月曜日, 12月 25, 2006

12月26日人類のライフスタイル

今年の紅葉は見事です。とくに、紅葉(もみじ)がこれほど色鮮やかに緑から黄色そして深紅に変化して目を楽しませてくれたことはかつてなかったかもしれません。ときどき目を見上げるような枝振りのりっぱな紅葉に出会うともうほれぼれして、思わず車を止めて眺めいってしまうほどです。いやいや鴨川の初冬も素晴らしいと見直しました。でも、これって温暖化現象のはしりなのかも。

さて、我が家の道路はあいかわらずすごいことになっていて、この前も初めて訪れたひとが目の前の土のかたまりに絶句していました。市役所がパイプをつないで橋を作ってくれたのですが、それもだいぶ山崩れに押されて歪んでしまい、からだを斜めにしないと通れない状態です。困るのは、夜中遅く帰ってきたとき、しかもだいたい子どもたちはぐっすり車で眠ってしまっていますから、抱いて橋を渡って他の車に移すという大変な作業になります。きょうは朝からひどい雨、もう橋の下が濁流になっています。今夜から本降りになるとラジオがいってましたが・・・

日本の政治状況を深刻に悩んでいます。教育基本法改正(改悪)法案と防衛庁の省格上げ法案があっさりと国会を通過してしまったからです。このふたつは憲法に抵触するものだけに、国民とメディアの関心の無さには、驚きまたがっかりしました。法案が強行採決された翌日、朝日新聞はわずか3面にあまり大きくない記事を載せただけでした。こんなことでいいのでしょうか。いったいみんなは何を考えているのでしょう。もうこの国には自身で変えようというエネルギーがないのでしょうか。無関心でいられるはずがないと思うのですが。

それは、煎じ詰めると、ひとびとの生き方、ライフスタイルに行きつくではないかと思います。ハイテク、ハイコマーシャル、スーパー情報化社会にどっぷり漬かって、マネーゲームと格差社会に振り舞わせれたひとびとに、何かを協力し合って未来社会を創ろうなどという思い入れはもう期待できないのでしょう。

世界を観れば、来年は人類史上、画期的な年になるそうです。それは歴史上はじめて人類の大半が都市に住むことになるからです。世界の各地で人口が1000万を越えるメガ都市が多く出現しています。ほんの200年前には、ひとりの人間が一生のあいだに出会う人間の数は平均して200〜300人でした。それが今では毎朝東京駅で行き交う人の数といったらもう何万人になります。

19世紀以前、100万都市は世界でローマだけでした。近代都市で100万の人口を抱えた最初の都市は、1820年のロンドンでした。今日では、世界には414の100万(以上)都市があります。近代の都市人口の爆発的増加は、地球生態系と自然生息域の犠牲のうえに成り立っています。メガ都市の大人口を養い、その活動を維持するためには、莫大な地球エネルギーの消費が必要です。シカゴのシアーズタワーが1日に消費する電力は、近郊にある人口15万2千人の小都市の電力消費量に相当するそうです。人類は、地球上の純一次生産量、つまり太陽エネルギーが光合成で植物有機物質に変換される量、のほぼ40%を消費している計算になります。ほかの生物の分まで略奪しているわけです。

高層オフィスビルやレジデンス、それにガラス、セメントと人工照明と電子ネットワークシステムの陰で確実に失われて行くもの・・それは自然です。毎日50から100種の生物種が絶滅しています。1年間では18,000から55,000種です。2100年には地球上の3分の2の種が絶滅することになります。

もうこれ以上地球を汚し、資源や生物を搾取するばかりの都市人口集中化を止めないと大変なことになります。それには、これまで征服対象だった自然とどうやって向き合い、お互いが共存できるか真剣に問い直す事に人類種の運命がかかっているでしょう。

日曜日, 12月 03, 2006

12月4日ポロニウム210

24日からほんの数日ですが、サンフランシスコに格安チケットで行ってきました。折しも感謝祭ホリデーで、いつもは学生たちで賑わう滞在先のバークレーはしーんとしていました。木々がすっかり色づいてとても鮮やかに街を飾っていたのが印象的でした。もうすっかりクリスマスムードです。

当地の新聞サンフランシスコ・クロニクルでトップニュースになっていたのが、先週、世界を震撼させたロシアの元KGBスパイ、アレキサンダー・リトビネンコの暗殺事件です。さて、暗殺に使われたとされる放射性物質ポロニウム210についてはいろいろと議論が沸騰しています。NYタイムズにタバコに含まれるポロニウムについての記事がありました。それによると、この事件でもっともうろたえているのはアメリカのタバコ業界だというのです。じつは1960年代からすでに相当量のポロニウムがタバコに入っている事実をタバコ業界は知っていたというのです。昨日、放射線科学者のローザリー・バーテルが、ポロニウムはウラニウムとラドンガスの崩壊生成物で、リン酸塩と強い親和性があるので、リン酸化学肥料に多く含まれていると教えてくれました。タバコの葉には大気中の汚染物質を吸着する部分があるそうで、リン酸肥料(化学肥料)を多く使うタバコ栽培ではラドンガスを吸着しそれがポロニウムに崩壊すると考えられます。

実際にタバコにどのくらいのポロニウムが含まれているかというと、アメリカンタバコカンパニーが1968年に極秘調査した結果によると、タバコ1本につき.04pCi(ピコキューリー)のポロニウム210を吸うことになるといいます。フィルターはまったく役に立たない事もわかったそうです。当然ですが。

ところで、ポロニウムは、キューリー夫人が発見した最初の放射性物質で当初はラジウムと呼ばれていました。放射線量単位のキューリーはそこからきています。

これは非常に微量なようですが、半減期138日のポロニウム210は肺がんを起こすのに十分なアルファ粒子を放出するのでプルトニウムよりも危険だと言えます。

一日1箱半のスモーカーは、毎日約300回のレントゲン照射を胸に浴びていることになるそうです。本当かしら?

問題は、このNYタイムズ記事ではポロニウムがいったいどうやってタバコに混入したのかということに口を濁していることです。リン酸肥料に含まれているから土中から吸収されたと推測していますが、ローザリー・バーテルが指摘しているように、ウラニウムから崩壊したラドンガスがタバコの葉に吸収され、さらに崩壊してポロニウム210になったと考えられるのです。つまり、大気中のウラニウムが元凶なのです。ということは、この60年間、数多くの核実験と世界中の原発そして最近の戦争で使われた劣化ウラン兵器によって世界中で拡散したFallout(放射性降下物)が、まわりまわってタバコに入ったのです。このことは誰も口に出しませんね。本当の問題はタバコだけのことではないからです。

水曜日, 11月 22, 2006

11月22日ディキシー・チックス

毎月一回、東京代官山で開かれるBeGood Cafeで「ワールドリポート」というコーナーを受け持っています。この日曜日(19日)は、アメリカでもっとも人気があるテキサス出身の女性ボーカルグループ、ディキシー・チックス(Dixie Chicks)の話題から始めました。驚いたことに会場の若いひとたちはほとんどディキシィー・チックスを知らないんです。彼らがどんなに大スターなのか、それはアーティストとしては最高のスーパーボールで国歌を歌う栄誉を2003年に与えられたからです。
これがそのときの映像:

2003年といえば、そう、そのあとアメリカがイラクを爆撃し侵入した年です。すると、ディキシィー・チックスはポップアーティストとしてはタブーとされることをやってしまいました。数万人の観衆を前に、「アメリカ大統領がテキサス出身なんて恥です」と言ったんです。それから、全米のメディアを含めあらゆるところから彼女らへのバッシングが始まったのです。まず、放送局が彼女たちの曲を流すのを止めました。ファンが電話リクエストしても掛けないのです。あるところでは、ラジオ局がディキシィー・チックスのCDを捨てるようにと町にそれ用のゴミ箱まで用意しました。彼女たちは一夜にして人気スターから売国奴と罵られるようになったのです。ところがおもしろいことに、それでもコンサートは超満員で、CDは売れつづけ、やっぱり1位になってしまったのです。先月、ディキシィー・チックスのドキュメンタリー映画「Shut Up And Sing」(だまって、歌え)が全米公開されましたが、アメリカのテレビ局はこの予告編広告放送を拒否したそうです。

これが「Shut Up And Sing」の予告編です:

この中で笑ってしまったのは、このくだりです;「赤十字が私たちの100万ドルの寄付を受け取ってくれないのよ。・・・そりゃそうだ、赤十字の名誉総裁がジョージ・ブッシュだもの」

この中間選挙で民主党が12年ぶりに議会を制しましたが、その票を左右したのが若い人の層だったという結果がでています。アメリカの若者たちが、ブッシュにはっきりとNOというメッセージを送ったのです。今の政治世界はアメリカも日本も腐りきっていますね。あまりにも露骨な金と権力の世界。それを変えるのは若いエネルギーでしょう。

そういう中で、3日前のエイミー・グッドマンのデモクラシー・ナウで登場した民主党議員デニス・クシニッチの言葉は、力強く説得力がありました。いまワシントンではイラクにさらに2万の増兵をすべきか議論になっているのですが、同じゲストの元上院議員ジョージ・マクガバンがアメリカはベトナム戦争の二の舞を避けるべきという意見に続いて、クシニッチはそもそも嘘で始めた戦争に大義などない、膨大な戦費をさらに増やすのではなく、疲弊している国内の教育、社会、医療、雇用などの問題に振り向けるべきだと主張しました。

民主党が議会の最大党となっても、そう簡単に政治は変わらないでしょう。でも、平和・反戦を一貫して訴えるクシニッチの存在は、これからかならず注目されていくと思います。大事なことは、アメリカには彼を支える国民がたくさんいるという事実です。

木曜日, 11月 16, 2006

11月16日晩秋の畑仕事

昨日、やっと小麦を蒔くのを終えました。なんだかんだと雑用が多く、それにお客さんの出入りもあってなかなかできなかったのです。昨年穫れたアオバ小麦、大豆を穫ったあとです。これでパンを焼いてお客さんが感心し喜ぶ顔を見るのが楽しみのひとつです。そしてタマネギ苗とニンニクの植え付けも終了。タマネギは総計700本植えました。そして、今日はずっと前に収穫して軒下にほったらかしになっていた大豆を足踏み脱穀機で落としました。イノシシに大豆畑が荒らされて収量は絶望的だと思っていましたが、それなりに穫れたようです。もっとも当初の予定していた味噌用の分量にはほど遠い感じですが。ついでに小豆も収穫して、これはまあまあの出来、軒下にひとまず置いておいて、また天気の良い日にでもサヤをとりましょう。キヌサヤインゲンやスナックエンドウ、ソラマメなども植えました。そろそろ畑仕事もやることが少なくなってきました。今年は柿がひとつもなっていないのでちょっと寂しい畑ですが、柚はたんわり実っていました。もう早くも桃の芽が出始めていました。

今月はひさしぶりに新潟でハーモニクスヒーリングのワークショップがありました。せっかくだからと家族で出かけ、帰りは湯沢温泉に泊まりました。ちょうど山が紅葉に染まってじつに美しい景色だったので、ロープウェイで頂上に登って散策しました。折よく、絶好の天気に恵まれ、ちょっと肌寒い感じでしたが、はるか連峰を見渡せたのは幸運でした。

気の流れが滞る状態ーそれを病気といいます。その気の流れが滞っているところは、一種の緊張状態にあります。それをストレスともいいますね。もっとも、生きているということは、緊張と弛緩を瞬間瞬間に繰り返しているとも言えます。ただ、あまりに緊張状態がつづくとからだは弛緩できなくなってしまうのです。この弛緩をリラックス、つまり緩めることと言い換えてもいいです。ヒーリングとか癒しとは、つまり、緊張を弛緩させること、リラックスすることなのです。ところが、現代超科学テクノロジー文明の超スピード社会に適応できない現代人は、緊張の連続の生活を送っているといっていいでしょう。リラックスする余裕がないのです。からだの芯から緊張状態がつづいているのです。

私たちのヒーリング講座は、いかに長年溜まったストレス・緊張を解消していくか、ということに集約されます。怖いのは、緊張を除くために人はすぐ薬に手をのばすことです。たしかに便利で即効性があるので、その場の問題解消になりますが、それはあくまで対症療法で、あとで大きなツケがまわってきます。それは緊張を緩めているのではなく、緊張をほかのもので隠しているだけにすぎないからです。それは、アイロン療法や操体法といった簡単なヒーリングで解決できることをもっと多くのひとに知ってもらいたいです。

水曜日, 11月 08, 2006

11月8日マイケル・ムーアからのメッセージ

どうやら今日のアメリカ中間選挙で野党の民主党が過半数を制したようです。直前まで、また投票機械の不正で共和党が何かやるんではないかと不安もありましたが、ひとまず一安心。さっそく、今さっき、マイケル・ムーアから感激の手紙が届きました。(以下抄訳です)

2006年11月8日

みなさん

やりましたね。私たちがやったんですよ。不可能が可能になった!アメリカ国民の大半が、ブッシュ与党を議会から見事に追い出したんです。そしてたぶん今日のうちに、上院でも同じ奇跡が起こるでしょう。
どちらにせよ、アメリカ国民がふたつのことをきっぱりと主張したんです:この戦争を止めること、そしてブッシュさんに我れらが愛するこの国をこれ以上破壊させないという。
この選挙はつまりそういうことだったんです。それだけですよ。本当に。そのメッセージはもうワシントンを揺るがしてます、そして混乱する世界に希望を与えてます。
さてこれからが本番なんです。しっかりこの民主党が正しい方向にいくように私たちの手綱を緩めないようにしないといけません。そうしないといつもとんでもない方に行ってしまうんです。ブッシュが戦争を始める手伝いをしたくらいなんですから。いまその過ちを正す時期です。
まあでも、今日ばかりは勝利を喜んでお祝いしましょう。他国に先制攻撃などもってのほかと考える人間たちにはなかなかない勝利ですよ。
みなさん、よくやりましたね。ほんとうにがんばった。今日、みなさんがアメリカの主流であることを確認できて本当に誇りに思います。今週は票集めによくぞ努力してくれました。
みなさんの中には、2003年2月の戦争開始直前にやった反戦大デモ行進以来ずっと頑張って来た人たちがいます。あのときは国の10〜20%しか私たちを支持する人がいなかった。あのときは孤独でつらかったね。暴言を吐かられた仲間もいた。
それが今や国の60%がわれわれと同じ立場だ。つまりみんな仲間だ。じつに愉快で、なにかおかしいけれど、希望が持てる感じだ。
この国の歴史上はじめて女性の下院議長が誕生するようだ。堕胎を禁止しようという保守のサウスダコタが負けた。
最低賃金引き上げ法案が通過したね。スキャンダルで失脚したトム・ディレイとマーク・フォーレイの後に民主党が入った。デトロイトのジョン・コンヤーズが議会司法委員会議長に選ばれるだろう。民主党のミシガン州知事がアムウェイ会長を破った。僕が住むミシガンの小さな町ではじめて民主党が入ったよ。
もっともっとあるよ。今日一日いいニュースがつづくだろう。うれしいねえ。これからは議会が国民の声を聞くようにさせなければね。
今日ついでになにかひとつやるんだったら、あなたのところの議員にメールか手紙を送って、この選挙の意味をはっきり伝えて欲しい:戦争を止める、そしてジョージ・ブッシュにこれ以上思いつきのことをやらせないようにすること。

おめでとう、ともう一度!さて、民主党を選んだからにはそれなりの仕事をやってもらわないとね。

勝利を祝して!

マイケル・ムーア

日曜日, 10月 29, 2006

10月24日奇跡

今日の「あなたが幸福でありますように」のケートさんからのメッセージです。

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「人生には二通りの生き方があるだけだ。ひとつは、奇跡などないという生き方。もうひとつは、すべては奇跡だとする生き方」  〜アルバート・アインシュタイン

「周りを見てご覧なさい。あらゆる場所に奇跡があるでしょう。小鳥たちの唄に、星たちの輝きに。つぼみが花になるのを見てご覧なさい。赤ちゃんが誕生する瞬間、その最初の泣き声の奇跡を聞いてご覧なさい。奇跡は見つけられるのを待っているんです。それを探すことを止めてはいけません。もっとだいじなことは、それを見つけることを止めないことです。そうすることこそ、貴方自身が奇跡であることを理解する道だからです。それに始めて気づく輝きの瞬間、なにか素晴らしいことが起こるでしょう」
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奇跡は、じつは私たち自身の問題なんですね。ある人には奇跡でも、他の人にはそうでない。見方の問題です。そうならば、なるべくすべてを奇跡として受け入れる方が人生が奇跡になりますね。

話しは、ちょっと外れますが、アインシュタイン(1879~1955年)という人はよくも悪くも話題になる人のようです。相対性理論そのものは、フランスの数学者ポアンカレの数式をそっくりそのものを拝借したものだそうですし、アインシュタインの奥さんも有名な数学者で、じつは相対性理論の数式は奥さんが作ったものだそうです。それで、アインシュタインがノーベル賞をもらって多額の賞金を受け取ったのですが、それをそっくり奥さんにもっていかれたそうです。

苦い奇跡もあるんですね。

日曜日, 10月 22, 2006

10月22日山の暮らし

とうとう怖れていたことが現実になってしまいました。棚田の稲がイノシシに踏み荒らされて壊滅です。ほんの10日ほど前には、田んぼの一部だけが潰されていただけなので、そろそろ稲刈りに取掛かろうと思っていた矢先でした。こういうこともあるのですね。最初、現場を見た時はさすがにショックでした。米作りは4月の苗代作りから始まって6ヶ月間の長丁場の勝負です。例年空梅雨に泣かされていたのですが、今年は長雨がつづいて田んぼに豊富に水が溜まって喜んでいたのです。この分では例年並み以上の収穫かなと期待が大きかっただけに落胆さも。皮肉なことに、去年穫れた米がちょうど底をついた日でもありました。

米作りを始めてかれこれ十数年になりますが、稲が全滅ということはかつてありませんでした。天候不順でどんな不作な年でも、それなりに収穫できていたのです。イノシシの害は、以前から各地で聞いていましたが、このあたりはサツマイモが食べられたり、畑が荒らされた程度で、それほど深刻な例がなかったので、ちょっと甘く考えていました。

昨年は、かつてなく稲作には理想的な天候がつづいて、大雨で土手が崩れてだいぶ稲がつぶされてしまいましたが、それでも豊作でした。ということは、山の自然も非常に豊かな年だったわけで、たぶんイノシシにとっても餌が豊富な環境だったのでしょう。ですから、当然、たくさん繁殖したはずです。それが、今年になって春の長雨と低温のせいで山の餌が無くなってしまった。これらのことが合わさって、イノシシが群れをなして里に下りて来て普段は食べない稲を食い荒らしたのだと推測されます。

考えてみれば、このような野生動物や冷害などによる凶作は歴史的にも常に起こっていたわけです。私たちは、仕方が無い今年は米を買おうと、注文すればいくらでも簡単に手に入る時代に住んでいますが、昔は大変だったでしょう。凶作が2年もつづけばそれこそ餓死者がたくさん出たなどと聞いています。口減らしに赤子を間引くことはどこでも当然なこととして行われていたようです。日本は長い間、事実上鎖国していたわけですから、自給自足だったわけで、食料が足らなければ当然養える人口も限定されたわけです。太古の時代から、人口はほとんど目立って増加していません。(グラフ参照)

Population Graph GIF


人間の数とそれを取り巻く自然環境が、一定のバランスで調和されていたのです。人間は、食糧難に際して人口を意図的に調節してきました。そうやって自然環境も守られてきたわけです。そういった人間と自然とのバランスが急激に崩れ始め始めるのは、近年になってからです。

私たちの稲田は、急な斜面に位置していて、しかも水源もないという、不便を極めている(大げさかな)ようなところですから、その収穫量も限度があり、したがって、それによって養える家族数も限られることになります。

山の暮らしの自然とのバランス。そんなことを考えさせられた今回のイノシシ騒動でした。

木曜日, 10月 19, 2006

10月19日

今日送られて来たアメリカ平和省ピースアライアンスからの呼びかけ文の要旨です。

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10月10日、ブッシュ大統領が、最近の学校内での一連の暴力事件について、さまざまな暴力防止対策が必要だと述べたことに対応して、いまこそ大統領に平和省が必要だという手紙を送ろうと呼びかけています。

そして、その文案として、こうアドバイスしています。

自分の言葉で、読んだ人が平和省がいかに効果的に学校や地域の暴力を減らせるか分かるよう、以下のポイントを参考にして書いてください:

最近の学校での連続銃撃事件やFBIの報告からでも、暴力事件が急増していることが指摘されています。暴力の根源的原因には、高度に考え抜かれた積極的な対応が必要です。それこそ平和省の役目なのです。

省庁レベルの平和省設立法案は上院下院ですでに提出されています。現在75人の下院議員と2人の上院議員が署名しています。

国内外の紛争を非暴力的に解決しようという組織的な取り組みは現在のところアメリカ政府にありません。

平和省法案は、現存の各省庁と民間団体との緊密な協力を目指します。現在の手当たり次第の方策に欠けている、平和と暴力防止への新しいアプローチが可能になります。

当然、平和活動はいまある機関で可能ですし、もうやっている部分もあるでしょう。しかし、平和省の管轄になれば、それらはより高度なレベルの相乗的効果をもたらし、それによってアメリカ市民の考えも変わってくるでしょう。ニクソン大統領によってできた環境省によって、私たちの環境への取り組みがすぐ始まったわけではありませんが、少なくとも国家的な優先事項になったことは明らかです。だからこそ、平和のために平和省が必要なのです。

この参考例がみなさんの考えにふさわしいのであれば、「平和を選ぼう、もう無視できない」とどこかに書き入れてください。

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世界があらゆる場面で暴力的になってきています。これはいったい何を意味するのでしょうか。言えることは、この暴力現象が、ひとびとの心に多大な影響を与えていることです。それがまた相乗的に暴力を蔓延らせている原因になっているかもしれません。確かに、人類レベルでの精神が不安定になっていることは否めません。なにか地球レベルでの意識の危機的変容が起きつつあるのでしょうか。多発地震や気候変動、そして放射能や化学物質などの地球レベルでの影響が人類の精神バランスに及んでいると考えられないでしょうか。

でも、こういうときこそ、真の思想哲学や科学が現れるのかもしれません。

火曜日, 10月 10, 2006

10月10日

我が家は、いまちょっと大変なことになっています。昨年から続いている家に入る道の地滑りが、ここのところの大雨でにわかにひどいことになってもう車が通れない状態なのです。ここは公道なので、本来は県の災害事業として修理することになっているのですが、それがなかなかやってくれません。とりあえず、鴨川市のほうで道路修復工事をやってもらっているのですが、これがまた大変な作業で、見ていて申し訳ないほどです。6日の火曜日は前の晩からの雨がますます本降りになってきていました。その前の日にも宅急便の車が泥にはまって、近所の友人のトラックで引っ張ったのですが上がらず、下の尾形さんのトラクターでやっと救い出したばかりでした。午後になって、土砂降りの中、市の方で業者さんが数人、ユンボを使って大きな排水用の土管を2本も埋め込みそのうえに特殊シートを敷いてくれたのでやっとうちのホンダが通れました。その日は東京で翌日の911国際会議のスタッフ打ち合わせがあるので、どうしても出かける必要があったのです。

Road Damage JPG
土砂崩れ

東京での会議はなんとか成功裡に終えて、8日の日曜日に今回の会議に札幌から来てくれたトシさん、ローレン・モレ、家族と鴨川に帰ってきたら、案の定、道路はずたずたに破壊されていて、まったく通行不可能になっていました。今日、市にまた工事を頼まなければいけません。

山に住むというのは、こういう自然とじかに向き合いつきあって行くということです。まわりの地元の村の人は、あんなところによく住んでいるねえ、とどちらかというと呆れて言います。

たしかに、都会の生活にくらべれば私たちの生活スタイルは、”呆れるほど”不便で、しかも危険がいっぱいかもしれません。でも、この刻々生きている自然の懐に入って、自由に遊ばせてもらっているんだと思えば、その瞬間、多少の(そうでもないかな)不便さや危険さは、かえってありがたい経験に変容します。

Rice Damage JPG
イノシシの踏み荒らした跡

初めて我が家に来てくれたトシさんを田んぼに案内したら、ところどころイノシシに荒らされて稲がつぶされていました。毎年のことだけれど苦労して育てた稲が倒れているのをみるのはちょっとショックです。したの畑の青大豆もやはりイノシシの被害でほぼ全滅状態。ことしは我が家自前の大豆で味噌を、と楽しみにしていたのに、これもがっかり。そう、自然とつきあうのは忍耐です。

いつも素晴らしいメッセージを贈ってくれるKateさんから今日のことば;

「私たちは排除の社会に住んでいます。他人はなるべく寄せ付けないようにしようという考えがあります。『あなたはこのクラブには入れません、会員じゃなければ、お金がないとだめです、あなたの容姿がちょっとまずいんです』
でも、それとは反対のやり方でやっていくと、門が開かれるんですね』ジェイ・リノ(アメリカの有名なテレビコメディアン、司会者)

分かってもらおうとしたら、最良の方法は他人の言葉をよく聴くことです。受け入れてもらおうと思ったら、自分自身のこころをすべての人にオープンすることがベストな道です。人生はこんなパラドックスなんですね。もっとも欲しいものを手放したとき、それがふいと戻ってくるのです」

木曜日, 9月 28, 2006

9月28日Newsweekアメリカ

昨日書いたことと矛盾するようですが、アメリカのメディアは国民に知らせようという意識がないのでしょうか?まあ、基本的に外国で起きていることに無関心という国民性もあります。

今週のニューズウィーク国際版とアメリカ国内版との表紙です。

Newsweek Covers JPG

アメリカ版の表紙:ロスアンゼルスからニューヨークまで徹夜便で帰ってきたフォトグラファー、アニー・レイボビッツは疲れ、風邪気味でもある。ボーグ誌のためのアンジェリナ・ジョリーの撮影に2日間掛かった。

外国版の表紙:ジハード勃興ーアフガニスタン侵略から5年、タリバンが勢力挽回、タリバンとアルカイダのリーダーが自由に作戦行動できる聖域拡大。

これはいったい誰が決めているんでしょうね?

水曜日, 9月 27, 2006

9月27日偏向するメディア

先日、普段接することの少ない実社会(こういう表現もおかしいですね。本当は私たちの世界が実社会だと思っているんですが)の人たちと懇談する機会がありました。みなさん相当の肩書きある方々ばかりです。話しが世相や政治のことになると、「朝日新聞はずいぶん偏向している」「やはり読売がいちばんバランスがとれているようだ」「東京新聞などは極左だね」という言葉が全員から出てきて、正直びっくりしました。うーん、と考えさせられました。それはこの人たち、つまり今の日本の社会を代表すると言ってもいいエリート連中が、ここまで右傾化している現実にショックを受けたからです。そして国際的な視点がとても欠如していることにも気づきました。読売しか読まないのであれば、相当偏向していることは想像出来ます。

私は、毎日海外からのインターネットニュースを読んでいるので、世界がいまどう動いているのか、暴力的な大国のグローバリズムや軍事・経済政策がどのように小国(第三世界)に影響を与えているのか、日本の一般紙以上の情報をオンラインでつかんでいるつもりです。

その視点からすれば、日本のマスコミはまだ鎖国状態といっても過言ではありません。たしかにアメリカのジャーナリズムは危機に瀕していると言われますが、日本のジャーナリズムに比較すれば政府批判という本来あるべき路線を堅持しようという気骨あるジャーナリストがたくさんいます。うらやましいほどです。NYタイムズもたしかにイラク戦争開始時にはブッシュ政権をよいしょし過ぎと批判されていましたが、ちゃんとその後社説で自己批判しましたし(日本のマスコミで、ブッシュのいいなりにイラク戦争に加担した小泉政権を無条件に支持したことを自己批判したTV局や新聞があったでしょうか)、最近では政権批判の色を強めています。日本と同じく、与党共和党が議会専制になって野党の政治批判が機能していない現在、メディアの政権チェックが唯一の救いになっていると思います。もちろんそれを支える国民の眼があるからですが。

昨日の読売の社説は、新しい安倍内閣をべたほめでした。こういう日本を代表するメディアが政権の走狗に成り下がっている状況を、実社会で活躍している連中が当然とみていることに背筋が寒くなる思いがします。

火曜日, 9月 19, 2006

9月19日

自分の足跡と影が大嫌いな男がいた。

ある日男は思った。
「思いっきり速く走れば、きっと俺の足跡も影もついてこられないだろう。そうすればもう二度と見ることもあるまい」

男は力いっぱい速く走った。しかし、男の影と足跡はなんなくついてくる。

それでも男は必死になってさらに速く、どこまでも走った。

そして、突然ばたりと地面に倒れた。
男の心臓はすでに止まっていた。

もし、男がしずかにじっとしていれば、足跡もなかっただろう。
もし、木の下で休んでいれば、影は木陰に吸い込まれて消えていたろう。

〜ベンジャミン・ホフ「プーのタオ」より

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もし、静かになって、ゆっくり深呼吸してこころとからだをリラックスさせれば、ちょうど木陰のように、答えが問題をすべて包み込んで消してしまうでしょう。そしてこころから自由になるのです。

May You Be BlessedのKate Nowakさんからの便りより

Kateさんのメッセージ(英文)を受け取りたい方はこちらへ
http://clicks.aweber.com/z/ct/?jSd9bcEK9SiwM.J1Hvmkug

木曜日, 9月 14, 2006

9月14日MSNBCキース・オルバーマン

9月11日のアメリカは、さすがにいろいろありました。もっとも強烈な印象を受けたのは、ブッシュ大統領のテレビ演説で、こんなことをいけしゃーしゃーと言っているんです。

「911事件とイラクのフセインが関係なかったことは分かった。しかし、当時フセインが世界にとって危険な存在だったことは明らかだ」

911の仕返しに戦争をしたのに、しかも、イラクに大量破壊兵器がなかったことが政府自身認めたことなのに、いまでもこんなことを言っているのですね。まったく自分の過ちを謝罪する態度は見られませんでした。(このときのブッシュ大統領の顔は、いままでで最悪の形相でした。)

911ボーイングを捜せJPG

すると、MSNBCテレビのカウントダウンという人気コラムで辛辣な論評で有名なキース・オルバーマンが、大統領に果敢にも噛み付きました。

「よくもこんなことを、大統領閣下。愛国心を掻き立てて国民を一致団結させ、それを怖れと猜疑心に変え、それを3回の選挙スローガンにも利用し、そして、まちがった戦争と必要のない死に追いやった。よくもこんなことをやってくれた、貴方は、それとも貴方の取り巻きか、911事件を都合良く利用したね?テロリストがうまくやったように・・いまもそうだ・・グランドゼロに今でも記念碑も再建築がないかぎり。そう、かれらは成功した、いや今も成功している、この政府が911を使って、アメリカ国民をお互いに敵対させることに成功しているかぎり」

こんな勇気あるテレビコメンテーターがアメリカにはいるんですね。正直、びっくりです。

でも、オルバーマンの言葉はそっくりそのまま日本のだれかにあてはまるのでは?

日曜日, 9月 03, 2006

9月3日「聖なる車輪計画」

ブッシュ政権が、また危険な核兵器実験を隠密にしようとしています。核兵器というのは正確ではありません。実際に使われるのは核兵器ではなく、模擬核兵器と言っていいでしょう。ワシントンでは議会の正常な機能、つまり政府の行政チェック機能が失われてしまっているので、問題になっていませんが、果敢な市民たちの反対運動でこれまで実験をなんとか阻止してきているのが現状です。

この計画はDivine Strake Project(聖なる車輪計画)という、とんでもない名前がついていて、地下のトンネルの上に700トン(!!)の通常爆薬を爆発させてその影響を調べるというものです。

たしかにこれは核兵器実験ではないけれど、核爆発のシミュレーション(模擬実験)であることは間違いなく、アメリカが新世代核兵器開発へ明らかに準備していることを内外に示すことになります。

さらに問題なのは、予定されているネバダ実験場です。ここは冷戦時代に数百回もの核実験が行われた場所で、700トンもの爆薬を発火させたら、これまで地表にある死の灰(放射性降下物)が舞い上がって地球レベルで汚染することが予想されます。

ブッシュ政権は、来年早々にも「聖なる車輪計画」を強行しようとしています。日本でも、問題にしてなんとかくい止めなければ。

金曜日, 9月 01, 2006

先週、六ヶ所村に行ってきました。

数年前のこと、知合いで廃棄物処理業者の社長さんが六ヶ所村の核廃棄物処理の仕事を手がけていて、あそこは何にもない荒涼としたところだよ、と言っていたのが頭に残っていたので、なにか緑のない石がごろごろしているようなイメージをずっと抱いていました。青森と言えば恐山があるので、なんとなくそのイメージも重なっていたのかもしれません。

ところが、訪れてびっくり。なだらかな丘陵に美しい田園風景がつづいています。一見してここは豊かな自然環境に恵まれた地域だと分かりました。この春、ローレン・モレの講演でお世話になった福澤定岳さんの案内で「花とハーブの里」の菊川慶子さん宅に泊めてもらいました。自家用菜園は野菜の花盛りで、そこに日本ミツバチが乱舞しています。

福澤さんの案内で原燃施設周辺を初めて見学。緑豊かで平和な村との対比がこころに痛みます。原燃PRセンターのすぐ近くにある「六ヶ所村立郷土館」に寄って、そこで驚くべき事実に出会いました。

青森県には、いたるところに遺跡が発見されていますが、ここ六ヶ所村にも100カ所を越える縄文時代の遺跡が発見・発掘されているのです。規模では青森県最大いや日本最大級の遺跡だそうです。ところが、ここが原燃の開発予定地に指定されるとこっそり埋められてしまったのです。

もし、だれかこの遺跡群の重要性を早く指摘し、それこそ世界遺産にでも申請していれば、世界中から六ヶ所村が注目されて核施設の誘致話などどこかに飛んで行ったことでしょう。

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今日の夕陽は久しぶりに観る錦絵にような黄金色でした。そして、風呂場からは半月がくっきりと木々の向こうに浮かんで見えました。こういう日は、なにかとても得した気分になります。9月に入って急に風が変わりました。8月の蒸せるような熱風から、肌に快い涼風になりました。あっという間の自然の変わり目です。

今年の畑は散々です。トマトもキュウリもナスもいまひとつ元気がありません。下の田んぼではもう稲刈りが始まっています。天日干しされた稲を観察すると、気のせいかいつもよりやや背が短いようです。うちの畑で元気がいいのは、ツルムラサキとモロヘーヤぐらい。まいにち食べています。こういうツル科は見るからにエネルギーに溢れているようです。からだにいいわけです。うちの棚田は、稲穂がやっと出そろって、可憐な白い花が咲いています。

日曜日, 8月 13, 2006

8月13日夏の1日

一日一日と世界が走馬灯のように動いて、自分はその中心にすわって眺めている。そこで不動のものは何なのでしょう?私の存在・・・魂のようなもの・・が、もしかして、絶対的存在なのでしょうか?

TUP仲間からの情報:最近世界を騒がしているイギリスのテロ事件で、犯人がジェット機爆破に使おうとしていた液体爆薬は、トリアセトン・トリペロキサイド(TATP)というものらしいです。ところが、専門家によれば(この人は火薬処理専門の消防士)、このTATPは、非常に不安定な物質で、とても持って歩き回れるような代物ではないそうです。飛行機に乗る前に爆発してしまう可能性が高いというのです。

犯人の名前が、政府関係や警察でなく、どうして犯人たちの口座がある銀行なのか?これもなにか不自然だし、今回のテロ犯人捕縛には、だいぶ不可解な点が指摘されているようです。はっぴょうのタイミングにしても、どうみてもこれは、ブレア/ブッシュ政権のテロ犯行だと思わざるを得ませんね。レバノン、イラク問題が吹っ飛び、そして秋の中間選挙と、完全に仕組まれたプロットでしょう。

さて、昨日は台風の大雨で痛んだトマトをひもで結わき直そうと準備していたら、千葉市文化センターでシンポジウム司会をしているゆみとゲストの加藤登紀子さんから急に、「最後にWe Shall Overcomeを歌って欲しい」と電話があり、急遽計画変更。子どもたちを保育園でひろって、車で千葉に向いました。お盆で高速は混むかなと危惧していましたが、杞憂におわり、思いのほか早く千葉に到着。このところ、さっぱりステージとは縁がなく、久しぶりにギターを出したらカビだらけ!!ひどいミュージシャンです。途中の高速道路でのどの調子をなんとか整えて、ステージは無事に終えました。声は日頃歌っていないと、のどの筋肉が堅くなってしまって、スムースにでないものです。でも、なかなか良かったと感想を参加者からいただいたので、一安心。行く途中車の中で、We Shall Overcomeの歌詞を説明したら喜ばれるだろうと、あれこれ考えて、こんな内容を準備して行ったのです。

私たちはくじけない
それは、こころの奥底で、
かならずいつか願いが叶うと信じているから

だから、私たちは平和に生きて行く
こころの奥底で、
かならずいつか勝つと信じているから

私たちは手を取り合って進む
もう怖れなどない
こころの奥底で、
かならずいつかやり遂げることを信じているから

でも、結局この言葉を話すタイミングがなくて、これはなしでした。


超満員の会場のお客さんが、みな手を取り合っていっしょに合唱してくれたのです。感動して涙が出ました、と言ってくれた人もいて、やはり音楽のパワーは違うなあと改めて感じ入りました。これからは、もうすこし心を入れ替えて歌をうたうようにしましょう。

音楽の話といえば、いま、たまたま吉田秀和の「モーツァルトを求めて」という本をかじりかじり読んでいます。そこに「グレゴリオ聖歌から出発して以来、ヨーロッパの音楽は、生命的な緊張と弛緩ーないしは解決の交替の表現として発展してきた」と書いてありました。「解決の交替の表現」とは一体どんな意味なんだろう、といまだに頭でこの言葉が宙に浮いていて困っています。言葉は難しい。音楽の方がまったく簡単ですね。

月曜日, 7月 31, 2006

7月30日地球温暖化

どうやら梅雨も終わりという感じです。気温は下界では30度を越しているようですが、我が家は24度。ここに住んで本当によかったなあ、と思う季節です。今日は大豆の差し苗と田んぼの草取りをしました。この時期にはアブがブンブン飛んでくるので、気をつけないと刺されます。まあ、ハチのようには痛くはありません。アブを払いながらの田んぼの草取りはちょっと面倒です。いまのことろ稲の分けつと成育はまあまあです。梅雨が長引いているお陰で、田んぼにはいっぱい水が溜まりました。あと2週間以内にもう一度しっかり雨が降ってくれると理想的です。このままいけば昨年並みの収穫が見込めるでしょう。4月に田植えを終えている農家の田んぼでは、すでに穂が出そろって早いところはもう黄色くなっているのもあるくらいです。

地球温暖化が最近とみに話題になっています。その温暖化の元凶とされるのが二酸化炭素の排出量で、京都議定書でも各国政府が排出量を守ることが骨子になっています。アメリカではゴア前副大統領が、いま話題の温暖化をあつかった映画(An Incovenient Truth)に出演し、世界中をまわって温暖化の脅威を喧伝しています。メディアもすっかり温暖化は二酸化炭素が原因という説に落ち着いたようです。

しかし、温暖化問題に疑問を唱える科学者も大勢いることも事実です。まず、本当に地球が温暖化しているのかという疑問があります。何万年というレベルで過去から地球の温度変化を見ると、じつは小氷河期に向っていることが明らかです。また、地球レベルで温度が上がっているのか、下がっているのか知ることは極めて困難なことのようです。確かに日本やアメリカ、欧州などでは年々平均気温が上がっているようですが、地域によっては逆に寒くなっているところもあるのです。

Global Warming14 GIF


さらに、温暖化が二酸化炭素による温室効果によるものなのか、という疑問があります。じつは、過去の地球レベルでの温度変化と二酸化炭素の量の関係をみると、確かに相関関係がはっきりと見られるのですが、その関係は温度が変化するとそれに連れて二酸化炭素の量が変化するというのです。つまり、地球温度が上がると二酸化炭素濃度が上がるわけです。その逆ではないということです。そうすると、二酸化炭素が温暖化の元凶だという主張の根拠がなくなってしまいます。いわゆる温室効果によって温暖化が起きると言うことには疑問があるわけです。

Global Warming14 GIF


さらに、人間社会が排出する二酸化炭素の量が、果たして地球レベルの二酸化炭素の総量に対してどれくらいのものだろう、という問題があります。じつは、人間達がいくら産業や自動車の排ガスなどで二酸化炭素を垂れ流したとしても、自然界が排出する量に比べたら微々たるものだという研究結果があります。それによると人間の出す量は自然界全体の1%にも満たないというのです。たとえば、火山がひとつ爆発すればその排出する二酸化炭素の量は莫大で人間達の出す量など比べ物にならないそうです。

でも、もちろん、だからといって私たちが二酸化炭素をじゃんじゃん垂れ流してもいいというわけではないことは自明です。

水曜日, 7月 19, 2006

7月19日デニス・クシニッチ

中東地域の危機的紛争にブッシュ大統領はなにもしようとしません。デニス・クシニッチ議員は、ブッシュ大統領に停戦を双方に呼びかけるよう要請する決議を今日議会に提出します。以下その決議文とデニスの議会演説です。

原文:

http://www.truthdig.com/report/item/20060718_truthdig_exclusive_kucinich_bush/

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デニス・シニッチ下院議員(民主党/オハイオ選出)は、ブッシュ大統領がイスラエルとレバノン間の紛争行為の停止を関係者全員に訴え、アメリカ合衆国が関係諸国と同時交渉するよう申し入れる決議を水曜日に議会に提出する。

同一決議

大統領が、中東地域に於ける現在の危機に際して暴力の即時停止を関係国すべてに呼びかけ、アメリカ合衆国が関係諸国と無条件で同時交渉に入るよう要請することを、下院議員(上院同一)たちによって決議する。



議会は、大統領に対して、

(1)要請する。

(A)中東地域の現在の危機に際してすべての関係国に暴力の即時停止を呼びかけること

(B)合衆国外交官が関係国と無条件で同時交渉に入ること

(C)その同時交渉を進めるために高レベル外交官を派遣すること


(2)イスラエル、パレスチナ代表、レバノン、イラン、シリア、ヨルダン、エジプト各国政府からの代表を含む全関係国の会議を早急に開始すること


(3)関係国会議の間、国境を越える小競り合いを避けるために、南部レバノンに国際平和協力隊を派遣することを支持すること

(クシニッチ議員による演説、7月18日下院議会にて)

議長殿、われわれは確信をもって戦争を遂行しているが、平和への道を見失っている。もし、われわれが存続を望むのなら、このパラドックスを解決する必要がある。戦争を起こし、また戦争を支持することは、死への密かなる憧憬であり、恐ろしい自滅願望である。

平和の創造には憐憫の鏡が必要である。それは、自己を、あらゆる苦しみ、あらゆる希望をもって、相手の立場に置き換えること、そして、怖れではなく、われわれの深い愛から行動することである。

21世紀のテロリズムに対する戦いは、20世紀の対共産主義闘争の様相を呈し始めている。それは仮想敵の創造、生け贄、夥しい破壊である。われわれがむやみに戦争に邁進するだけ、対テロ戦争が誤りの戦争になってきた。

われわれは平和創造の力を試すこともいまだ始めていないので、生け贄を強奪するものに成り下がっている。戦争を始め、戦争を傍観し、戦争に驚愕し、自己制御不能になっているのだ。

われわれは最強の国家である、しかし自らのために保持する力もないし、同盟国に与える余裕も無く、原因と結果の法則(因果律)からの例外になっている。世界の運命はバランスの上に成り立っている。われわれが戦争でなく平和を、死ではなく生を意識的に選択しないかぎり、そのバランスは相互確証破壊(MAD)に向って傾いて行っている。

(訳文責:森田 玄)

7月19日世界の危険な潮流

ブッシュ大統領という人物はどこまで本気でどこまで冗談なのか分からない人です。ロシアでG8会議が開かれていましたが、その記者会見でブッシュが「イラクにデモクラシーと宗教の自由がもたらされたが、同じようなことがロシアでも起こることを望む」と発言したら、すかざずプーチン大統領が「正直なところ、我々はイラクのようなデモクラシーだけはご免だ」とやり返し、記者団がみな大笑いしました。

ブッシュは、もしかすると本当にイラクにデモクラシーがもたらされていると信じているのかもしれません。そうでなければあのような発言を堂々と国際社会にするでしょうか。

イラク戦争前夜の2003年1月、ブッシュは反フセイン派のイラク人政治亡命者たちとサダム・フセイン後のシナリオについて会議をしていました。ところが、イラク人たちはブッシュがスンニ派やシーア派という言葉をよく知らないことに驚いたそうです。

アメリカの権力のおごり(アロガンス)と無知が近年世界の暴力的混乱の起因になっていることは多くが指摘していることです。

アメリカの論客で作家のトム・エンゲルハートは、「軍事力信仰という原理主義が近年の著しい傾向だ。ブッシュ政権はひとつの原理主義政権として登場した。それはキリスト教原理主義という意味ではない。じっさいカール・ローブ、ラムズフェルド、チェイニーなどはキリスト教原理主義者とは言えない。しかし、彼らは全員軍事力の効用をひとえに信じている。かつて歴史上ないほどの強大な軍事力とそれを支えるハイテクノロジー、それに軍産複合体と巨大な軍事予算によって衝撃と畏怖の体制を築き上げた。彼らはその巨大な軍事力で世界を望みどおりにできると確信した。それから、あの今世紀のパールハーバーと言われる「911」が起こった。突然にして彼らの前に恐れおののく民衆が現われ、彼らに追い風が吹く。すべてが可能になった。神が導いたのだ。そして、予防戦争という神聖なブッシュドクトリンを作り上げ、軍事力を2002年の国家安全保障戦略の中で最高優先とした。同時に大統領は2002年の一般教書演説で「危機が迫っているときに、私は黙って待ってはいない。アメリカは、世界でもっとも危険な政権に世界で最も危険な兵器でわれわれを脅すようなことはさせない」と書いています。

ところがその後はどうなったかと言うと・・・・

世界はますます暴力が蔓延る危機的な状況になっています。イスラエル、レバノン、パレスチナ、イランそして北朝鮮。ブッシュ政権の単独行動主義とは結局武力以外の何ものでもなく、ペンタゴン主導で世界を軍事力のみで関係づけて来たけれど、しかしいまや戦力不足に落ち入り、袋小路にはまっています。中東情勢の悪化はアメリカの指導権の低下を端的に表しています。今まで軍事力外交だけでやってきたつけがまわってきたわけです。

アメリカの圧倒的武力による軍事政策が世界に与えた影響は計り知れません。ブッシュ政権以前のアメリカの軍事介入はそれなりに極秘に、公でも国際的な認知のもと(少なくとも国連主導型という形式をとって)に行われてきました。しかし、いまや世界中が紛争を武力で解決するという、非常に危険な兆候になっているようです。

日本の軍事化も言うなれば、世界の潮流に乗っているわけです。非常に危険な潮流に。それが世界の終末に向っていることを、誰もがうすうす知っているはずなのに。その流れを食い止めるパワーを人類がいつ獲得できるでしょうか。祈ることしかないのでしょうか。

金曜日, 7月 14, 2006

7月14日幸福度

何をもって幸せとするかは個人個人で変わるでしょうが、国ごとの幸福度となるとやはり統計的な数値に頼るほかありません。最近、イギリスのNew Economics Fundation (NEF)というところが国ごとの幸福度数を発表しました。

この数値は、国がその資源を、国民の長寿と肉体的健康と満足感のためにいかにうまく使っているか数値化したものだそうです。

それによると、なんと国民的幸福度第一位は南太平洋のバヌアツでした。それにくらべ、先進国のG8諸国はリスト下位に並んでいます。アメリカは178カ国中で150位、フランス128位、イギリス108位、そして日本は、ニュージーランドの次で95位です。

さてこの幸福度の算出法ですが、NEFによると、平均寿命と満足度を合わせた数値を、人口維持とエネルギー消費に必要な土地面積、「生態系面積」と呼ぶそうですが、で割ったものです。下にリストを載せました。

日本の場合、寿命や満足度はたぶん他の国よりも高いのでしょうが、如何せん、人口のわりに土地が狭くまたエネルギー消費も莫大なために生態系面積が大きく、幸福度41.7という数値になったのでしょう。当然のことに、貧困や疾病に歴史的に悩まされ、平均寿命が37歳というアフリカのジンバブエのような国は最下位になっています。島国が上位にたくさんありますね。豊富な生態系が人の(もちろんすべての生命の)幸福にとても大事ということです。

CONTENTMENT AROUND THE GLOBE:

Vanuatu: 68.2

Colombia: 67.2

Costa Rica: 66.0

Dominica: 64.5

Panama: 63.5

Cuba: 61.9

Honduras: 61.8

Guatemala: 61.7

El Salvador: 61.7

St Lucia: 61.3

Vietnam: 61.2

Bhutan: 61.1

Western Samoa: 61.0

Sri Lanka: 60.3

Antigua & Barbuda: 59.2

Philippines: 59.2

Nicaragua: 59.1

Kyrgyzstan: 59.1

Solomon Islands: 58.9

Tunisia: 58.9

Indonesia: 57.9

Tonga: 57.9

Tajikistan: 57.7

Venezuela: 57.5

Dominican Republic: 57.1

Guyana: 56.6

Seychelles: 56.1

China: 56.0

Thailand: 55.4

Peru: 55.1

Suriname: 55.0

Yemen: 55.0

Fiji: 54.5

Morocco: 54.4

Mexico: 54.4

Maldives: 53.5

Malta: 53.3

Bangladesh: 53.2

Barbados: 52.7

Malaysia: 52.7

Palestine: 52.6

Argentina: 52.2

Belize: 52.0

Trinidad & Tobago: 51.9

Chile: 51.3

Paraguay: 51.1

Jamaica: 51.0

Nepal: 50.0

Mauritius: 49.6

Mongolia: 49.6

Uruguay: 49.3

Ecuador: 49.3

Uzbekistan: 49.2

Grenada: 49.0

Austria: 48.8

India: 48.7

Brazil: 48.6

Iceland: 48.4

Switzerland: 48.3

Italy: 48.3

Iran: 47.2

Ghana: 47.0

Bolivia: 46.2

Netherlands: 46.0

Madagascar: 46.0

Cyprus: 46.0

Algeria: 45.9

Luxembourg: 45.6

Bahamas: 44.9

Papua New Guinea: 44.8

Burma: 44.6

Belgium: 44.0

Slovenia: 44.0

Oman: 43.9

Germany: 43.8

Croatia: 43.7

Lebanon: 43.6

Taiwan: 43.4

Haiti: 43.3

Syria: 43.2

Spain: 43.0

Hong Kong: 42.9

Saudi Arabia: 42.7

Gambia: 42.5

Cambodia: 42.2

Albania: 42.1

Jordan: 42.1

New Zealand: 41.9

Japan: 41.7

Congo: 41.6

Egypt: 41.6

Turkey: 41.4

Denmark: 41.4

Brunei Darussalam: 41.2

Georgia: 41.2

Korea: 41.1

Bosnia/H'govina: 41.0

Senegal: 40.8

Azerbaijan: 40.7

Gabon: 40.5

Libya: 40.3

United Kingdom: 40.3

Laos: 40.3

Canada: 39.8

Ireland: 39.4

France: 36.4

USA: 28.8

Russia: 22.8

Estonia: 22.7

Ukraine: 22.2

Dem. Rep. Congo: 20.7

Burundi: 19.0

Swaziland: 18.4

Zimbabwe: 16.6

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月曜日, 7月 10, 2006

7月10日ブライアン・ウィルソン(つづき)

我々の最初のホロコーストに加え、建国初期の農業と産業の基盤つくりのために無理やり奴隷として連れてこられたアフリカ人たちの犠牲、そして20世紀になって経済市場と資源獲得のためのアメリカ軍による200近い公然の軍事介入、そして何千もの秘密軍事作戦による大殺戮を考えると、「アメリカ文明の栄光」を今日のものにしているホロコーストが実際には3つあることがわかる。


奴隷貿易によってアフリカの人口は5000万人減少したとされている。そのうちの少なくても3分の2は捕獲時に抵抗したり、恐ろしい輸送状況の中で殺された。また、アメリカの軍事介入によって第三世界の2000〜3000万人が殺されたとされている。

世界中の国々の人びとが独立宣言(自治独立の宣言)の精神を引き継ごうとすると、それはまさにベトナムが1945年にやろうとしたことだが、我々の政府はいっさい聞き耳を立てず、それどころか独立を勝ち取ろうとする彼らの努力を挫くために原爆を落とすまではしないまでも、出来る限りのしたことは銘記すべきだ。我々のアメリカとはこのような土台になりたっているのだ。なんというカルマだろう!


我々の共和国建立は、西部開拓を力づくで成功させ、それまで先住民たちが住んでいた領土を安全に確保し経済開発を行うため、強大な国家政府が必要だと主張する上層階級の人間達によって密かに達成された。我々の建国の父たちは人民など代表していないのだ。もしこの憲法が全国民の投票によるものであったら、圧倒的に否決されただろうと信じる歴史家もいる。このようなわけで、それ以降、選挙に献金する者たちの利益を優先する経済システム(これはひとつの贈賄である)を保持するという、金権政治家による政治体制ができあがってしまった。アメリカ政府というのは名前だけの民主主義である。我々の政府は、労働者、マイノリティー、女性、貧困者といった人びとの窮状に真剣に目を向けることなどなかった。

これらの有権者つまり市民のもろもろの権利や福利は、多大な抑圧と、得られたものもやがて失われるという恐れを乗り越えて得られたものばかりだ。それは国民の健康や地域文化、エコロジーへの予算を考慮することなどまずない、より多くの利潤を求める身勝手な寡頭政治によって徹底的に押えつけられてきた。

西欧人が資本主義と呼ぶものは、小さな企業家が地域共同体の中でお互いの需要と力を平和に協調させていく分散型ネットワークというアダム・スミスが考えていたものとはまったく違うものだ。いま我々にあるのは、欲を基本とする残酷な社会システムだ。それではアメリカに住む多くの人びとや他の国々の人びとに公平な暮らしをもたらすことはできない。それは、軍隊や傭兵あるいは政府の経済制裁という暴力的方法による世界中の人々と天然資源の信じられないような搾取を必要とする。

それは、一般国民が、税の抜け道、補助金、契約、あたらさまな公的資金援助などのかたちで、とくに軍産複合体の大企業と金融機関の利益を保証するという利己的な腹黒い福祉政策で育っている。それに加えて、我々の寡占資本主義の下での効率には本当の生産コストと配給コストはまったく考慮されていない。うまい具合に、巨大なエコロジカルコストと人間消耗コスト(どちらも我々の真の財産である)が忘れられている。もしこれらのコストが考慮されれば、この体制システムは瞬時に崩壊するだろう。現実を正直に観察すると、我々が資本主義、今やネオリベラル、グローバル資本主義と呼ぶこの経済システムが、大々的な搾取を正当化するまやかしの仮定のうえに成り立っていることがわかる。現実を正直に観察すると、我々の政治システムは、民主主義ではなく実質的寡占政治によって建設されそれが今日にいたっていることがわかる。


それで、私が国旗を見て独立宣言のことに思いを馳せると、アメリカ合衆国の代わりに、アメリカ企業国家が見える。帝国主義に人間性を奪われそして殺されて行った世界中の人々の血と骨が見える。とてつもなく強大な暴力で守られた巨大な欺瞞のシンボルが見える。吐き気がし、また恥ずかしいことだ。ここに書いている私の意見は、何人かの親しい友人たちの中でさえ歓迎されることはないだろう。しかし私がいま理解している現実を無視は出来ない。実証できる現実を無視した、大衆向けレトリックを用いた操作によって隠ぺいに成功している歴史上かつてない信じがたいほどの虚偽の中に、我々は生きていると思う。本当に驚くべきことだ。いつの日か、我々が見て見ぬ振りをやめ、自己の罪を認め、跪いて許しを請うことができるだろう。そして、世界と我々自身のからだ、心、魂、文化にもたらした信じがたい苦痛と苦悩を感じ始めて声を出して泣くだろう。そう私は期待する。

7月8日子犬たち、さよなら

早くも先週蒔いた大豆が芽を出し始めました。さてこれから鳩対策に頭を悩ますことになります。大豆は小豆のように種から芽がでるのではなく、種そのものが地中から盛り上がって芽になります。それが鳩の大好物。狙われたらあっと言う間にすべて食べられてしまうのです。その対策として、畑全体をネットで覆う方法がありますが、広いのでこれは無理。しかたなく麦ワラを敷いて刈った草をかぶせてカモフラージュ作戦にしました。さてこれで賢い山鳩たちをだませるかな。せっかくいい感じになってきたトウモロコシはカラスにやられてしまいました。ガッカリ!

今日は、最後に残った2匹の子犬をそれぞれ埼玉と横浜の方が引き取りにくる日です。畑は荒らす、苗は喰いちぎる、庭で小麦を干すとおしっこはする、で被害が相当なもので、これでホッとしますが、生まれた5月からこれまで育ててきたわけですからなにか寂しい気もします。

今日、ネットで送られてきたビデオ作品です。おもわず笑ってしまいました。
http://www.darlugo.com/?id=321&ext=1
とげとげしい世の中。笑いが救いです。

金曜日, 7月 07, 2006

7月7日ブライアン・ウィルソン

7月4日はアメリカ独立記念日でした。日本でいうと天皇誕生日みたいな感じでしょうか。アメリカではこの日、家族でピクニックというのが相場で、私もよく誘われて公園に行ったものです。そして、反戦活動家で友人のブライアン・ウィルソンの誕生日でもあります。「戦争中毒」の出版人であるフランク・ドレルがブライアンを敬愛していて、私たちにブライアンを数年前紹介してくれました。ふたりともベトナム帰還兵であり、その戦争体験が平和活動の原点になっています。ブライアンは80年代に平和行動隊を組織して、アメリカの中南米での軍事介入に反対して断食や座り込みなどの反戦活動を盛んにやっていました。1987年9月1日、中南米への不法な武器輸送に抗議して線路に座り込み、引かれ、両足を失いました。このあたりは、ブライアンの本「レッグス」に詳しく書かれています。「テロリストは誰?」の最後にもブライアンは登場していますね。フランクがブライアンの文章を独立記念日に送ってくれたので訳してみました。



「私にとっての国旗とは」
S. ブライアン・ウィルソン  2000年7月4日
(原文 http://www.counterpunch.org/willson0704.html)

たぶん私は7歳のときだった思う。7月4日に町中が祝っているのはどうやら自分の誕生日ではないらしいと気づいたのは。パレードやピクニックや花火ありで興奮の1日だったし、とくに自分のためのパーティとプレゼントがあったからだ。若い頃は、はるか遠くの英国による王政植民地支配に逆らって、我々の建国の父たちが独立宣言に署名したという歴史的な日に生まれたことを大いに誇らしく思っていた。ニューヨーク州北部の小さな農村で、独立パレードにアメリカ国旗を誇らしげに振っていた自分をおぼえている。それから何年も、アメリカ国旗がパレードで通り過ぎるときや国歌奏そうとともにそれが風にたなびくのを見るたびにぞくぞくしたものだ。世界の歴史でも、もっとも偉大な国に生まれ、神に祝福されるなんて幸運なんだろう。

それから何年か経って、ベトナムで軍の「星条旗」新聞を読み、始めて国旗とそれが意味するところのことについて考え、違和感を持ち始めた。それは、アメリカのどこかで国旗を燃やして逮捕されたというニュースだった。つい最近まで、ベトナムのデルタ地帯の小さな村がナパーム弾で焼き尽くされ、たくさんの若い男女や子どもたちが生きながら焼き尽くされる惨状を目撃していた。私は疑問に思った。どうして故郷から1万マイル離れた無実の人間達を焼き殺すのは問題なく、その村人たちをナパーム弾で焼き尽くす国の象徴である布切れを燃やすことがいけないのだろう。冷戦下の共産主義との戦いという言葉にはなにか大きな誤りがあった。それで我々の国が戦争をする理由について疑いを持つようになった。アメリカ神話という大きな虚偽が、国旗という衣の下に不正に保存されている。

自分が教育されてきた文化の説明と実際の体験した現実との間にあるこの明らかに認識できる不協和を処理するのに何年も掛かった。自己の現実を解釈する際なにかとんでもない間違いを冒しているのか、あるいは、文化の説明がひどい歪曲されているかのどちらかを受け入れなければならなかった。うーむ。これはジレンマだった。前者を受け入れれば、リラックスしてアメリカ人であることを誇りに思えただろう。後者であれば、深刻な自己喪失に落ち入りノイローゼになっていただろう。しかし、どんなに頑張っても、自分の良心が絶えず訴える声を無視することはできなかった。

私は、アメリカや世界の歴史を丹念に調べることから真剣に考え始めた。ニューヨーク州西部のセネカインディアン部落の近くに住んでいた10代のころ、よくセネカインディアンの知合いが、どうやって「白人がふたつの舌で話す」かというジョークを耳にしたことがあった。そのときは面白い話としか思っていなかった。しかしそれから、私はこの国がどのように出来たのか発見することになった。1600年代に我々のヨーロッパ人祖先がここに到着する以前に、何百万もの人間、そう人間だ、が住む数百の国々が全土にあった。アメリカ合衆国は先住諸国と400以上の協定を結んだがすべて無視した。やがてこれらの先住民たちは組織的に排除された。これがアメリカで最初の真のホロコーストである。

独立宣言を読み返してみると、以前は気づかなかった文章が目に入った。「英国国王は我々の中に反乱を起こさせようと扇動し、辺境の地に住む残酷で野蛮なインディアンたちを戦うようそそのかしてきた。彼らのよく知られた戦いの掟は、年齢や性別や状況に関わらず無差別に殺すというものである」正しい歴史は、我々の建国の父たちが自由を実験する場所に定めた土地そのものが暴力と欺瞞で盗み取ったことを明らかにしている。そのやり方は、皮肉にも、建国の父たちが先住者たちを非難した極悪非道そのものだった。いろいろ調べてみると、私のヨーロッパ祖先たちが先住アメリカ人たちを尊敬に値する人間とは見ていなかったどころか、卑しい、非人間的な生き物で絶滅すべきものと考えていたことが明白になった。


西半球のコロンブス以前の先住民人口は少なくとも1億人とみなされている(リオグランデ川以北では800〜1200万人)。1900年までに、これがその約5%までに減少した。第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争とアメリカ軍に服し、退役後自分の祖先がネイティブアメリカンであることを知ったセネカ・インディアンの友人が、あるとき言った。「俺はアメリカ国旗を血で汚れた栄光と呼ぶんだ。赤は血、白は殺された先祖たちの骨」

(つづく)

日曜日, 7月 02, 2006

7月2日小麦・大豆

先週の梅雨休みに、お日様が顔を出したくれたので、コンバイン機はあきらめて昔風の足踏み脱穀機で小麦の脱穀を済ませました。杏菜と真生が束を運んでくれたので大助かりです。そしてビニールを庭に広げて天日干し。ここでハプニングがありました。子犬たちがおしっこを小麦にしてしまったのです。泣く泣くその辺りを捨てました。さて、収量ですが、心配していた通り日照不足のため実の入りが悪かったようで、約20キロ。当初の予想40キロの半分でした。さてと、久しぶりにアオバ小麦のパンが食べられます。

小麦を刈ったあとは大豆を蒔きます。一昨日、東京からグリーンピースの撮影チームがやってきました。たまたまニュージーランドで知り合った夫妻も滞在していたので、こどもたちといっしょに総勢8人で大豆を蒔きました。おかげであっという間に終了。大豆は去年穫れた青大豆です。来年の味噌つくりの原料になります。

梅雨といえば梅。そう今年も梅干しつくりをしました。庭の木からおいしそうな梅がぼたぼた落ちてきています。今回は20キロ漬けてあります。

やっとキュウリや茄子が穫れ始めています。トマトは30本も植えてありますが、まだ実が青いようです。オクラがみんな雨で溶けてしまいました。スイカもいつのまにか消えていました。

何年やっても野菜つくりは難しいもんです。

金曜日, 6月 23, 2006

6月23日サラ・マクラクラン


サラ・マクラクランというアメリカのグラミー賞シンガーソングライターを知っていますか。そういう私自身はじめて彼女を知ったのですが。なかなかの美人アーティストですよ。ハスキーな声がいいですね。往年のジュディ・コリンズを思い起こしました。もっともゆみはジュディ・コリンズを知りませんが。私はその昔、ハリウッドで音楽・ビデオ制作会社をやっていたことがありますが、ミュージックビデオの制作というのはべらぼうなお金がかかります。最近ではビデオ画質がずいぶんと良くなってきているようですが、やはり奥行きと微妙な陰影のフィルム撮影にはかないません。それでふつうは35mmフィルムで撮り、あとでビデオに移すという作業をします。ロケーションセットをはじめ、プロダクションにはたくさんの人とプロセスが関わるので、当然その経費はすごいものになります。サラの新曲"World On Fire"(燃える世界)のミュージックビデオ制作には15万ドル(1500万円)も掛かるんです。そこでサラは、そんなビデオはいらない。家で簡単に撮ればいい。というわけで制作費たった15ドルのミュージックビデオをつくりました。そして、その浮いた経費15万ドルをどうしたでしょう。
ぜひ観てください。 
http://music.aol.com/videos/sarah-mclachlan-world-on-fire

以下はその訳です。

このビデオの何がよくないの?
たった15ドルしかかかっていません

15万ドルあれば100万人以上の人になにかできる

ロスアンゼルスのセットでプロダクションアシスタント1人1日200ドルかかる
エチオピアだったら、それで100人のこどもを1学期学校に入れられる

オフィス電話代480ドルで
アフガニスタンの10の教室に教材をそろえられる

1日分のメーク・ヘア代5000ドルで
アフガニスタンの女の子145人を1年間学校に送れる

撮影セットの音響設備費500ドルで
バングラディッシュの家50軒を修理できる

べつに私たちはお金をほしいわけではありません

セットの撮影器具代1150ドルで
ネパールの救急自転車を5台買える

ミーティング、税金、組合費経費9500ドルで
西アフリカの避難民キャンプにいる18万人に教育と現実逃避のための映画スクリーンを贈れる

アフリカ,ガーナのシングルマザー、週7日毎日16時間労働で2つの仕事をしている
息子の学校の年間教育費200ドルのため
夜はオレンジを1個2セントで売る
いつもは50個くらい売れる、それで1ドル

ケニヤ、カンボジア、ニジェール、アンゴラで
2時間分のフィルム代10200ドル=6カ国で6つの井戸をつくる費用

プロダクション監督代3500ドルで
シェラレオネの戦争孤児70人の教育と生活援助ができる

ロスアンゼルスのロケーション1日分食事代3000ドルで
インド、カルカッタのストリートチュールドレンの10950食分を賄える

スタジオ代5400ドルで
アフガニスタンの未亡人100人が自立できる

カメラとアート制作費15000ドルで
地域コミュニティ全域の電気、灌漑、ビジゼス用の発電機を買える

ロケーションセットの電気係1日分の費用2625ドルで
世界中の村々の食料と収入源になる家畜を買える

インドでは40%が貧困ライン以下の生活をしている。
15000ドルで、救急車1台購入できる
これ1台で15万人を治療できるだろう
これは撮影のスタイリング費に相当する
1200万人が白内障で失明しているが容易に治療できる
80%がヘルスケアのない地域に暮らしている

フィルム編集者費用2500ドル=タンザニアのストリートチュールドレン100人の年間学校経費

編集とポストプロダクション費用11000ドルで
ストリートチュールドレンの病院をまる1年間経営できる

1500ドルで、児童兵士7人に自立更正の職業訓練を与えられる
3500ドルで、おばあさん10人を引き取ることができる

奨学金

監督と助手費用16500ドルで
南アフリカの孤児院をまる1年間運営できる

ケニヤ、キンベラに東アフリカ最大のスラムがある
1平方マイル(2.6平方キロ)に80万人が暮らしている
1平方マイルはニューヨークのセントラルパークの広さ

プロデューサーに7500ドルかかる
これで、5000人の患者の6ヶ月分の薬が買える

この子は飢えているけれど、食べ物が吸収できない

制作会社経費22500ドルで
キンベラに12部屋の治療院ができる

そして、15万ドルはすべてこれらに使われた

水曜日, 6月 21, 2006

6月21日麦刈りとBeGood Cafe

冬小麦(11月に蒔く麦)は、収穫が翌年の梅雨時に重なるので昔からお百姓さんの悩みの種でした。脱穀するためにはよく天日乾燥しなければいけません。しかも赤子の手も借りたい田植えの時期とも重なるからです。去年蒔いたアオバ小麦は、日照不足にもめげず順調に穂がつき、いい色になったと思ったら梅雨に入ってしまいました。アコちゃんの助けを借りて、一昨日昨日となんとか天気の具合を見計らって刈取りを済まし、ハーベスタで脱穀しようとしたら、実がまだ湿気っていて脱穀できません。それで急遽納屋に運び込み、梅雨明けまで待つことにしました。よほど雨が続かない限り黴びることはないでしょう。ひとまずこれで一安心。毎年小麦の収穫には苦労させられます。

それにしても、5月の長雨と日照時間不足は野菜や果樹の成育に予想以上のダメージを与えています。昨日ふと桃の木を見たら実がほとんど落ちていました。楽しみにしていたのにがっかり。トマト、きゅうり、茄など成長が止まってしまっています。いつもはものすごい勢いで蔓をのばしているはずのカボチャが今年はさっぱりです。それと、もうひとつ気になることがあります。ミツバチがいないのです。いったいどこに行ってしまったのでしょう。

先週は、オーストリアから911事件・100万ドルコンテストで有名なジミー・ウォルターがゲストで来ていたので、まったく田んぼは手が付かず、やっと月曜から苗とり・田植えを再開し、きょうほとんど完了のところまでこぎつけました。あとは、小さな苗床用の田が残っているだけです。

日曜日(18日)は、代官山のBeGood Cafeで2回目の「ワールドレポート」をやってきました。ダミアンが忙しいところをなんとか間に合わせて映像を作ってくれました。最初は、アメリカのメディアがいかにコントロールされているか、三大ネットワークのひとつNBCがGE(ジェネラル・エレクトリック)の子会社であることを参考に話しました。GEは世界最大の核兵器産業会社です。戦争で儲けているのです。当然アメリカのイラク戦争に批判的なニュースはあまり流さないでしょう。アメリカの地域はシンクレアという非常に保守的なテレビ放送会社が60もの放送局を独占して、政府よりのニュースを毎日流しています。ラジオはクリア・チャネルというこれも保守系の放送会社が1200もの地方局をコントロールしています。ニューヨークで100万人の反戦デモがあっても、国民には知らされないわけです。

そのような企業のメディア・コントロールに対して、草の根の市民メディアが大活躍しています。ニューヨークの古い消防署を改造した放送局から世界に毎朝1時間発信しているのがエイミー・グッドマンの「デモクラシーナウ」です。すべて一般市民からの寄付で経営しているので、主要メディアでは流れて来ない本当の情報を知ることができます。アメリカではケーブルテレビで放映されていて、日本ではインターネットで観られます。エイミー・グッドマンの仕事は想像を越える影響を世界に与えていると思います。日本でも早くできないでしょうか。

そして、もうひとりの人物の話題をとりあげました。いまラテンアメリカに民主化と統一の嵐が吹いています。その渦の中心がベネズエラ大統領ヒューゴ・チャベス です。ラテンアメリカはアメリカ合衆国の裏庭などと比喩されるほど、第二次大戦以降はアメリカの徹底的な支配下にありました。アメリカは武力と経済制裁を使って、民主的な政権やリーダーが現れるとつぶしてきました。CIAの秘密工作作戦です。いままでに何人もの政治家や活動家、宗教家たちがそのように暗殺や失脚させられ、民主化と独立の芽をつまれてきました。(このへんのことは「テロリストは誰?」に詳しく説明されています)チャベスが高い国民の支持を得て選挙で当選したときもアメリカはこれを阻止するために秘密工作を仕掛けましたが失敗しました。チャベスをこれまでに南米の英雄にしている背景には石油があります。ベネズエラは世界第三位の産油国でラテンアメリカ最大の石油輸出国なのです。チャベスは石油生産を国営化して、安くラテンアメリカ諸国に売っているのです。ガソリン高騰で困っているアメリカは石油輸入をベネズエラに多く依存しているので、あまりチャベスと敵対関係になるわけにはいきません。でも昨年8月、キリスト教原理主義者のパット・ロバートソンが「チャベスを暗殺するべきだ」と公言して物議をかもしました。ベネズエラの国営石油会社PDVSAはアメリカにCITGOというガソリンステーションを全米に経営していて、ほかのところよりも安くガソリンを売っています。また、チャベスはアメリカの貧しい人たちに灯油を破格の値段で提供するプログラムもやっていて、ブッシュ政権にとってはまったくいまいましい存在になっています。チャベスは公然とアメリカからの政治経済的な離脱と独立を提唱し、実際その影響でボリビア、ブラジル、ウルグゥアイ、ペルーなどどんどん社会主義的な政権がラテンアメリカに誕生してきています。アメリカの武力と経済制裁というふたつの力が効力を失いつつあるのは、なんといっても石油というファクターがあるからです。ラテンアメリカ最大の産油国ベネズエラはこれらの国々に安く石油を提供することで経済的に民主化独立の支援をしているのです。ただ、現在アメリカはかつてないほどラテンアメリカに軍事力を投入してきており、クレージーなブッシュ政権はなにをするかわからないので目が離せません。

日曜日, 6月 11, 2006

6月12日アメリカ軍基地問題

土曜日の夜、NHK-TVで「米軍基地について考えたことはありますか」という討論生番組があったので、早々と子どもたちを寝かしつけて観ました。ゲストの額田防衛庁長官が、いかに政府が沖縄住民などのことを配慮して基地縮小政策を進めているかと熱弁するのですが、圧倒的な「基地はいらない」という声に、その官僚的なことばはむなしく聞こえていました。驚いたことは、視聴者からのアンケートでこれからの日本のとるべき指針として「平和外交」がほかの「日米同盟強化」と「独自防衛」を抜いて圧倒的に多かったことです。やはり一般の人は軍事化には反対なんだと気を強くしました。ただ聴いていて非常にやきもきしたことがあります。米軍基地が必要と不必要という議論以前の問題です。いったいアメリカの基本的対外政策を日本人ははたしてどの程度知っているのでしょう。

アメリカは第二次大戦以降200以上の海外軍事行動に関与しています。そのほとんどは最近のアフガニスタン、イラク戦争のように先制攻撃をしかけての侵略戦争です。しかも、その相手はすべてアメリカにとっては赤子の手をひねるような第三世界諸国ばかり。その現実的目的はアメリカの利害や既得権を守るためですが、おもてむきには自由と民主主義という「大義」のためです。でもアメリカの軍事介入によって民主化された国などひとつもありません。むしろ、傀儡政権を樹立させ独裁者を擁護してきたのが事実です。(日本も自由民主党という傀儡政権があります)これらの詳しいことはフランク・ドリルの作品「テロリストは誰?」を観て頂ければ納得するでしょう。困ったことに、これらの軍事作戦のほとんどが秘密裏に行われたので世界の人びと(アメリカ市民を含め)が知らないのです。保守共和党支持で愛国者の代表だったベトナム帰還兵フランクもまったく知らなかったと述懐していました。私たちの眼からうろこを出させてくれたのは、ジョエル・アンドレアス著のコミック「戦争中毒」でした。アメリカでこのふたつの作品に出会ったのが、アメリカの対外政策の本質を問うきっかけになったのです。

NHKの会場にいた参加者がもし戦争中毒を読んでいたらきっと発現内容が違っていたことでしょう。そうであれば、「米軍基地を考えたことがありますか」ではなく、「なぜ米軍基地があるのですか」という問いになったでしょう。

日本はアメリカの占領政策で自由と民主主義を根付かされてもらった、ということになっていますがはたしてどうでしょうか。強大なアメリカ軍を常に全国に駐留させているこの列島に、本当の自由と民主主義が存在しているのでしょうか。小田実が「自由と民主主義だけではだめなんです。それに平和主義がなければ」と言っています。経済的繁栄を自由と民主主義に取り違えているのではないでしょうか。私は、平和主義という言葉を一歩進めて「非暴力」というべきだと思います。平和の名の下にアメリカも日本も侵略戦争をしてきたのですから。

月曜日, 5月 29, 2006

6月1日 BeGood Cafe

Gen JPG

5月21日、東京でBeGood Cafeに出演しました。プロデューサーのシキタ純さんから、BeGood Cafeを今年からもっと社会性の高い方向に持って行きたいので、ついては海外情報のようなものを定期的にやって欲しいと依頼されたからです。結局、ワールドレポートというタイトルで10分のセクションをいただいて日本のメディアでは流れないような海外最新情報を語ることになりました。とは言っても、世界のニュースを10分間で話せるわけはなく、今回はアメリカの政局を中心にして、ブッシュ政権の支持率低下と反ブッシュの動き、NSA(国家安全保障局)の電話盗聴事件、同性愛結婚問題などを手短に説明しました。コンピュータ・マスターのダミアンが映像とサウンド製作をやってくれたので見応えのあるリポートになったと思います。ブッシュ大統領を弾劾しようという動きは以前からありますが、歌手のニール・ヤングの「大統領を弾劾しよう」という最近発表された曲が、ニューヨークタイムズの論説でも取り上げられるほど話題になっているので、まずこれを聴いてもらいました。
歌詞はこんな感じです。

Let’s Impeach The President!
http://www.neilyoung.com/
「大統領を弾劾しよう!」
大統領を弾劾しよう
嘘を口実に戦争を始め、権力を濫用し、我々の金を垂れ流した
犯罪人を雇い、ホワイトハウスは闇に隠れている
兵士を戦争に送り出す理由のために、事実を曲げた
市民をスパイし、あらゆる法を犯し、コンピュータと電話を盗聴させた
宗教を選挙に利用して、国を人種別に分け隔て
黒人は無視されたままだ
大統領を弾劾しよう

ニール・ヤングが昔いっしょに組んでいたグループ、Crosby, Stills, Nash & Youngがこの夏再結成して全米ツアーを行うそうです。ニールはどちらかというと保守的な共和党支持者だったのですが、イラク戦争開始以来だんだん考えが変わって、ある日旅先で何気なく手に取った新聞に負傷したアメリカ兵士たちが改造されたボーイングジェット機内の病室で治療されている写真を見て「切れて」しまいました。もうこれ以上ブッシュに大統領を続けさせてはいけない、と作曲したのがこの歌です。

最後はビートルズの曲の替え歌「決定者」で締めくくりました。元曲はMagical Mystery Tourアルバムの「I am the Walrus」です。ルイス・キャロルの「不思議な国のアリス」をヒントにジョン・レノンが作詞作曲されたとされるこの曲をじつにうまく替えていると思います。

The Decider By Paul Hipp
http://decider.cf.huffingtonpost.com/
「決定者」

俺は俺、ラム公(ラムズフェルド)はラム公、イラクは自由だ、みんな一緒だ
チェニーが鉄砲撃てば世界は大騒ぎ,俺が嘘をつけばさ
嘘なんだよ
自分の脳みそに陣取って、最後の日を待っているのさ
企業はオイルマネーで大儲け
俺は法の上さ、何が正しいか悪いかは俺が決める
卵頭の俺が最高指揮官、決定者、ククーカチューだ
バグダッドの警官が幼い犠牲者を並べてる
弾丸が飛んで殺されたんだ、お母さんの叫びが聞こえるかい
俺は嘘つきさ
金持ちたちに減税、貧乏人にはなにもなし
ホワイトハウスの庭に座って神に祈るのさ
いろいろ考えているのさ
脳みそだけがないだけさ

痛烈なブッシュ批判ソングですね。今度のBeGood Cafeは6月18日です。

土曜日, 5月 27, 2006

5月27日 オーママの誕生日

Abraham Lincoln JPG

「この残酷な戦争(南北戦争)もやっと終結に近づいたことは喜ばしいことだ。莫大な資産と血が犠牲になった。共和国にとってはまさに試練のときであった。しかし、この国の近い将来を思うと、迫り来る危機に震えてしまう。戦争の結果、企業が支配者の地位を確立した。これからは上部の者たちの腐敗の時代が始まるだろう。国の金権力(マネーパワー)は、人びとの偏見につけこんで、あらゆる富を少数者の手中に集中させ共和国が滅亡するまで、その支配を守ろうとするだろう。いまだ戦いの最中だが、この国の平和を想うと、今かつてないほど不安にかられる。神が、私の不安は根も葉もないものだと思し召すように」(訳玄)
1864年11月21日 アブラハム・リンカーン大統領 

リンカーンにはすべて見えていたのですね。それから142年経って、要するに、なにも変わっていないということです。戦争とマネーパワーは、かたちこそ変化し、規模が増大しただけで、中身は当時とそっくり。リンカーンが今生きていたら何と言うでしょう。

私の母を子どもたちはオーママと呼びます。オーママは1914年(大正3年)5月24日に生まれました。今日は、誕生日祝いということでみんなで梅の花という豆腐料理屋で会食しました。92歳まで元気に生きてくれてありがたいことです。ところでオーママが生まれた1914年は第一次世界大戦が始まった年で、日本では大正デモクラシーが盛んだった頃です。日本経済は戦争景気で多いに伸び、企業は大きくなったが、大インフレで貧富の差は拡大し、各地で労働争議が頻発し、労働組合運動などが始まります。しかし、結局デモクラシーと言っても名ばかりで、天皇制を絶対とする国体論の前に、なし崩し的に右翼イデオローグに押さえつけられ、そのまま二・二六事件を経て、軍部独走・独裁、太平洋戦争へと突き進むわけです。

オーママの話。
「みんな戦争は嫌だったよ。たくさん死んだし。息子が戦死したのを誇らしいと言うお母さんがいたけれど、そんなことはないと思うよ。自分の子どもが死ねば悲しいのは母親なら誰でもそうなんだから」
(日本人は優秀民族だから、朝鮮や中国に攻め込んで彼らを救ってやるんだという気持ちもあったのでは?)
「そうねえ。小さい時からそう教育されていたから」
「あれは苑子(姉)をおぶって汽車で水戸に向う途中だったわ。空襲をうけて汽車のボイラーに大きな穴が空いて止まってしまったの。当時は休暇で家に帰る軍人が必ず車両に1、2人は乗っていたのよ。列車は高いでしょう。その軍人さんがひとりひとり抱きかかえて降ろしてくれて、さあ、あの林に逃げ込みなさいと言ってたわ」
「東京にもどったらすっかり風景が変わってたの。四谷の家は無くなってた」

オーママのような生の戦争体験を語れる日本人がどんどんいなくなってしまっています。治安維持法や特高の怖さは身をもって経験した人でないと分からないかもしれません。今度はゆっくりオーママの話しを聞きに行ってきます。

木曜日, 5月 25, 2006

5月25日

今年は稲苗の成育がいまひとつ芳しくありません。4月〜5月と雨降り続きで日照時間不足と低温が祟って、発芽率も悪く、例年に比べ丈が伸びていないのです。この2、3日やっと5月晴れがつづいているので、なんとか持ち直してもらいたいものです。先週アメリカに1週間ほどでかけていたのですが、行く前に蒔いておいたニンジンやホウレンソウがほとんど発芽していないのでがっかり。またやり直しです。でも畑ではタマネギがたくさんりっぱに育ってくれて昨日うれしい収穫をしました。ソラマメも大量にできて、タマネギといっしょにスープにしたらまさに絶品。サツマイモとショウガを植えて、あとは黄色くなってきた小麦の収穫を待っているところです。

さて、アメリカでひさしぶりに現地のテレビや新聞・雑誌に接しました。地元紙(ホノルル・アドバタイザー)のトップは、地元出身の海兵隊員3人の写真が載っていて、イラクで死んだことを報じるニュースでした。日本ではこどもが殺されるニュースがトップですが、アメリカは戦死者なのです。すでに2004年のイラク侵攻以来2、500人以上の兵士が殺されているのですが、最近は殺される数が増えて毎日平均3人になっています。イラクには13万のアメリカ軍が駐留していますが、その75%がアメリカはイラクから1年以内に撤退すべきだと考えているという調査結果が最近ありました。

Approval Rating  JPG

(ブッシュの支持率グラフ/赤線は支持、黒線は不支持)
また25%は即撤退すべきだと言っているそうです。そしてこれまでに55万人のベテラン(帰還兵)がいるというので驚きました。そしてその半数以上が肉体的・精神的な障害を抱えているのにもかかわらず、軍人医療費予算カットで満足に治療を受けられない帰還兵がほとんどだそうです。このような厭戦気分を反映して、ブッシュ大統領の支持率は30%をすでに割っている状態です。

Michael Hayden  JPG

テレビでは、そのブッシュ大統領に新しくCIA長官に任命された軍人のマイケル・ヘイドンに対する上院委員会の公聴会を写していました。このヘイドンは、911事件以降、NSA(国家安全保障局)の長官を務めていた人で、いまアメリカ中で問題になっているワイアータッピング(密かに何百万の市民の電話通話記録を調べていた)をやった張本人です。この人を今度はCIA長官に任命しようというのですからブッシュ政権も強引です。民主党議員の憲法違反ではないかという質問に、彼は自身たっぷりに「すべて大統領の命令でやったことで、まったく合法です」と答えていたのには驚きました。先週さらに明らかになったことは、政府に批判的なABCやニューヨークタイムズ、ワシントンポストなどのジャーナリストも盗聴の標的にされていたことです。しかし、これらはすべて対テロ戦争のためという口実で合法化(愛国者法)されているのです。さらにショックだったことは、新聞の論説によるとメディアがこの問題で怒り狂っている一方で、アメリカ国民はというと、むしろ対テロのためには市民の権利がそのくらい制限されても仕方ないと思っていることでした。これを読んで、いま日本で問題になっている共謀罪も、いっぱんの人たちは同じように必要悪と考えているのではないかと思わざるを得ませんでした。

Mary Cheney  JPG

もうひとつアメリカで話題になっていることがあります。チェイニー副大統領の娘であるメアリー・チェイニーが最近出版した本で自分がレスビアンであると公言したのです。これが同性愛結婚を合法化するかどうかという政治論争に油を注ぎました。チェイニーや共和党保守派はもちろん同性結婚を禁じる条項を憲法に明記すべきと言う主張ですが、秋に中間選挙を控えているブッシュ政権はこれを選挙アジェンダにしたくないのが本音なので、いまのところ黙っています。アメリカではすでに同性愛者(ゲイ)という存在は社会でひろく認められているのが現実です。もちろん保守的な南部では事情が異なりますが(ハワイの友人チャッキーはゲイですが、彼の故郷ルイジアナでゲイだと公言することはトンデモナイことだそうです)、同性愛の社員には通常の家族手当やベネフィットを支給する企業が増えてきていると聞きました。ところで、チェイニー副大統領は、娘の告白に、「お前は私の娘だ。愛しているよ。お前が幸せならいいんだよ」と言ったそうです。

ますます混迷を深めるアメリカといった感想でした。

日曜日, 5月 14, 2006

5月14日

母の日の今朝、山々の新緑がひさしぶりに明るく輝いてきました。今日はお日様が出てくれるかな。真生といっしょに雨後に一斉に出てきた巨大な竹の子、というかもう2メートルくらいに伸びている竹を切り取る、間引き作業をしました。急な斜面でなかなか大変です。

教育基本法改正法案の審議が大詰めを迎えています。昨日にニュースでは民主党が「愛国心」についての対案を出したと報じていますが、ほとんどの主要メディアでは、あたかも教育基本法を変えることがすでに前提になっている論調です。でもちょっと待てよと言いたいです。改正を声だかに唱える政治家連中は現今の義務教育の現状をほんとうに知っているのでしょうか。小泉内閣になって以来小中学生の就学援助を受ける割合が40%も増えているそうです。愛国心どころの話しではありません。憲法で保障された、子どもたちが平等に教育を受ける基本的な権利が損なわれているのです。それこそ今問われなければいけないのは、国(政府)の責任問題ではないでしょうか。自分たちの怠慢を棚に上げて教育危機などと唱えるのはまさに噴飯ものです。こんな記事もあります。就学援助が70%という小学校で、子どもたちに「将来の夢」という作文を書かせたところ、三分の一が何も書けなかったというのです。(清水澄子/女のしんぶんより)義務教育に対する国の責任を放棄したままにしているこの政府は、どんな将来像を子どもたちに残そうとしているのでしょうか。

歴史は常に勝利者によって創られる。言い方をかえると、歴史は陰謀の歴史と言ってもいいかもしれません。時の政権・体制にとって都合悪い事実は隠蔽・歪曲されていると考えていいでしょう。

どうして日本はあのような無謀な戦争(太平洋戦争)を起こし、350万人の国民、アジアで2,000万人もの犠牲者を出して負けたのでしょうか。私たちは(少なくても私は)、戦前の国民はみんな騙されて、心にもないことを言わされていたのだと教え込まされてきました。しかし、立花隆は自著「天皇と東大」でこう語っています。「あの時代の資料を読みなれるにつれて、私にだんだんわかってきたことは、あの時代は,後世の我々が考えている以上に右翼的、国粋主義的であったということである。少数の右翼国粋主義者がそうだったというのではない。世の中一般の人びとのものの考え方、感じ方が、今の我々には想像を絶するほど、右翼的であったということだ。(中略)そういうことがわかってきたとき、私はあの戦争がなぜ起きたのかが実感的に本当にわかったと思った。」

「人びとのものの考え方、感じ方が、今の我々には想像を絶するほど、右翼的であった」とは、まさに私にも想像を絶することなのかもしれませんが、この本を読み進んで(やっとほぼ終わりに近づいています)、なんとなく当時の人たちのこころが推測できます。でも、もしかしたら、戦後もそれほど根本的には変わっていないのかもしれません。日本人の感性や考え方がそれほど変化しているとは、最近とくに思えなくなってきました。天皇崇拝や国粋主義という言葉に、私は反射的に拒否反応を示します。民主主義とは相容れないと教育されてきたからです。でも実際には天皇は国民の尊敬される象徴として、私たちの日常に毎日のように存在をアピールされているわけです。それから崇拝に至るみちは意外と近いのかもしれません。そのような危機感を抱かされるこのところの日本の状況です。

火曜日, 5月 09, 2006

5月9日

3月に来日したアーネスト・スターングラス博士とローレン・モレさんの講演内容をウェッブにアップするため、翻訳などの準備をしているところです。グラフなどはコンピュータマスターのダミアンが手伝ってくれているので早々に完成することでしょう。さて、問題はもちろんその内容です。放射能の怖さはうすうす知っていましたが、ここまではっきりとデータを見せられるとまさに眼から鱗状態。正直言ってそれ以来ショックから立ち直れない毎日です。この問題をどう受け止めて行けばいいのか。何が私たちにできるのだろうか。これから生きて行くこどもたちにどんな未来を残せるのか。その問いを正面から突きつけられています。

参考に、ふたつの表をここに載せましょう。
表(1)

Hypothroidism JPG

これはアメリカの原子力発電所の稼働率と先天性甲状腺機能低下症との表です。左の縦軸は各年に新生児10万人のうち甲状腺障害を持って生まれてきた赤ちゃんの数(白丸)、右側の縦軸は原子力発電所の設備稼働率、つまり発電量(黒丸)です。1981年から2000年までのデータです。

表(2)

Strontium 90 JPG

原子力発電所から環境に放出されるいわゆる死の灰には核分裂生成物質がありますが、放射性元素ストロンチウム90はその代表的なもので、その原子組成がカルシウムと似ているために人間の骨に蓄積します。スターングラス博士たちのグループは長年にわたって幼児の乳歯を集めてそれに含まれるストロンチウム90の調査をしてきました。左縦軸が原子力発電所の稼働率(発電量=太線)、右縦軸が乳歯2,600本中のストロンチウム90の値(細線)です。

これを見て単なる偶然だと済ませるひとはよほど能天気(脳天気?)ではないでしょうか。

現代社会の混乱状態の原因に放射能の影響を指摘する人はまずいません。政府や原子力産業による徹底したPR作戦が功を奏して、原子力はクリーンだというイメージが人びとの頭にインプットされているからです。そして、それに反する声はことごとく押さえつけられていることもあります。糖尿病が放射能の影響であることは、放射線の専門家たちの間ではもう数十年前からの常識だったことを最近知りました。長年健康と病気について自然療法を研究してきた私にとっても非常にショックな話しです。私たちの親しい友人にも糖尿病に冒されインシュリン投与をしている人がいます。ジャパンタイムズの報道では国民のほぼ1割(約1,600万人)が患者である可能性があると言っています。こうなるともう国民病ですね。世界最長寿国で、世界に冠たる伝統健康食を有するこの国が、非健康食の代表と言われるアメリカの2倍の糖尿病を抱えていることなど、どうしてマスコミはいままで報道しないのでしょうか。医者は偏った食事とストレスが原因などど当たり障りの無い理由を繰り返しています。

スターングラス博士とモレさんの報告は、単にガンや糖尿病といった疾病にとどまらず、精神病や知能障害への影響も含んでいるのです。放射能の影響は年齢が若いほど顕著になりますから、もちろん胎児中にエックス線など浴びたら大変なことになるわけです。盛んに細胞分裂してからだが大きくなる成長期に放射能を浴びれば、当然それが異常増殖細胞などをつくりさまざまな病気の原因になるのです。最近問題になっている引きこもりや自閉症などの子どもたちの現象も、もちろん家庭や社会という社会環境の影響もあるでしょうが、放射能というファクター抜きには説明がつきません。

六ヶ所処理施設では3月以来、原子力発電所の1年分に相当する放射能を環境にばらまいていると言われています。単純に考えても、これは日本に原子力発電所が365カ所新しくできたことと同じになります。これだけでも十分ショッキングでありませんか。

スターングラス博士たちは、今必要なことは直ちに原子力発電所を止めさせること、そしてより安全で環境に優しい天然ガス発電にかえることだと主張しています。アメリカではすでにコネチカット州などで原子力から天然ガスに転換して稼働しているそうです。また、原子力発電所の設備をそのまま利用できるので、変換コストも大したことはないそうです。シベリアや樺太には天然ガスが大量に埋蔵されていると聞いていますから、エネルギー資源のない日本にはもってこいではないでしょうか。もちろん太陽光や風力などの自然エネルギー開発もどんどん進めていきましょう。

火曜日, 5月 02, 2006

5月2日

世の中が激しい勢いで変化しています。これに気づかない人はよほど呑気かあるいは達観しているのでしょう。そのなかで最近眼にとまった問題は、政府が押し進めようとしている教育基本法の改正(改悪?)です。いまなぜ改正する必要があるのでしょうか。ここに中央教育審議会という政府の諮問委員会による答申があります。これが改正案の基本的な理由になっているのです。

『今日,我が国社会は,大きな危機に直面していると言わざるを得ない。国民の間では,これまでの価値観が揺らぎ,自信喪失感や閉塞(そく)感が広がっている。倫理観や社会的使命感の喪失が,正義,公正,安全への信頼を失わせている。少子高齢化による人口構成の変化が,社会の活力低下を招来している。長引く経済の停滞の中で,多くの労働者が離職を余儀なくされ,新規学卒者の就職は極めて困難となっている。
このような状況を脱し,我が国社会が長期的に発展する礎(いしずえ)を築くために,戦後の我が国社会を支えてきた政治,行政,司法や経済構造などの基本的な制度の抜本的な改革が進められている。教育は,我が国社会の存立基盤である。現在あるいは将来の我が国社会が直面する様々な困難を克服し,国民一人一人の自己実現,幸福の追求と我が国の理想,繁栄を実現する原動力たり得るものは,教育をおいて他(ほか)にない。我が国社会が,創造性と活力に満ち,世界に開かれたものとなるためには,教育についても,これら一連の改革と軌を一にして,大胆な見直しと改革を推進していかなければならない。 』

これを読んで、いったいどうして教育基本法をわざわざ変える必要があるのかと疑問に思わざるを得ません。この答申では、『国民の価値観が揺らぎ、自信喪失感や閉塞感が広がっている。』として、それの解決には、政治経済などの改革とともに教育も改革しなければならないと主張しています。どうして教育も変えなければいけないのでしょうか。大体、「倫理観や社会的使命感の喪失』は現行の教育がよくないからだと言いたいのでしょう。そうかもしれません。でもそうだとしても、それは今の教育が本当に教育基本法に則ったものになっていないからであって、それを教育の場で実現させる義務を負っている政府・官僚の責任ではないでしょうか。つまり、自分たちの怠慢によって現在のような困難を導いておきながら、それを教育基本法という法律に責任転嫁しているにすぎないのです。

現行の教育基本法の抜粋を読んでみましょう。括弧内の文章は私の個人的意見・感想です。

○教育基本法
昭和二十二年三月三十一日
教育基本法
   われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。
   われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。
   ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。
(素晴らしい前文ですね。これだけ人間性の高い法律は世界にも類がないでしょう。9条とともに日本の誇りです)
 
第一条(教育の目的)   教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。
 
第二条(教育の方針)   教育の目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならない。この目的を達成するためには、学問の自由を尊重し、実際生活に即し、自発的精神を養い、自他の敬愛と協力によつて、文化の創造と発展に貢献するように努めなければならない。
(この学問の自由がいま権力によって犯されようとしています)
 
第三条(教育の機会均等)   すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであつて、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によつて、教育上差別されない。
 
第四条(義務教育)   国民は、その保護する子女に、九年の普通教育を受けさせる義務を負う。

第五条(男女共学)   男女は、互に敬重し、協力し合わなければならないものであつて、教育上男女の共学は、認められなければならない。
 
第六条(学校教育)   法律に定める学校は、公の性質をもつものであつて、国又は地方公共団体の外、法律に定める法人のみが、これを設置することができる。

   法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であつて、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならない。このためには、教員の身分は、尊重され、その待遇の適正が、期せられなければならない。
(本当です)
 
第七条(社会教育)   家庭教育及び勤労の場所その他社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によつて奨励されなければならない。

   国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館等の施設の設置、学校の施設の利用その他適当な方法によつて教育の目的の実現に努めなければならない。
(いま地域で起きていることは、学校閉鎖や統合、幼稚園や保育園の予算削減(人員削減)など、まったく 国及び地方公共団体は、その義務をはたしていません)
 
第八条(政治教育)   良識ある公民たるに必要な政治的教養は、教育上これを尊重しなければならない。

   法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。
 
第九条(宗教教育)   宗教に関する寛容の態度及び宗教の社会生活における地位は、教育上これを尊重しなければならない。
   国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。
(戦前は東大の学生がそろって靖国神社参拝などしました。)
 
第十条(教育行政)   教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。
( 国及び地方公共団体の不当な支配がいま問題です。教育基本法改正はさらにこの支配を強化することになるのです。それは教育の根本理念である、教育の独立性、自由を奪うことになります)
   教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。

以上

ここに書いてあることが本当に実施されたらそれこそ日本は素晴らしい、理想の国になるでしょう。いま、やるべきことは教育基本法を改悪して教育を官僚支配のもとにさらすことではなく、この現行の教育基本法をわたしたち親が大人が本当に責任をもって実践していくことではないでしょうか。

金曜日, 4月 28, 2006

4月28日

数年前、アメリカでふたりの若者が、MoveOnというインターネットを通して会員を募ることを始めました。これは、ネットで会員から集めた寄付金を使って政治的テレビコマーシャルを製作・放映することで市民の声を直接広めようという企画です。これが現在では330万人もの会員を擁するパワーフルな団体に成長しました。これまで、ブッシュ政権の政策をことごとく批判する広告を流してきました。昨日、送られてきたMoveOnは、今年11月に行われる中間選挙(いわゆるアメリカの総選挙)に向けてブッシュ政権を支えている共和党議員、それも影響力が大きい上院議員をひとりひとり集中的に批判する広告を出そうという案内でした。アメリカはメディアが強大な影響力をもつ国です。メディア、とくにテレビを握ったものが勝利する典型的なところと言っていいでしょう。そして大企業が政治家と組んでメディア支配をずっと続けてきました。そうやって政権に不利な情報は国民に知らせないのです。また反政府的な情報や意見は主要メディアで取り上げられることはまずありません。ですからMoveOnの企画は画期的でした。今回MoveOnでつくった共和党議員批判コマーシャルを試験的に共和党が制する選挙区で流したところ、あっという間に支持率が急降下し、逆に同選挙区の民主党議員の支持率が上がるという逆転現象が起きたのです。その結果に勇気づけられて、昨日の呼びかけはMoveOn会員に11月の中間選挙まで毎月15ドル寄付してくれないかというお願いでした。https://political.moveon.org/donate/tilnov.html?id=7418-2119821-4e7ykpVHgSeLenyd5eiMjQ&t=6の右側のVIDEOをクリックすればテレビ広告が見られます。アメリカ政局の鍵を握っているのは上院議会です。いまはブッシュ政権を支える共和党上院議員が圧倒的多数ですが、このうち16名を民主党議員に置き換えれば逆転するそうなのです。11月まで毎月15ドル、しめて120ドルでアメリカの政治が変わってくれるのなら安いものではありませんか。というわけで、さっそく昨夜寄付に賛同しました。ところが一夜明けた今朝のMoveOnニュースは、この24時間で124万ドルもの寄付が集まったと報告してきました。すごいですね。同じようなことが日本でもできないでしょうか。

木曜日, 4月 27, 2006

4月27日

このところ天候が気まぐれで農作業の予測がつかず苦労しています。2〜3日天気がつづかないと畑の土が乾かないので耕せません。そろそろ野菜の種まきの準備をしなければいけないのですが。昨日やっと苗床に籾蒔きをしました。籾は水が冷たいのか芽だしがいまいちです。ところが苗床を保温するビニールシートが途中で足らなくなりそうになったので、あわてて近くのコメリというホームセンターに行ったら無いのです。そこで、町まで出かけて農協ともうひとつのホームセンターに行ってら、もう扱っていないと言われてしまい、困りました。ホームセンター(カインズという)の若い店員は、苗床用シートを説明してもなかなか理解してくれませんでした。しかたなく、田んぼに戻って残り少ないシートでなんとかうまく苗床を被せることができました。それにしても、苗床シートが手に入らなくなったとは、ショックです。でも、それもそうですね。今時苗代を見かけることなど皆無ですから。となりのおじさんももう3年前にやめてしまいました。田植えはどこでも機械植えが当たり前になってしまいました。苗をわざわざ育てる農家も少なくなり、農協から購入する人がほとんどです。日本人が食べ物の中でもっともこだわる米をつくる行為が、どんどん管理化され人手を離れていきます。田植機に使う苗は、ほんとうにかぼそく、よくこんなひょろひょろで育つなあと思うくらいです。それにくらべると苗床で育てる稲の苗は頑丈で、見ただけで大丈夫という感じです。そういえば苗床シートを買ったのはもう5年くらい前かもしれません。さて、来年のために今のうちからシートを手配しておかなくては。でも、苗代作りという神聖な作業(それにとても楽しいのに)をこんなに簡単に捨ててしまっていいのでしょうか。

日曜日, 4月 23, 2006

4月23日

竹の子が毎日つぎつぎと土から出始めました。もう子どもたちはうんざり顔です。野良犬のクロがどうやら縁の下で赤ちゃんを生んだようで、数日前からミャーミャー声が聞こえます。どこからか白い野良犬が我が家のまわりに最近出現していたので、こうなることは薄々予感がしていたのですが、さてさてどうしたものでしょう?

今日は、そろそろ苗床の準備と思っていたら、あいにく朝からの雨。無精百姓の私は今日1日たまっているほかの仕事をやることにしました。

共謀罪(正式には「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案(刑法の一部改正)」)という、かつての治安維持法を彷彿させる法案審議が始まろうとしています。だれでも犯罪行為を意図とする会話なり相談をすると、たとえそれが冗談や単なる空想でも、犯罪行為として逮捕されるという恐ろしい法律です。これが成立すると警察国家の体制が一挙に進むでしょう。しかし、法律というものは一部の過激な政治力でできるものではありません。それを支える世論があって初めて可能になるものでしょう。戦前の治安維持法にしても、その目的は影響力を持ち始めた共産党やその思想を取り締まるためでしたが、それは天皇の絶対統治体制をよしとする世論が圧倒的であった当時の事実があるからです。そう考えると、果たして今の世の中、国の治安や安全という問題に関して、どこまでの権力を国家に委ねても構わないと人びとは思っているのでしょうか。不安や恐怖が蔓延するいまの社会を背景に、このような法案自体が実際に国会で審議されること自体すでに人心はそこまで受け入れる用意があるのかもしれません。

陰陽論は宇宙のあらゆる事象に法則があることを教えています。それは、ものごとはすべからず陽から陰に進むということです。そして陰はかならず陽にとって替わられるという宿命があります。今の時代、世間を凌駕している力はもともと陽であったものが陰になったものです。人類の進化の歴史をみると、魚類が栄えていた時代にすでに原始両生類が発現しており、それらが陸に上がってきて両生類時代を築きます。しかし、すでにそこでもすでに原始爬虫類が出現していてやがて陸は爬虫類の天下になります。それも原始哺乳類の出現があってやがて哺乳類にとって替わられます。そして最後にホモエレクトスの出現があって人類の天下になりました。

その人類の歴史も、陽から陰に、さらにそれが新しい陽にとって替わられるということを繰り返してきています。どんな文明もそこに芽吹いた新しい力によって崩壊させられます。そのような視点でいまの世の中をみると、世界を牛耳っているパワーや体制はすでに陰の極みに達しているのかもしれません。すでに陽の力がどこかに現れていて、やがていまの体制にとって替わることになるのです。陰が極まると、つまり世界すべてがそれに染まってくると、自己腐敗や崩壊を起こすとされています。さて、私たちはいったいどこにいるのでしょう。

水曜日, 4月 12, 2006

4月12日

ひさしぶりの投稿です。春はあまりにもすべてが早く変化するので、からだもこころも追いついていくのが大変。昨夜の嵐は予想以上で台風並みでしたね。今朝こどもたちを幼稚園に送りにいった先々で河川が氾濫していて、郵便局前は洪水状態で近寄れませんでした。こんなことはかつてなかったことです。わざわざ自然の形態を破壊してあらゆる水路をコンクリート堤にしてしまったつけがこういうときに回ってくるのですね。降った雨がいっきにコンクリート水路を通って流れてきたのです。山は自然のプールです。その保水性があるからこそどんな大雨でも洪水が防がれてきたのです。せっかく自然が与えてくれているものをお金を(税金)かけて捨てる人間の愚かさにはつくづく呆れます。

Peach Blossoms JPG

桜はほとんど散ってしまいましたが、桃が例年のごとく見事に鮮やかにはたけを飾ってくれています。そのとなりに梨の花が白く色添えしてくれました。大雨も田んぼには、特に100%天水頼りのわが棚田には、恵みの雨です。午後雨が上がったら早速代掻きをしましょう。ことしは、昨年収穫した「はえぬき」種と地元の方から新たに頂いた「ちば28号/ふさこがね」種を7日から水浸けしています。秋にはニュージーランド(当地では春)で稲作りの指導に行くことになっているので、今年はまさに二期作になるかもしれません。

世界政治の変化も大変なスピードで、これも追いついて行くのが大変。アメリカのブッシュ政権がイラン空爆に踏み切るか議論が沸騰しています。そのことで、私が好きなジャーナリスト、ウィリアム・リバーズ・ピットが、先の見えない不気味な不安感を今日のTruthoutに書いているので思わず訳してしまいました。

「どこまで彼らは狂っているか?」
ウィリアム・リバーズ・ピット 2006年4月11日
(原文)http://www.truthout.org/docs_2006/041106R.shtml

昨夜、ブッシュ政権のイラン攻撃計画の可能性についてボスと論争した。ニューヨーカー誌に載ったセーモア・ハーシュの記事に、彼はずいぶんとショックを受け落ち込んでいた。「やつらはやるつもりだ」と言う。
私はボスに言った。ブッシュ政権がやるとは思えない。そしてイラン攻撃がいかに馬鹿げているか、とくに核兵器使用なども含め、あらゆる理由を掲げて説明した。

イランには強力な軍隊がある。とくに音速の2倍以上で飛びイージス艦のレーダーをすり抜けるサンバーンミサイルを含むミサイル陣営があり、ペルシャ湾にいるアメリカ戦艦は簡単に標的にされるだろう。
イランと連結するイラク多数派のシーア派も呼応してただちに猛反撃するだろう。アメリカ国旗を掲げるものはすべて無差別に気違いのように攻撃してくるだろう。
イランと安全協定を結んでいるシリアも攻撃に参加するかもしれない。
イランと石油取引を最近はじめた中国も干渉してくるだろう。
イランの核開発をあるていど支持しているロシアも黙っていないだろう。
イギリスのブレア首相はイラン問題には関わりたがらないし、イタリアのベルスコーニも失職したようだ、スペインのアズナーはもういない。いまブッシュがそんなことをしたら孤立するだけだよ、と私はボスに言った。

通常兵器でさえそうなのだから、核使用などはとんでもない結果になる。地域を越えて拡大した大混乱は、なんとかタリバン関連の原理主義者たちの反乱を押さえ込んでいるパキスタンのムシャラフ政権の崩壊につながり、パキスタン自身の核兵器使用にもなる最悪のシナリオになる恐れがある。そうなればインドも自制心を失うだろう。

私の話しは説得力があったのだろう。ボスは気分をとり直して、その晩は別れた。10分後。ボスからメールで、NYタイムズに今日載ったポール・クルッグマンの記事が送られてきた。
それは「そう、彼はやるよ」という記事だった。そしてこう言っている;
『「でも彼はそこまでやらないだろう」とみなが思っていたからこそ、ブッシュはイラク戦争にアメリカを引き込むことができたのだ。しかも戦争の理由について何も説明なしに。アメリカ大統領が国民を騙して戦争を始めるなど多くのアメリカ人は信じたくない。常識あると自認する人は「彼はやるはずがない」と言う。しかし、イラク戦争がどうやって始まったかをその経緯を知れば、ブッシュ大統領がまた無計画で不必要な戦争を始める可能性を否定することは分別あることではない。それは考えが甘い。』

まいった。

戦争や死ということを考えると、「いったいこの人たちはどこまで狂っているのだろう」と自問せざるを得ないほどアメリカは相当ひどい状況にある。イランが核兵器を保有するにはまだ10年掛かるだろうというのが説得力ある通論だ。だから外交や経済での状況打開策はいくらでもある。イランを攻撃するもっともな理由などないが、悪い理由はいくつかある。
悪い理由の最大のものはもちろん、2006年中間選挙がせまっている中でイラン攻撃はワシントンの雰囲気を一掃することだ。今やブッシュ政権の人気は最低だ。このままいけば2007年1月には民主党のジョン・コンヤーズが議会司法委員会の議長になるかもしれない。しかも召喚状を持って。
いまのところイラク戦争のときのシナリオと違うのは、ブッシュ政権自身はイラン攻撃、とくに核兵器を用いての、は考えていないと強く否定していることだ。

ではどうしてこう腹の底に嫌な気持ちがあるんだろう。

イギリスのガーディアン紙の記事に、元CIA対テロ作戦部長の話しとして、ブッシュはイランへの軍事行動への踏ん切りがまだついていない、ブッシュ自身のこころとの戦いがある、それにまた大統領主席補佐官のカール・ローブが全面的に反対しているからだと書いてある。しかし、秘密作戦はすでに始まっていて、何人かは殺されているそうだ。

ブッシュのこころの戦いだって?何人かが殺されているって?この何でもありのめちゃくちゃ世界で、私はカール・ローブとは全面的に同意見だ。本当に怖いのはすべてがこの不確定さにあるからだ。理性ある人間ならそんな悲惨な行動には走らないだろう、しかし、我々がこの数年間に観てきたことは、この政権の運転ではその理性が後部座席に追いやられていることだ。

今朝、イラン女性が経営する近所の素晴らしいカフェでコーヒーを注文した。彼女に、国が攻撃されたらどうなるかとずばっと訊くと。そんなことは起きないと言った。「クルッグマンの記事は読んだわ。でも彼らがそんなことやるはずない。狂っていないかぎり」
そりゃそうだ。狂って辞めるまで行ってないのは残念だ。
                       (訳文責:森田 玄)

金曜日, 3月 31, 2006

3月31日

今朝の台所の寒暖計を見てびっくり。2度でした。畑をみたら霜が降りているではありませんか。そして、今日、我が家に新たな家族がふえました。キットという生後2ヶ月の子猫をもらってきました。白と黒のまじった雄猫です。去年飼い猫のリモが死んで以来、ねずみが増えて困っていました。さてキットはねずみを捕まえてくれるかしら。

桃の花が咲き始めましたが、こんな寒さではなかなか畑も田んぼも仕事が本格的になりません。いまは去年仕込んだ堆肥を畝に鋤き込んでいます。それでも、冬を越した麦が青々と元気に育っていますし、タマネギ、空豆、絹さや、ガーリック、レタスなども順調です。そろそろ田んぼの代掻きをして苗代の準備をしなければいけません。ところが耕耘機(ロータリー)に水漏れがみつかって一大事。修理に2〜3万円もかかると言われて、どうするか思案中です。苗代程度なら小さなコマメちゃん耕耘機でなんとかなるかもしれません。稲の種まきは4月下旬です。そうそう今年はほうれん草が思いのほかよく育って毎日食卓におひたしになってくれています。

月曜日, 3月 27, 2006

3月27日

アメリカの平和省ウェブ(Peace Alliance)を観ていたら、クシニッチ議員が昨年9月にほかの議員と連名で連邦議会に平和省設立法案を提出した際の演説がありました。みじかいけれど素晴らしい演説なので訳してみました。

連邦下院議会記録 2005年9月14日
「平和と非暴力省」創設
(クシニッチ氏の要請により議会で1分間発言を許される。)

クシニッチ氏:議長殿、私たちの奥深い沈黙から、私たちひとりひとりの内にある平和を知るその場所から、私たちを世界と世界のこころにつなぐ私たちのこころそのものから、私たちは知っています。恐れが暴力を導くこと、暴力が戦争を導くこと、戦争がすべての破壊に導くことを。しかも私たちは恐れを欲していません、暴力も戦争も欲していません。ただ平和を欲しているのです。私たちは平和を欲するあまりそのためには何でもしようとさえ思っています。それで安心のために軍備に予算の半分も使っているのです。
こんな暴力による平和維持など続かないことも知っています。そのやりかたでは私たちの子どもたちに未来を与えることができないことも知っています。
ですから今日、「平和と非暴力」省の設立法案3760を提出して新しい出発にします。これは、絶望ではなく勇気と希望を選択するという数十人の議員たちの宣言です。私たちは新しいアメリカと新しい世界を創ろうと宣言するのです。

火曜日, 2月 14, 2006

2月14日

立花隆の「天皇と東大」、ほぼ半分まで読み進みました。明治の初期、開国したばかりの日本は一日も早く西欧の列強に近づこうと西欧の文化吸収に国を揚げて取り組みました。そこで最初に模範になったのがアメリカやフランスで、そのころの自由主義や啓蒙主義が日本に入ってきて人びとに大きな影響を与えました。自由民権思想がそこで生まれたのです。ところが、天皇を中心とする尊王国粋派は、いわゆる民主主義の台頭に危機感を覚え、国民を煽動して急激に攘夷の体制(国体)に向わせます。アメリカやフランスの教師たちは排斥され、かわりに当時立憲君主制のプロシャ(ドイツ)を規範にします。自由思想の学者や政治家はことごとく排斥され,あっという間にファシズム体制に世間が席巻され、日露戦争を経て、韓国併合、満州国建設と大帝国主義への道に日本は突き進んでいきました。天皇や日本そのものが神格化され、疑うものはただちに投獄されました。歴史も天皇が神の子孫であるというように書き換えられ、教科書にもそう書くよう強制したのです。東大は政府の意のままになる官僚生産の場として、常にその中心にありました。またそれ以上に、ナショナリズムに煽られた国民が帝国主義(侵略主義、領土拡張主義)の道に邁進する先導役を務めたのも東大だったのです。

ここで驚かされるのが、それまでお上といえば徳川将軍様で、京都の天皇などはほとんど無視されていたのに、一般国民がいとも簡単に一夜のうちに神の国という宣伝に洗脳されてしまう事実です。日本人ほどポピュリズムに熱狂的に反応する国民はほかにも類をみないのではないでしょうか。いまの小泉人気はまさにそうです。国際貢献などという極めてあいまいな説明で国民を納得させる手法は、はっきり言って国民を愚弄するやり方です。この国の大衆は、300年の鎖国のあいだにすっかり従順さを身につけ、せっかく文明開化で人権主義が広まる気運が生まれたのに、わざわざ自分たちでそれを捨てて卑下たる身分に戻って行ったのです。

日曜日, 2月 05, 2006

2月11日

最近、ふと立ち寄った本屋で眼に留まった本に注目しています。「天皇と東大」というちょっとセンセーショナルな表題で、著者は立花隆。彼は、週刊新潮のコラムで「戦争中毒」に好意的な文章を書いてくれたこともあり、さらに著書「イラク戦争・日本の運命・小泉の運命」でも同様なことを書いてくれています。日本の著名なジャーナリストで私たちの本を取り上げてくれたのは立花隆だけなので、彼には一目を置いているわけです。実際、立花隆の現小泉政権に対する批判は徹底していますし、とくに、改憲問題での立場も明瞭です。真理の追求というジャーナリストの役割をフルに演じている人間と言っても過言ではないでしょう。

さてこの「天皇と東大」、ご存知の方も多いと思いますが、これは文芸春秋に7年間連載していた「私の東大論」をまとめたものです。じつはこの本には「大日本帝国の生と死」という副題がついています。「長い長い鎖国の時代が終わったあと、日本という近代国家がどのようにして作られ、それがどのようにして現代日本(戦後日本)につながることになったかを、「東大という覗き窓」を通して見た本」とあります。そしてこの国がどうしてこんな国になってしまったのか、歴史を振り返ると日本は大きな曲がり角をまわるたびに大きな過誤を犯してきた、そのときの判断ミスがのちに取り返しのつかない結果となって跳ね返ってきた、その原因を見極めるためにも近現代史を知ることが必要であり、そこからはじめて現代を語れる、と本の趣旨を書いています。

そして、近代日本の政治と軍事と宗教の一体化した神聖シンボルとしての天皇(制)は、近現代史の中心的な役割を果たしてきたこと,また、その天皇を中心とする「国体」観念に全国民が虜にされたが、その魔術支配の主たる舞台こそ東大であったというのです。

まだまだ読み始めたばかりですが、はじめから眼から鱗の話がつづいます。興味あるところをこれからも書いて行きましょう。

木曜日, 2月 02, 2006

2月2日

昨日はよく雨が降りました。お陰で、昨年修理した田んぼの土手がまた崩れてしまいました。やれやれ、またユンボを運び込まなければ。

ことしは、モーツァルト生誕250年ということらしいです。じつは、私は生粋の(変な表現ですが)モーツァルトファンなのです。若い頃はベートーベン,ショパン、チャイコフスキーなどを好んで聴いていました。モーツァルトはどうもピンとこなかったのです。やはりベートーベンの感動的な力強い響きに酔っていました。ところがある日、車を運転していたら妙にこころを吸い込まれるような曲想が流れてきました。実に軽やかでしかもその背後に複雑なメロディラインが流れています。それがモーツァルトに開眼した瞬間でした。それ以来、ほとんどクラシックはモーツァルトです。不思議なもので、いままであんなにこころを揺さぶられていたはずのベートーベンが、意外にもよそよそしく聴こえるのです。モーツァルトは、ある年齢にならないとその本当の素晴らしさが理解できないのかもしれません。少なくとも私はそうでした。でも、どうしてこんなにモーツァルトなのかという疑問に対するひとつの理由は、彼の誕生日が私の次の日だったことかもしれません。いつかヨーロッパをモーツァルトコンサートツアーするのが夢です。

土曜日, 1月 28, 2006

1月28日

今日は昨日とうってかわって朝から快晴です。だいぶ残り雪も少なくなってきました。我が家のまわりにはいろいろな野生動物が生息していますが、この数年とくに目立って増えたのがイノシシです。彼らは夜行性なので人目に曝されることはまずありません。ところが、昨日の夕方、卵をもらいに近所の田畑さんに行った帰りの山道で、5〜6匹の子犬を見かけました。と最初は思ったのですが、近くに寄ると、なんとイノシシの子どもたちです。茶色の毛に覆われ、背中に黄色っぽい筋が数本あります。それらが群れになってちょこちょこと道路を歩いています。一緒にいた杏菜と真生は大騒ぎ。5メートルほど追いかけていくと突然脇の薮から大きな母親イノシシが現れ、子イノシシたちを薮に連れて行きました。イノシシの子ども、まだ生まれてまもない赤ちゃんかもしれません、を見るのは初めてですし、親イノシシをこんなに近くで見るのも初めて。いや、じつに可愛いもんです。本当はいつも田畑を荒らすので憎くき相手なのですが。

最近近くにコンビニができたので、久しぶりに今日の朝日新聞を買って読みました。ここは新聞配達がないので(郵便と宅配は来ます)新聞とは自然と疎遠になっています。朝日は駄目だ、あまりにも保守的・右傾化・政府寄りという批判をよく聞きますが、今日の紙面を見ているかぎり、いやいややはり朝日なりのことはあるなと感じ入っています。まず、全体の紙面を通して戦争批判論調が一貫しています。とくに童話作家の高木敏子の言葉が心に残りました。「戦争を起こすのは人の心です.戦争を起こさせないようにするのも人の心です。戦争を起こしてもいいという心を持つ人が増えたら、過ちが繰り返されてしまうかもしれません。みんなで戦争を起こさせないこころの輪を強く結び、世界に向けて広げて行きましょう」

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アメリカの市民グループが傑作な看板をトラックに積んで、来週の火曜日からワシントン市街を回るそうです。それには「ブッシュ・チェイニー弾劾・排除・告訴される。これ以上譲歩するな。任務完了!」その裏には、「アメリカ国民をスパイ・議会での偽証・違法戦争遂行・捕虜虐待・極秘刑務所・911事件警告無視・・・以上のすべてに有罪」と書いてあります。これと同じような看板トラックを永田町でもやるべきですね。

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金曜日, 1月 27, 2006

1月27日

今日は、朝から厚い雲が空を覆ってとても寒い1日です。久しぶりに一人で家でゆったりと読書とメール書きをこたつでしています。いま居るところは、3年前に造ったサンルームという南西向きの部屋で、とにかく明るくしようとすべての壁面をガラスにしました。お陰で、陽が入るときはそれこそ南国並みに暑いくらいになるのですが、今日のような曇り日は外とかわりません。でも、ここからの眺めはとても気に入っています。ここからまだ雪に覆われた畑と山林が見えます。聞こえるのは屋根に残っている雪が溶けて地面に落ちる音だけです。

昨日は私の誕生日でした。これはという特別な感慨もありませんが、この歳になって心配するようなからだの問題がないことだけは感謝したいです。思えば、十数年前、ひょんなことから知った東洋医学に目覚めて、自然食を中心とした新しいライフスタイルに変換して以来常にこころとからだのバランスの大切さを身にしみて感じてきました。そこで学んだいのちの法則の知恵を多くのひとに知ってもらいたいと勉強会を行ってきました。先週も沖縄で初心者のワークショップをやりましたが、いわゆる半健康と呼ばれるいつ病気になってもいいような人が多いのにはいつも驚かされます。からだの不調を訴えるひとは、それがまるで当たり前のようなことだと思っているようです。あまりにも、周囲に不健康なひとたちばかりなのでそれが普通になってしまっているのですね。こどものときのような、朝起きると自然にからだが動いてしまうような元気さ、はつらつさは年齢とともに失われ二度と帰って来ないものだと思っているようです。そんなことはありません。いのちは常に本来の完全な存在に戻ろうとしています。それを阻んでいるのは私たち自身です。たしかに私たちをとりまく環境はこころとからだのバランスを崩すようなもので満ちあふれていますが、できることはそれこそ無数にあり、そのうちのひとつでも実践すれば確実によい結果が出ることになっています。からだは完全無欠なコンピュータのようなものですから、わずかなことにでも即反応します。その僅かなポジティブな変化は、自分自身への小さな最初の自信になります。その小さな自信を少しずつ増やして行けばいいのです。そうすることで、私のエネルギーが高まり、それが周りに順々と伝わっていきます。ちょうど池に石を投げ入れたように、波が広がっていきます。健康であることは、生まれた生命への責任であり、平和への道でもあると思います。

火曜日, 1月 24, 2006

1月24日

昨夜遅く、沖縄から帰宅しました。ところが、家の近くまで来ると雪で道が凍って登れません。しかたなく下の道にくるまを置いて、山の上の我家まで家族全員で歩いて帰りました。なにしろ17度の沖縄から零度に近いところに来たのですから、その寒さは尋常ではありません。でも、空を見上げると満点の星。それはこういうときしか味わえない凄みのある美しさでした。

ところで、那覇というとあまりにも都会というイメージですが、その都会の中にびっくりするような熱帯の自然が残されています。末吉公園というところで、私たちが滞在していた首里から歩いてほんの15分のところにあります。そこはまさに別世界。昔の沖縄はこうだったんだと感慨に打たれました。そして、なんと桜がちょうど満開なのです。

Walking Home JPG

そして、今日もやはり山の道は凍っていて通行不能。朝、こどもたちと歩いて山を降りました。今朝の天気は真っ青な空。真っ白に覆われた田畑が映えていました。さて、すっかり緩んだからだを早く締めなければ。

水曜日, 1月 18, 2006

1月18日

ニール・ドナルド・ウォルシュ著「新しき啓示」(神との対話シリーズ)より

恐れていることはすでに起こっている。
世界を見まわしてごらん。あなたがたの生き方/生命のあり方の最後の痕跡は2001年9月11日に消滅した。人間の基準で言えば、もはや誰も安全ではなく、安定してもいない。
いまの課題は、安全や安定を失うまいとすることではなく、取り戻すことだ。
物理的なレベルで爆弾や戦車、兵士を使って、あるいは経済力や政治力を使ってそれをなしとげようとすることもできるし、霊的なレベルで信念を変えることで実現するという選択もできる。
変えるべき最初の信念は、自分たちが安全でもなく安定してもいない場合がありうるという信念だ。あなたがたが何者であるかを考えれば、安全と安定の喪失というのは幻想だよ.人間の基準を使えば、あなた方はもう安全と安定を喪失している.霊的な物差しを使えば、喪失することはありえない。
内的な平和は、外的な手段では実現できない.内的な平和は、自分が何者かを理解することで達成できる。内的な平和が実現していればこそ、外的な平和が可能になる.内的な平和がないとろでは、外的な平和はあり得ない。それは人類という種が何度も発見したことだ。
そしていまそれを再発見している。
全世界の外的な平和は、とてももろい.内的な平和が事実上、存在していないからだ。世界はばらばらに壊れつづけ、それをあなたがたは間違った道具(ツール)で元に戻そうとしている。信念ではなく行動を変えることで、世界をひとつに戻そうとしているのだよ。

ハンプティ・ダンプティ、堀の上
ハンプティ・ダンプティ、どすんと墜落
王様の馬が総出でも、王様の家来が総出でも、
ハンプティ・ダンプティを元にもどせはしない
**************

ひとびとは漠然とした恐れを抱きながらも、きっとなんとかなると思いつつ、日々を過ごしています。それはまるでガンがからだにあるのに見て見ぬ振りをしているのと同じです。そう、ハンプティ・ダンプティは落ちてしまった。この地球は平和の星というのは幻想だということに目覚めなければいけないのです。

火曜日, 1月 17, 2006

1月17日

昨日、FMちゃたんに出演したついでに、本土からちゃたん(北谷)に移り住んでいる金森太郎くんと会いました。映画「チベット・チベット」の監督で1年ぶりの再会です。若くてもさすが映画監督、沖縄社会をするどく観察する眼は尋常ではありません。沖縄には約5万人の米軍関係者がいるのですが、それ以外にも軍人ではない外国人が3万人も住んでいると聞いて驚きました。金森くんの友人にハワイからわざわざ沖縄に越してきているアメリカ人がいるそうです。そのわけを訊ねたら、たしかにハワイの自然環境は沖縄以上であるけれどハワイにはない大事なものが沖縄にある、それは「安全」だと答えたそうです。

基地と観光という産業に支えられている沖縄は、ひとつ間違えれば犯罪が蔓延する要因を抱えていることも事実です。ハワイもまったくおなじ社会環境であることをみれば納得いくはずです。それがいままで安全でありえた理由は、沖縄社会の閉鎖性にあるのではないかと思います。べつに沖縄人が意識的にそうしているわけでもないでしょうが、事実、内地からの人が沖縄社会に溶け込んで行くのは至難だとよく耳にします。地域文化と言語の隔たりがその大きな障壁でしょう。でも、だからこそ、それが沖縄の魅力にもなっているわけですね。

金曜日, 1月 13, 2006

1月13日

沖縄・那覇の首里というところに来ています。昨年に引き続いて、友人の所有する空きマンションに家族でこれから約2週間の滞在です。琉球王朝の宮廷があった首里中学のとなりで、この付近を歩くと王朝の歴史を語る史跡によくぶつかります。私には沖縄の歴史を語る資格も十分な知識もありませんが、大通りを逸れて、細長くくねくね曲がる小径を歩いて行くと、熱帯樹に囲まれいかにも伝統的な木の家に出会い「ああ、これこそ沖縄人の暮らしだ」と思いほっとします。そのまま絵はがきになるくらい絵になるのです。

台風という避けられない状況での強固なコンクリート構造にならざるを得ない理由はわかりますが、あまりにも風土とか伝統文化を無視した町並みには正直がっかりさせられますね。

さて、これはアメリカの言わば「読売新聞」とでも呼べるUSA TODAY新聞が行った、「あなたはどのような政府機関とメディアを信用しますか?」という世論調査結果です。

USA Today Poll JPG

まずびっくりするのは、連邦政府にはたった6%の信用しかないことです。地元の州政府や市町村政府にしても大して変わりません。地元のテレビや新聞も20数%です。要するにアメリカ人は、基本的に政府とかメディアというものを信用していないのでしょう。しかし、今の世界はアメリカ帝国の覇権で蹂躙されていると言っても過言ではないでしょう。この沖縄での現状を知るアメリカ国民がはたしているのでしょうか。この矛盾をどう理解したらいいのでしょう。

水曜日, 1月 11, 2006

1月11日

昨日から沖縄に来ました。気温20度。さすが常夏のくに。ここでゆっくり風邪を治しましょう。

ニール・ドナルド・ウォルシュ著「神との対話」シリーズの「新しき啓示」を友人から渡され、また読み直しています。最初読んだときとは違って今回は1行1行にこころが共鳴するのを感じます。以下はとくに自分自身に響いた箇所の抜粋です。

「あなたは『あり方』を選ばなければならない。自分自身を選択しなければならない。これは自己選択だ。あなたは、これが自分だ、と決めなければならない。
それから、自分についての決断を毎日、毎時間、示さなければならない。
行動はすべて自己を定義するのだということを理解しなければならない。
考え、言い、行うことがあなたを決め、あなた自身についてのあなたの選択を表すのだから。
人生は決断を伝えるものだ。あなた自身についてのあなたの決断を世界に伝える。あなたが自分は何者だと決断したかを人びとに伝え、人びとが何者であるかを伝え、なぜあなたがここにいて、なぜ人びとがここにいるとあなたは考えるかを伝え、人生とはそもそも何だと思うかを伝える。
これらの決断は、あなたが思っているよりもはるかに大きな影響を及ぼす。あなたが想像するよりもはるかに深く、人びとにふれる。
しかし、それは世界を変えようとという試みから始まるのではない。自分自身を変えようとすることから始まる。
自分自身を変えれば、内なる世界が変わる。
あなたの内なる世界が変われば、あなたがふれる外の世界が少しずつ変わる。
あなたがふれる外の世界が変われば、その世界がふれる世界が変わり、そのまた世界がふれる世界が変わる。
こうして外へ外へと、池の波紋のようにひろがっていく。」

土曜日, 1月 07, 2006

1月7日

5〜6日と札幌でミーティングがあったので、ゆみと二人で出かけてきました。真生が先日から熱を出していたので、多少心配でしたが、留守番のアコちゃんに子どもたちの世話を頼んでの旅行です。アコちゃんは天からの授かりもの、本当にありがとう。札幌は零下5〜10度という寒さ、我家とは比較になりません。町中が2メートルに届く雪にとじ込まれている感じで、車もゆっくりと恐る恐る動いています。札幌在住のフジワラトシさんは毎日雪かきしないと車が通れなくなると言います。冬の雪かきが大変な作業なので、札幌では一軒家よりマンションの方が人気があって高いそうです。雪国の人は大変だ。あにはからんや、ゆみが真生の介護の疲れからか、5日の夕方から熱をだしてダウン。昨夜はふらふら状態でなんとか鴨川までたどりつきました。そして今朝外を見たら一面の雪化粧。こんな景色は数年ぶりです。すると、宅配便から電話がきて、車が登れないから宅配できないといいます。早速見に行ったら、家に入ってくる道は雪で埋もれていました。どうやら今日はどこにもいけないかなあ。

ところで、地球温暖化に伴う気候変動がおおきな世界問題になっています。そして、その原因は炭酸ガス増加による温室効果だということがすでに一般常識になっています。それで京都議定書などが取りざたされているわけです。たしかに今年の夏も、去年同様、世界各地で記録的暑さだったし、北極の氷も融け始めているそうです。かというと、この冬の寒さは記録的だなどとも書かれています。いったいどうなっているのでしょう?今回札幌で会った北大の水野忠彦先生は、専門がエネルギー物理ですが、まったく異なる見解をスライドで披露してくれました。地球の温度を大きな時間スパンで見ると定期的に温暖化と冷却化を繰り返していることが一目瞭然です。それによると、現在は温暖期から冷却期に向うところなのです。これからどんどん地球は冷えて、氷河期になるというのです。また、問題の炭酸ガスの濃度ですが、それと地球温度とはきれいな相関性が見られます。それから導かれることは、地球温度の高低変化に従って炭酸ガス濃度が変化している事実です。つまり、炭酸ガスが増えたから温度が上昇したのではなく、その逆で、温度が上昇したので、自然環境が活性化し、炭酸ガスが増加したのです。ではどうやって地球温度が変化しているのかと言うと、それは太陽活動と連携していることが黒点の変化から分かります。要するに、地球の温度変化は太陽活動変化に従っている訳です。ところで、炭酸ガスの発生源ですが、人間社会によるものは自然界に比べればまったく微々たるもので全体の1%にも満たないのです。排気ガスだなんだと大騒ぎしてますが、地球レベルからみればまったく無視できるということです。というわけで、地球温暖化という現象そのものの根拠が否定されているのです。ではいったい誰がそのことを主張しているのでしょうね。それは地球温暖化説によって利を得るか者を考えればいいですね。

「911ボーイングを捜せ」が週刊ポストのトップ記事になりました。いまだに世界中のほとんどの人はあれはアルカイダがやったテロだというアメリカ政府の言葉を鵜呑みにして信じています。この地球温暖化説といい、まったくプロパガンダというもののすごさ、恐ろしさに改めてこころが震撼させられます。

月曜日, 1月 02, 2006

1月2日

(昨日の続きです。)

それは、一度自分たちが正しく相手側は悪だと決めると、もうそれ以上何も考えること無く筆舌に耐えないような犯罪を平気で行うようになる。

戦争中、爆撃手仲間がある日私に言った、「これは帝国主義戦争だぜ。ファシストは悪だ。だが、われわれも大して変わらない」そのときは受け入れがたかったが、彼の言葉はこころに引っかかった。

戦争はすべての人のこころを毒し、殺人者と拷問者に変える。独裁者を倒すための戦争だと言うかもしれない。しかし死ぬのは独裁者の犠牲者だ。悪の世界を駆逐するためだと言うかもしれないが、それも長く続かない。なぜなら戦争そのものがさらなる悪を生むからだ。戦争は、一般の暴力とおなじように、麻薬だと思う。すぐ気持ちよくなり、勝利の高揚感に酔うだろう。だが、やがて醒めてくると、絶望に変わる。

第二次世界大戦に続く朝鮮戦争とヴェトナム戦争は「良い戦争」という理由だけで行われた。ソ連や共産主義の脅威という根拠が最大限に誇張され、アジアやラテンアメリカ諸国への軍事介入の口実にされた。しかし、ベトナム戦争では殺戮を正当化する政府のうそがアメリカ国民の知るところになり、政府は撤退を余儀なくされた。そして世界が終わることはなかった。5万8千のアメリカ人と数百万のベトナム人の命が失われた。アメリカ国民の大半が戦争に反対し、史上最大の反戦運動になった。

ベトナム戦争は国民に厭戦気分をもたらした。アメリカ国民はプロパガンダの呪縛が消えて、やっと本来の状態の戻ったのだと思う。しかし、政府はこの国民の「ベトナム症候群」に危機感をもち、これを打ち消そうとした。海外への軍事介入反対は病気だから、これを治さなければならない、ということだ。そこで政府は、情報を制限し、徴兵を止め、グラナダ、パナマ、イラクといった弱小国だけを対象に、反戦運動が起こらないように迅速な戦争をすることでアメリカ国民の不健康な目を逸らそうとした。

ベトナム戦争を終えさせることによって、人間に生来にはない病気である「戦争症候群」からアメリカ国民が立ち直ったわけではない。911事件が政府に与えた機会によって、アメリカ国民はふたたびこの病気にかかった。テロリズムが戦争の口実になった。しかし、戦争そのものが怒りや憎しみを生むテロリズムだ。それを我々はいま見ている。

イラク戦争によって「対テロ戦争」の偽善性が明らかになった。アメリカ政府が、実際どこの政府であろうと、信用できないことが暴露されつつある。それは、人間の安全性とか地球の安全性、あるいは、大気、水、天然資源の保護、貧困や病気の解消、地球上60億人口の多くが影響を受ける、危機的に増大しつつある自然災害への対策などに、もはや政府が信用できなくなった、ということだ。

アメリカ政府は、ベトナム戦争後に再び暴力と不名誉に国民を向わせたが、もう同じことを政府が出来るとは思えない。イラク戦争が終わり、戦争症候群が癒されたときこそ、その癒しが永続する最大の機会だと思う。

私の希望は、あまりにも重く激烈な死と恥辱の記憶がアメリカ国民をして、絶え間無い戦争に反省している他の諸外国からの声に耳を傾けられるようになり、戦争自体が人類の敵だということを理解できるようになることだ。

政府はこのメッセージに反抗するだろう。しかし、かれらの権力は市民の服従があってこそ可能だ。それなしには政府など何も出来ない。このことを我々は歴史上何回も見てきている。

この星を救うためには、戦争放棄が望ましいだけでなく絶対に必要だ。今やその時が来ている。

日曜日, 1月 01, 2006

2006年1月1日

元旦

明けましておめでとうございます。今年は私たちにとって、そして世界にとって、なにか素晴らしい事変(変革)が起こる予感がします。

アメリカを代表する平和主義者のひとりで歴史家のハワード・ジンによる素晴らしい文章がインターネットで送られてきました。新年にふさわしい内容なので抄訳しましょう。彼は第二次大戦中アメリカ空軍の爆撃手としてヨーロッパ戦線に参戦し、戦後、戦争の悲惨さや無意味さ、特に市民が犠牲になることに気づいて、平和運動家になりました。数年前にボストンで一度会ったことがあります。イメージとおり、非常に温和な紳士でした。私たちのやっている東洋医学にとても興味をもってくれました。

Howard Zinn JPG

これは、The Progressive 誌2006年1月号の記事です。

多数のイラク市民を巻き込んだ対イラク戦争と占領もどうやら終わる気配だ。議会でもメディアでもそのような意見が出始めている。反戦運動もゆっくりではあるが着実に全土に広がっているし、世論も確実に戦争反対、ブッシュ政権不支持の方向に向っている。もう兵士をイラクから戻さなければいけない。

では、私たちは今なにを考えなければいけないのか。この恥ずべき戦争が終わる前に、この上も無い暴力への中毒症状に終止符を打ち、かわりに、我々の巨大な富を人類が必要としているニーズに振り当てるべきではないだろうか。この戦争、あの戦争、というのではなく、戦争そのものを過去のものにする議論を始めるべきではないか。実際、国際的に著名な人道平和活動家たちが集まって、戦争放棄を訴える1000万人キャンペーンがまもなく立ち上げる。

こういう事を言うと、争いは人間の本質なのだから戦争は非可避だという意見がある。それに対する反論は歴史が証明してくれる。市民が自発的に戦争を起す事などかってなかった。それどころか、政府や支配者は国民を戦争に行かせるために多大な労力を費やさなければならなかった。貧乏人の若者たちをお金や教育の提供で誘った。それがうまくいかないと不服従者は投獄だと脅して強制的に兵隊に送った。また、兵士が死んだり、負傷しても、それは神や国家の大義(noble cause)のためなのだからといって若者や家族を説得した。
今世紀の絶え間ない戦争を見ても、市民が戦争を要求したことなどなく、逆に、民主主義を広め、独裁者を打倒する反戦行動をしている。

ウッドロー・ウィルソン大統領は、国民がまったく第一次世界大戦への参戦に気が進まないのに業を煮やして、プロパガンダを駆使し、また反戦者を投獄することでやっとヨーロッパに兵を送った。第二次世界大戦では、国民全部にこれは対ファシズム戦争であり「良い戦争」だという強い道義的コンセンサスがあって、若かりし私もその信念に駆られて空軍に志願してヨーロッパの爆撃作戦に参加した。
戦後になってはじめて道義的な十字軍派兵に疑問をもった。広島・長崎、東京とドレスデン大空襲、日本とドイツでそれぞれ60万の市民が犠牲になった。その事実から、私は、自分自身とほかの兵士たちの心理についてある結論に達した。
ーつづくー
(これから親元に新年の挨拶にでかけます)