水曜日, 11月 22, 2006

11月22日ディキシー・チックス

毎月一回、東京代官山で開かれるBeGood Cafeで「ワールドリポート」というコーナーを受け持っています。この日曜日(19日)は、アメリカでもっとも人気があるテキサス出身の女性ボーカルグループ、ディキシー・チックス(Dixie Chicks)の話題から始めました。驚いたことに会場の若いひとたちはほとんどディキシィー・チックスを知らないんです。彼らがどんなに大スターなのか、それはアーティストとしては最高のスーパーボールで国歌を歌う栄誉を2003年に与えられたからです。
これがそのときの映像:

2003年といえば、そう、そのあとアメリカがイラクを爆撃し侵入した年です。すると、ディキシィー・チックスはポップアーティストとしてはタブーとされることをやってしまいました。数万人の観衆を前に、「アメリカ大統領がテキサス出身なんて恥です」と言ったんです。それから、全米のメディアを含めあらゆるところから彼女らへのバッシングが始まったのです。まず、放送局が彼女たちの曲を流すのを止めました。ファンが電話リクエストしても掛けないのです。あるところでは、ラジオ局がディキシィー・チックスのCDを捨てるようにと町にそれ用のゴミ箱まで用意しました。彼女たちは一夜にして人気スターから売国奴と罵られるようになったのです。ところがおもしろいことに、それでもコンサートは超満員で、CDは売れつづけ、やっぱり1位になってしまったのです。先月、ディキシィー・チックスのドキュメンタリー映画「Shut Up And Sing」(だまって、歌え)が全米公開されましたが、アメリカのテレビ局はこの予告編広告放送を拒否したそうです。

これが「Shut Up And Sing」の予告編です:

この中で笑ってしまったのは、このくだりです;「赤十字が私たちの100万ドルの寄付を受け取ってくれないのよ。・・・そりゃそうだ、赤十字の名誉総裁がジョージ・ブッシュだもの」

この中間選挙で民主党が12年ぶりに議会を制しましたが、その票を左右したのが若い人の層だったという結果がでています。アメリカの若者たちが、ブッシュにはっきりとNOというメッセージを送ったのです。今の政治世界はアメリカも日本も腐りきっていますね。あまりにも露骨な金と権力の世界。それを変えるのは若いエネルギーでしょう。

そういう中で、3日前のエイミー・グッドマンのデモクラシー・ナウで登場した民主党議員デニス・クシニッチの言葉は、力強く説得力がありました。いまワシントンではイラクにさらに2万の増兵をすべきか議論になっているのですが、同じゲストの元上院議員ジョージ・マクガバンがアメリカはベトナム戦争の二の舞を避けるべきという意見に続いて、クシニッチはそもそも嘘で始めた戦争に大義などない、膨大な戦費をさらに増やすのではなく、疲弊している国内の教育、社会、医療、雇用などの問題に振り向けるべきだと主張しました。

民主党が議会の最大党となっても、そう簡単に政治は変わらないでしょう。でも、平和・反戦を一貫して訴えるクシニッチの存在は、これからかならず注目されていくと思います。大事なことは、アメリカには彼を支える国民がたくさんいるという事実です。

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