木曜日, 5月 25, 2006

5月25日

今年は稲苗の成育がいまひとつ芳しくありません。4月〜5月と雨降り続きで日照時間不足と低温が祟って、発芽率も悪く、例年に比べ丈が伸びていないのです。この2、3日やっと5月晴れがつづいているので、なんとか持ち直してもらいたいものです。先週アメリカに1週間ほどでかけていたのですが、行く前に蒔いておいたニンジンやホウレンソウがほとんど発芽していないのでがっかり。またやり直しです。でも畑ではタマネギがたくさんりっぱに育ってくれて昨日うれしい収穫をしました。ソラマメも大量にできて、タマネギといっしょにスープにしたらまさに絶品。サツマイモとショウガを植えて、あとは黄色くなってきた小麦の収穫を待っているところです。

さて、アメリカでひさしぶりに現地のテレビや新聞・雑誌に接しました。地元紙(ホノルル・アドバタイザー)のトップは、地元出身の海兵隊員3人の写真が載っていて、イラクで死んだことを報じるニュースでした。日本ではこどもが殺されるニュースがトップですが、アメリカは戦死者なのです。すでに2004年のイラク侵攻以来2、500人以上の兵士が殺されているのですが、最近は殺される数が増えて毎日平均3人になっています。イラクには13万のアメリカ軍が駐留していますが、その75%がアメリカはイラクから1年以内に撤退すべきだと考えているという調査結果が最近ありました。

Approval Rating  JPG

(ブッシュの支持率グラフ/赤線は支持、黒線は不支持)
また25%は即撤退すべきだと言っているそうです。そしてこれまでに55万人のベテラン(帰還兵)がいるというので驚きました。そしてその半数以上が肉体的・精神的な障害を抱えているのにもかかわらず、軍人医療費予算カットで満足に治療を受けられない帰還兵がほとんどだそうです。このような厭戦気分を反映して、ブッシュ大統領の支持率は30%をすでに割っている状態です。

Michael Hayden  JPG

テレビでは、そのブッシュ大統領に新しくCIA長官に任命された軍人のマイケル・ヘイドンに対する上院委員会の公聴会を写していました。このヘイドンは、911事件以降、NSA(国家安全保障局)の長官を務めていた人で、いまアメリカ中で問題になっているワイアータッピング(密かに何百万の市民の電話通話記録を調べていた)をやった張本人です。この人を今度はCIA長官に任命しようというのですからブッシュ政権も強引です。民主党議員の憲法違反ではないかという質問に、彼は自身たっぷりに「すべて大統領の命令でやったことで、まったく合法です」と答えていたのには驚きました。先週さらに明らかになったことは、政府に批判的なABCやニューヨークタイムズ、ワシントンポストなどのジャーナリストも盗聴の標的にされていたことです。しかし、これらはすべて対テロ戦争のためという口実で合法化(愛国者法)されているのです。さらにショックだったことは、新聞の論説によるとメディアがこの問題で怒り狂っている一方で、アメリカ国民はというと、むしろ対テロのためには市民の権利がそのくらい制限されても仕方ないと思っていることでした。これを読んで、いま日本で問題になっている共謀罪も、いっぱんの人たちは同じように必要悪と考えているのではないかと思わざるを得ませんでした。

Mary Cheney  JPG

もうひとつアメリカで話題になっていることがあります。チェイニー副大統領の娘であるメアリー・チェイニーが最近出版した本で自分がレスビアンであると公言したのです。これが同性愛結婚を合法化するかどうかという政治論争に油を注ぎました。チェイニーや共和党保守派はもちろん同性結婚を禁じる条項を憲法に明記すべきと言う主張ですが、秋に中間選挙を控えているブッシュ政権はこれを選挙アジェンダにしたくないのが本音なので、いまのところ黙っています。アメリカではすでに同性愛者(ゲイ)という存在は社会でひろく認められているのが現実です。もちろん保守的な南部では事情が異なりますが(ハワイの友人チャッキーはゲイですが、彼の故郷ルイジアナでゲイだと公言することはトンデモナイことだそうです)、同性愛の社員には通常の家族手当やベネフィットを支給する企業が増えてきていると聞きました。ところで、チェイニー副大統領は、娘の告白に、「お前は私の娘だ。愛しているよ。お前が幸せならいいんだよ」と言ったそうです。

ますます混迷を深めるアメリカといった感想でした。

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