月曜日, 12月 25, 2006

12月26日人類のライフスタイル

今年の紅葉は見事です。とくに、紅葉(もみじ)がこれほど色鮮やかに緑から黄色そして深紅に変化して目を楽しませてくれたことはかつてなかったかもしれません。ときどき目を見上げるような枝振りのりっぱな紅葉に出会うともうほれぼれして、思わず車を止めて眺めいってしまうほどです。いやいや鴨川の初冬も素晴らしいと見直しました。でも、これって温暖化現象のはしりなのかも。

さて、我が家の道路はあいかわらずすごいことになっていて、この前も初めて訪れたひとが目の前の土のかたまりに絶句していました。市役所がパイプをつないで橋を作ってくれたのですが、それもだいぶ山崩れに押されて歪んでしまい、からだを斜めにしないと通れない状態です。困るのは、夜中遅く帰ってきたとき、しかもだいたい子どもたちはぐっすり車で眠ってしまっていますから、抱いて橋を渡って他の車に移すという大変な作業になります。きょうは朝からひどい雨、もう橋の下が濁流になっています。今夜から本降りになるとラジオがいってましたが・・・

日本の政治状況を深刻に悩んでいます。教育基本法改正(改悪)法案と防衛庁の省格上げ法案があっさりと国会を通過してしまったからです。このふたつは憲法に抵触するものだけに、国民とメディアの関心の無さには、驚きまたがっかりしました。法案が強行採決された翌日、朝日新聞はわずか3面にあまり大きくない記事を載せただけでした。こんなことでいいのでしょうか。いったいみんなは何を考えているのでしょう。もうこの国には自身で変えようというエネルギーがないのでしょうか。無関心でいられるはずがないと思うのですが。

それは、煎じ詰めると、ひとびとの生き方、ライフスタイルに行きつくではないかと思います。ハイテク、ハイコマーシャル、スーパー情報化社会にどっぷり漬かって、マネーゲームと格差社会に振り舞わせれたひとびとに、何かを協力し合って未来社会を創ろうなどという思い入れはもう期待できないのでしょう。

世界を観れば、来年は人類史上、画期的な年になるそうです。それは歴史上はじめて人類の大半が都市に住むことになるからです。世界の各地で人口が1000万を越えるメガ都市が多く出現しています。ほんの200年前には、ひとりの人間が一生のあいだに出会う人間の数は平均して200〜300人でした。それが今では毎朝東京駅で行き交う人の数といったらもう何万人になります。

19世紀以前、100万都市は世界でローマだけでした。近代都市で100万の人口を抱えた最初の都市は、1820年のロンドンでした。今日では、世界には414の100万(以上)都市があります。近代の都市人口の爆発的増加は、地球生態系と自然生息域の犠牲のうえに成り立っています。メガ都市の大人口を養い、その活動を維持するためには、莫大な地球エネルギーの消費が必要です。シカゴのシアーズタワーが1日に消費する電力は、近郊にある人口15万2千人の小都市の電力消費量に相当するそうです。人類は、地球上の純一次生産量、つまり太陽エネルギーが光合成で植物有機物質に変換される量、のほぼ40%を消費している計算になります。ほかの生物の分まで略奪しているわけです。

高層オフィスビルやレジデンス、それにガラス、セメントと人工照明と電子ネットワークシステムの陰で確実に失われて行くもの・・それは自然です。毎日50から100種の生物種が絶滅しています。1年間では18,000から55,000種です。2100年には地球上の3分の2の種が絶滅することになります。

もうこれ以上地球を汚し、資源や生物を搾取するばかりの都市人口集中化を止めないと大変なことになります。それには、これまで征服対象だった自然とどうやって向き合い、お互いが共存できるか真剣に問い直す事に人類種の運命がかかっているでしょう。

日曜日, 12月 03, 2006

12月4日ポロニウム210

24日からほんの数日ですが、サンフランシスコに格安チケットで行ってきました。折しも感謝祭ホリデーで、いつもは学生たちで賑わう滞在先のバークレーはしーんとしていました。木々がすっかり色づいてとても鮮やかに街を飾っていたのが印象的でした。もうすっかりクリスマスムードです。

当地の新聞サンフランシスコ・クロニクルでトップニュースになっていたのが、先週、世界を震撼させたロシアの元KGBスパイ、アレキサンダー・リトビネンコの暗殺事件です。さて、暗殺に使われたとされる放射性物質ポロニウム210についてはいろいろと議論が沸騰しています。NYタイムズにタバコに含まれるポロニウムについての記事がありました。それによると、この事件でもっともうろたえているのはアメリカのタバコ業界だというのです。じつは1960年代からすでに相当量のポロニウムがタバコに入っている事実をタバコ業界は知っていたというのです。昨日、放射線科学者のローザリー・バーテルが、ポロニウムはウラニウムとラドンガスの崩壊生成物で、リン酸塩と強い親和性があるので、リン酸化学肥料に多く含まれていると教えてくれました。タバコの葉には大気中の汚染物質を吸着する部分があるそうで、リン酸肥料(化学肥料)を多く使うタバコ栽培ではラドンガスを吸着しそれがポロニウムに崩壊すると考えられます。

実際にタバコにどのくらいのポロニウムが含まれているかというと、アメリカンタバコカンパニーが1968年に極秘調査した結果によると、タバコ1本につき.04pCi(ピコキューリー)のポロニウム210を吸うことになるといいます。フィルターはまったく役に立たない事もわかったそうです。当然ですが。

ところで、ポロニウムは、キューリー夫人が発見した最初の放射性物質で当初はラジウムと呼ばれていました。放射線量単位のキューリーはそこからきています。

これは非常に微量なようですが、半減期138日のポロニウム210は肺がんを起こすのに十分なアルファ粒子を放出するのでプルトニウムよりも危険だと言えます。

一日1箱半のスモーカーは、毎日約300回のレントゲン照射を胸に浴びていることになるそうです。本当かしら?

問題は、このNYタイムズ記事ではポロニウムがいったいどうやってタバコに混入したのかということに口を濁していることです。リン酸肥料に含まれているから土中から吸収されたと推測していますが、ローザリー・バーテルが指摘しているように、ウラニウムから崩壊したラドンガスがタバコの葉に吸収され、さらに崩壊してポロニウム210になったと考えられるのです。つまり、大気中のウラニウムが元凶なのです。ということは、この60年間、数多くの核実験と世界中の原発そして最近の戦争で使われた劣化ウラン兵器によって世界中で拡散したFallout(放射性降下物)が、まわりまわってタバコに入ったのです。このことは誰も口に出しませんね。本当の問題はタバコだけのことではないからです。