国支配による平和)建設のために、アメリカはそのパワーを行使すべきだと公言するようになりました。
その中心にいたのが、チェイニー副大統領やドナルド・ラムズフェルド元国防長官を含むネオコンたちです。
しかし、世界は冷戦後の平和を享受しようという雰囲気が行き渡り、軍備縮小・軍事費削減が叫ばれていました。ネオコンたちは、それに危機感を抱いていました。
それで、PNACは2000年9月に出した「アメリカ軍備再編」という文書の中でこう述べています。「この軍再編にはたぶん時間が掛かるであろう。しかし、なにか破滅的な触媒となる誘発的な事件、新しい真珠湾攻撃のような、が起きれば別である」。
それまで参戦に80%が反対だった国民の心理を180度ひっくり返して、一夜のうちに100万人が兵に応募するきっかけになった、日本軍の真珠湾奇襲攻撃のことを言っていることは明らかです。
ネオコンたちが夢見る”パクス・アメリカーナ”というアメリカ帝国建設に必要な軍事的戦略を押し進めるには、同じような破壊的な事件が起こることが必要であろうということです。
そして、案の定、ブッシュ・チェイニー政権ができてまもなく、9・11が起きると、それは”ニューパールハーバー(新しい真珠湾攻撃)”と広くよばれるようになったのです。
今,そうですね、昨夜は神戸で、今日は大阪で講演している来日中のデヴィッド・レイ・グリフィン博士は、早くからこのネオコングループの”陰謀”を見抜き、その呼び名をとって、2004年にベストセラーとなった「ニューパールハーバー(邦題:9・11は謀略か)」を書いたのです。ベストセラーになれば、当然主要マスコミに書評がでるのが通常ですが、今だに、ひとつも取り上げたマスコミはありません。不思議ですね。
明日は、グリフィン博士は名古屋で、明後日3日は東京での9・11真相究明国際会議で講演です。前売り券(5,000円)は明日まで、サンクスかファミリーマートのコンビニのチケットぴあで購入できますので、この際ぜひ博士の理路整然とした反論の余地のない話を聴いてください。
(この文章の一部はTRUTHOUT/OCT30からの抜粋です)
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