木曜日, 5月 13, 2010

米軍普天間基地の移設問題

沖縄の米軍「普天間基地」移設問題は、いよいよ暗礁に乗り上げた様相を呈して、マスコミは指針が定まらない鳩山政権の無能ぶりに、厳しい批判を連日浴びせていますね。

私は、以前にも述べましたが、今回の基地移転問題は戦後の日米軍事同盟のあり方を日本国民があらためて問い直す絶好の機会ではないかと思っています。確かに、全国各地に米軍基地は散在していますが、私たちがそのほとんど(70%)を沖縄に押し付け、沖縄の人々を米軍の戦略下に翻弄させて見て見ぬふりをしてきたことは事実です。

戦争を放棄した平和憲法を有する独立国に外国軍隊が何万人も常駐し、連日軍事訓練を行い、しかも地元民のほとんどがそれに反対している状態は”異常”なことです。その異常さ(欺瞞)に私たちが気づく必要があるのです。

歴代政府と主要マスコミは、あたかも日本の安全保障のためにはアメリカ軍の存在が必須であるかのような主張を一貫して繰り返してきましたが、果たしてそうでしょうか。もし、アメリカ軍基地がなくなったら、仮想敵国とされる中国や北朝鮮が日本に攻めて来ると本当に彼らは信じているのでしょうか。もしかしたら、その人たちはそう信じたいのでしょう。

チャルマーズ・ジョンソン元カリフォルニア大学政治学教授は、著名な日本や中国の政治研究家で、アメリカと東洋とのバランスある視点に立った国際政治に関する考察は常に真の平和を希求する態度で貫かれています。5月6日にロスアンゼルスタイムズ紙に投稿した文章「もう一つの沖縄戦」で、彼は次のように書いています。

米国は第二次大戦以来世界130ヶ国に700あまりの基地を作ってきたのだが、沖縄の基地ほど悲しい歴史を持つものはまれであろう。」

第二次大戦での沖縄戦では、多数の沖縄市民が本土決戦のための犠牲にされ、敗戦後、今度はアメリカの軍事基地にされるという悲しい歴史です。

昨年、鳩山由紀夫氏が日本の総理大臣となったが、彼の率いる民主党は普天間の返還と海兵隊員の沖縄からの完全な撤退を米国に求めるという公約によって選挙 に勝ったようなものであった。しかし鳩山首相は今月4日、沖縄を訪れ、県民に対し深く頭を下げて米国の要求を呑むように頼んだのだ。・・・鳩山首相の態度は臆病で卑劣だと思うが、日本をこのような屈辱的な袋小路に追い込んだ米国政府の傲慢さの方が更に遺憾である。 米国はその軍事基地の帝国を保持することで頭が一杯になってしまったようだが、我々にはもはやそんな資金もないし、基地の「受け入れ国」の多くがますます反対の声を大きくしてきている。米国は高慢さを改め、普天間基地を米国本土の基地(私の家の近所にあるキャンプ・ペンドルトンなど)に戻し、65年間も耐えてきた沖縄の人々に感謝するべきであろう。」

現代は地球のどこにでもボタンひとつでミサイルを打ち込めるハイテク戦争の時代です。米ソ冷戦時代からの基地など実際はすでに無用の長物になっているのです。それを知っているのがアメリカ軍の当事者です。ただ、それを認めたくないだけです。まして、アメリカは世界に800カ所、総計50万人と言われる軍関係者を毎日養っているだけでなく、戦争までやっているのです。

また彼は、最近ある雑誌社のインタビューにこう答えています。

沖縄では少女暴行事件の後も米兵による犯罪が繰り返されているが、米国はこの問題に本気で取り組もうとしていない。日本の政府や国民はなぜそれを容認し、米国側に寛大な態度を取り続けているのか理解できない。おそらく日本にとってもそれが最も簡単な方法だと考えているからであろう。

実を言えば、米国には普天間飛行場は必要なく、無条件で閉鎖すべきだ。在日米軍はすでに嘉手納、岩国、横須賀など広大な基地を多く持ち、これで十分である。・・・・しかし、普天間基地が長い間存在している最大の理由は米軍の内輪の事情、つまり普天間の海兵隊航空団と嘉手納の空軍航空団の縄張り争いだ。すべては米国の膨大な防衛予算を正当化し、軍需産業に利益をもたらすためなのだ。」

「米軍基地は世界中に存在するが、こういう状況を容認しているのは日本だけであろう。もし他国で、たとえばフランスなどで米国が同じことをしたら、暴動が起こるだろう。日本は常に受身的で日米間に波風を立てることを恐れ、基地問題でも積極的に発言しようとしない。民主党政権下で、米国に対して強く言えるようになることを期待する。」

「日本にはすでに十分すぎる米軍基地があり、他国から攻撃を受ける恐れはない。もし中国が日本を攻撃すれば、それは中国にこれ以上ない悲劇的結果をもたらすだろう。中国に関するあらゆる情報を分析すれば、中国は自ら戦争を起こす意思はないことがわかる。中国の脅威などは存在しない。それは国防総省や軍関係者などが年間1兆ドル以上の安全保障関連予算を正当化するために作り出したプロパガンダである。過去60年間をみても、中国の脅威などは現実に存在しなかった。」

「北朝鮮は攻撃の意思はあるかもしれないが、それは「自殺行為」になることもわかっていると思うので、懸念の必要はない。確かに北朝鮮の戦闘的で挑発的な行動がよく報道されるが、これはメディアが冷戦時代の古い発想から抜け出せずにうまく利用されている側面もある。一般の米国人は日本を守るために米国がどんな軍事力を持つべきかなどほとんど関心がないし、そもそも米国がなぜ日本を守らなければならないのか疑問に思っている。世界で2番目に豊かな国がなぜこれほど米国に頼らなければならないのか理解できない。それは日本人があまりに米国に従順で、イージーゴーイング(困難を避けて安易な方法を取る)だからではないか。」

そろそろ私たちは自分自身の考えで、物事を常識で捉え、判断することをしないと、またあの悲惨な歴史を繰り返すことになりはしないでしょうか。

9 件のコメント:

  1. 突然失礼します
    ミクシーのマイミクさんのつぶやきから
    ここに参りました

    私もこの問題について玄さんと同じように
    感じています

    ただ世間は鳩山政権を非難ばかりして
    いますが彼だけが悪いわけじゃない

    今までのひずみを彼が一気に背負った形に
    なってると思います

    どうかこの問題がいい方向に解決に向かい
    ますように、、、ただお祈りするばかりです

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  2. 初めまして。ツイッターから来ました。

    記事を読み、このことは広く知られるべきだと思いました。

    出典を明記いたしますので、ツイッターで引用指せて頂いてよろしいでしょうか?

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  3. うぐいすさんへ

    どうぞご自由に。

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  4. 私は、移設先で話題になっている辺野古に行きました。そこのリーダーの人とも交流をしました。玄さんは、ハワイでJALのリゾート開発を阻止する運動に携わったことがあるとか。

    同じというか、もっとひどい事態といっていいでしょう。

    よろしければ、私の記事をお読み下さい。
    http://masagata.exblog.jp/13202470/

    http://www.janjannews.jp/archives/2968070.html

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  5. ◆東京でなくジャカルタが憂慮する

     (jbpress 2010/5/20)-抜粋

     http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/3525


     このたび中国海軍が見せた行動について、最も詳報を伝えたのが我が国メ

    ディアではなく、「ミリタリー・バランス」の発刊で有名なロンドンのシン

    クタンクが出すニューズレターだったというのも、つくづく考えさせる話だ。


     それによると南シナ海では最近ベトナムと中国がとみに緊張を激化、漁業

    権を争点として中国側が大型パトロール船を南シナ海に繰り出す一幕があっ

    た。これにはなんと202隻(!)もの警備艇が随伴したらしい。


     宮古海峡を抜け太平洋に出た中国艦隊は、実弾発射訓練やら対潜戦闘演習

    やらを随所で繰り返した後、バシー海峡を通って南シナ海へ入り、実効支配

    下に置く環礁に寄港した後、マラッカ海峡近辺まで足を伸ばす露骨な示威行

    為をしたという。


     これを知り憂慮するのも、東京の言論空間でなく、インドネシアのメディ

    アである。インドネシアのジャカルタ・グローブ紙は5月2日、「竜が、南

    シナ海パワープレイで頭をもたげる」と題した論評を次のように結んだ。


     「南シナ海はこのままいくと『中国の池』になってしまう可能性がある。

    これを防ごうと、アジアの国々には米国との関係改善に乗り出すところが現

    れた。それはなにもインドネシアやインドばかりではない。まさにそんな時、

    日本はというと沖縄から基地を取り除きたいあまり、米国との絆を掘り崩し

    つつある。皮肉と言うほかない」

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  6. ◆中国、グアム米軍基地を攻撃可能な爆撃機を開発中

     (産経 2010/5/21)

     http://sankei.jp.msn.com/world/america/100521/amr1005211839007-n1.htm


     【ワシントン=古森義久】米国議会の政策諮問機関「米中経済安保調査委

    員会」が20日に開いた中国の航空宇宙軍事能力に関する公聴会で、米空軍

    高官は中国軍がグアム島の米軍基地を直撃できる長距離爆撃機を開発中であ

    ることや、福建省周辺に配備した1千基以上の弾道ミサイルで台湾や日本を

    含む西太平洋の全域を攻撃可能にしていることを明らかにした。


     公聴会で米空軍のブルース・レムキン次官代理とウェイン・ウルマン中国

    問題部長は、中国空軍が(1)西太平洋で制空権を持つ米軍の拠点としての

    グアム島を航空機で攻撃する能力は現在は限られているが、現有のB6爆撃

    機の長距離改良型を開発しており、この改良型は搭載の空対地巡航ミサイル

    でグアム島の米軍基地を攻撃できる(2)国産戦闘機の開発を本格的に進め

    ており、次世代(第五世代)の戦闘機は2018年には実戦配備できる見通

    しだ-などと証言した。


     さらに中国軍は遠距離攻撃の手段としてミサイルにも依存しているとして、

    「中国南東部(福建省周辺)に短距離と中距離の弾道ミサイル1000基以

    上をすでに配備したが、その弾頭は空港滑走路破壊用、敵レーダー攻撃用、

    対艦攻撃用など多様であり、巡航ミサイルと合わせれば、西太平洋地域のほ

    ぼいかなる目標をも攻撃できる態勢にある」と証言した。


     この「西太平洋地域」には台湾、日本、グアム島などが含まれており、レ

    ムキン氏らは中国側の有事の攻撃目標としてその地域内の「空港、港湾、船

    舶、軍事基地、軍司令部、産業・経済の中枢」などをあげた。

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  7. 国際政策コラム<よむ地球きる世界>No.133
        by 大礒正美(国際政治学者、シンクタンク大礒事務所代表)

    平成22年5月22日

              抑止力よりもっと根本的な理解を

     地球儀をくるっと回すと、世界には天然自然の「要衝」(ようしょう)が幾つかあることに気づくはずだ。ずぶの素人でも分かる地理上の現実なのだが、要衝にはひとつの顕著な特異性があるということに気づいている人は少ない。

     実はそういう地点の地域住民や統治する政府の思い通りにならないのが、要衝の要衝たるゆえんなのである。

     いちばんわかりやすい例はスエズ運河とパナマ運河(共に開通前は地峡)であろう。もし管理する政府が突然、「運河など要らない。埋め立てて農地にする」とか、「平和憲法ができたから軍艦は一切通さない」などと某社民党党首が言いそうなことを宣言したらどうなるだろうか。

     断言してもいいが、直ちにNATO(北大西洋条約機構)や米軍が空挺部隊を送り込み、運河全体を軍事占領してしまうだろう。

     国連加盟国に対する領土侵犯だとか、主権の侵害だとか抗議しても始まらない。いくら国際法違反を言い立てても、こういう場合は全く意味がないのである。

     そんな無法はあり得ないという人は、更に英領ジブラルタルの例を知るべきだろう。地中海と大西洋を結ぶ狭い海峡の北側の一角を、英国が約3百年前にスペインから奪い、いまだに海外領土として海軍部隊を駐留させている。

     地続きのスペインは返せと訴え続けているが、英国は知らん顔だ。同じNATO同盟国同士でも、国の安全に関わることは譲歩し得ない。繁栄する香港を手放しても人口3万人足らずの岩山でしかないジブラルタルは返さない。要衝だからだ。

     もうお分かりだろうが、沖縄も要衝の1つであり、しかもその世界的重要度は上記3地点に優るとも劣らない。

     ひとくちで言うと、「沖縄を制する者は東アジア・西太平洋を制す」。

     決して誇張ではない。そもそも幕末にペリー提督が黒船艦隊で日本に開国を迫った際、彼らはまず沖縄に上陸し武力で威圧した(1853年、54年)。その後アメリカが分裂して南北戦争を足かけ5年(1861-65)も戦ったため、日本は旧体制を清算する時間稼ぎができ、1867年に大政奉還、68年に明治維新を成し遂げた。

     もし南北戦争が数年ずれていたら、沖縄も日本本土も清朝末期のような列強支配の状態に追い込まれていたかもしれない。

     それから約90年後、米軍はペリーと同じく、日本を降伏させるにはまず沖縄を制圧しなければと考えた。要衝は誰が見ても要衝なのである。

     日本海軍が米海軍と太平洋を半分ずつ支配していた約30年間、東アジア・西太平洋の覇権は日本が握っていた。
     日本の敗戦のあと、その覇権はそっくり米国のものとなった。この陸・海の広大な広がりのカナメに沖縄が在る。

     日本列島と琉球諸島の長い連なりは、大陸側から見れば太平洋に進出するのを邪魔する長城のようなものだ。帝政ロシア、ソ連、現ロシアは歴史的に一貫してこの障壁に阻止され続けている。

     対照的に大陸中国は、歴史上初めてこの「海の長城」に挑み始めた。成功するかどうかのカギは沖縄が握っている。
     仮に台湾を支配下に入れて外洋海軍の拠点にしたとしても、沖縄を日米両国が確保している限り太平洋の半分を支配することはできない。

     逆に沖縄を手に入れれば西太平洋を支配でき、日本は自立性を失い、東アジア全体が自動的に「中華」にひざまずくことになる。

     すなわち東アジア・西太平洋の覇権が20世紀前半の日本から、後半のアメリカ、そして次に中国に移るという予想(願望)を中国指導者が持ったとして不思議ではない。その場合、必要不可欠なのは台湾でなく沖縄だということに気づくはずだ。

     要衝は誰が見ても要衝なのである。沖縄県民も日本政府も沖縄を思い通りにできないのだという特異性をまず認識し、その上で、外国勢力の思惑通りにもさせないぞという一点において合意することが必要だ。

     地域住民である沖縄県民としては、日米の政治体制と軍事力を拒否するならば、中国の政治体制と軍事力がとって代わるだけという展望は受け入れ難いであろう。しかし、理性的に考えればその中間はないということが分かるだろう。

     もし中国軍が普天間飛行場を手に入れたとしたら、危険だから移転するどころか、周辺住民を何十万人でもすべて強制的に立ち退かせるに違いない。チベットや新疆ウイグル自治区のように漢族をどんどん送り込み、沖縄県民を少数派にしてしまう方策もとるだろう。

     要衝の住民がとるべき方策は、要衝であることをいわば人質にして、世界から実利を喜んで注ぎ込ませることが基本である。政府を追い込んですべての税金を免除させ、全島を「無税特区」にするぐらいの発想が必要だ。

     鳩山首相が排除の論理で沖縄の歓心を買おうとしたのは論外であったが、「学ぶにつけて」米海兵隊が抑止力の一部だと分かったという言い訳も、同じように「ズレている」(loopy)と言わねばならない。

      繰り返して言う、「沖縄を制する者は東アジア・西太平洋を制す」。(おおいそ・まさよし 2010/05/22)

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  8. こんにちわ。

    私も、普天間基地問題を記事にしました。
    h ttp://blog.goo.ne.jp/tres-cerdidos/c/eceb595fe09da876c0cc4ed14d196fa1

    私は、今までは前座だと考えています。
    これからが本番なのだと思います。
    だから、まだまだこれから、皆で議論しあい、できるだけ皆がハッピーになれる解決策を導き出したいと考えています。

    玄さんのこの記事もリンクに加えても構いませんか?

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  9. hiromiさん

    どうぞご自由に。

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