奥深い吉野の山から昇る朝日を拝みながら書いています。ここは奈良県吉野郡にある吉野山・櫻本坊(さくらもとぼう)という1300年前に天武天皇が櫻の夢をみて建立したという寺で、修験道の根本道場として有名なところです。もちろん、吉野櫻の名所で山は千本以上の櫻の木々でおおわれているのですが(千本櫻公園という)、残念なことに少し来るのが早すぎました。櫻開花は4月初旬だということです。山の凛とした空気が肌にほどよく刺激を与えてくれます。昨夜はここの大広間で講演とミニコンサートをしました。子供達は何十畳もの広さに大喜び。さて、ここに来るきっかけは今鴨川で留守番をしてくれている村川あこ君が作ってくれました。じつは、あこ君が以前ここで働いていたのです。全国を自転車で旅していた彼はたまたまここを訪れ、すっかり修験道の生活が気に入ってしまったそうです。山で暮らしていくにはなにもいらない、修験道者は野草を食べていけばよいというあこ君に私たちはこれはすごい人間だなあと感心したものですが、まさかその修験寺に来ることになるとは思っていませんでした。あこ君が櫻本坊の巽良仁住職に私たちのことを紹介してくれて今回縁ができたのです。たまたま古神道の研究者として知られる小林美元先生の講座も同時にありました。ハワイで今回のアロハトラストツアーに参加した桑名晴子さんは小林先生の弟子だと聞いていましたから、これも貴重でありがたい偶然。小林先生にハワイ先住民のことを話したら古神道とハワイ古代宗教とには共通点があるということを伺いました。さらにそのことを書いた本を送っていただけるというので楽しみです。さきほど巽住職による般若心経の写経、(これはゆみが参加しました)と修験道講座がありました。修験道の道とは「諸宗融通の称なり」といい、あるがまま、なんでも受け入れるための道場という意味だそうです。ですから宗派にはこだわらず神仏混合です。この縄文時代から綿々と続いている自然を畏敬し感謝する山岳宗教が日本人の思想・哲学のもとになっているのでしょう。この吉野は日本人の精神性のふるさとかもしれません。帰国して以来、奈良、大阪、京都と旅が続いています。一昨日は滋賀県の琵琶湖のほとり彦根市に滞在しました。あこ君のお父さん、村川晃司さんが呼んでくれました。彦根はりっぱな城があります。村川家からは2kmくらいでしょうか、村川さんに案内され子供達といっしょに楽しく歩きました。江戸時代の町並みが途中復元され一瞬映画セットの中にいるようです。電柱も看板も無く、道路脇には鯉が泳ぐ掘割りがあります。本当に昔の町並みは美しかったのですね。こういう復元事業をもっと全国で広めたら日本は素晴らしい国になるでしょう。彦根には鈴鹿山系を源とする芹川という川が町の中心を流れています。そこで鮎が釣れるというので早朝6時に起きて、ジャンプスーツの重装備を借りて芹川で鮎釣りをしました。芹川は琵琶湖に流れ込んでいますが、琵琶湖で育った稚魚が川をのぼってくるのです。朝霜で真っ白になった河原を踏みしめて行くと、いましたいました釣り人が大勢竿をたれています。川釣りなんていったい何年ぶりでしょう。むかし、と言っても大昔、奥多摩に住んでいたお祖父さんが小学生の私を多摩川の鮎釣りに連れていってくれたことを思い出しました。友釣りという鮎独特の縄張り習性を利用した釣り方です。ところが最近の鮎はすっかりこの本能習性を忘れてしまって、友釣りでは釣れなくなってしまったそうです。この日も雑魚(じゃこ)を小麦粉で練った餌を使いました。さっそく竿を垂れるとおもしろいように釣れます。3時間くらいで15センチほどの鮎を30匹以上は釣ったでしょうか。早速テンプラにしてお昼のごちそうになりました。最高の味でした。
今日の読売新聞に国土交通省がシックハウスの最大原因とされているアセトアルデヒドを住宅の安全基準表示から外すことを決定したと報じていました。その理由が、人体への影響が”完全”に解明されていないからというのです。しかもアセドアルデヒドは天然木材中の酢酸などが化学変化して発生するなどと、あたかも人工的に作られたものではなく自然成分であるかのように書いています。いったいこの読売新聞というのは政府広報機関紙なのでしょうか。あまりの非科学的で政府べったり報道に開いた口が閉まりません。
火曜日, 3月 16, 2004
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