金曜日, 5月 28, 2004
5月28日
このところ「テロリストは誰?」用の解説原稿にとりかかっているため、ほとんど他のことには手がつけられない状態です。この映画(ビデオ)の翻訳字幕を全編読み返して、必要な項目を選んでその解説を書くと言う作業ですが、なかなかこれが大変な仕事で、たった1項目を調べるのに数時間かかってしまうこともあります。でもお陰で、映像を見ただけでは知ることのない、詳しい時代背景や人物像に接することができ、とても勉強になっています。いまは、コスタリカでのアメリカCIAによるコントラ支援軍事活動について調べているところです。コスタリカは、大戦後の1949年に日本と同様に軍隊を憲法で放棄し、永久平和中立宣言をした国です。中米は、長い間特権階級の圧制に苦しんできた農民や労働者たちの民主主義的意識が芽生え、キューバ革命をきっかけに反政府運動による内紛が各地で起こりました。アメリカは、この地域への覇権を確保するためにCIAによる秘密活動と軍事介入を行ったため、中米のひとびとの多くが犠牲になりました。コスタリカでも戦後革命が起きて、いろいろと内紛もあるのですが、なんとか外国からの干渉や侵入を防いで今日にいたっています。その歴史をみると、とにかくアメリカとうまくやっていこうという歴代政権のしたたかな外交政策があるのです。隣国ニカラグア内戦のときは、CIAの麻薬・武器取り引きの秘密基地を国内に作ることを黙認し、アメリカ軍を援助したのですが、のちにこれを禁止し、麻薬取引きを厳しく対処していきます。もちろんアメリカは怒るのですが、なんとかうまく外交戦術でしのいでしまいます。他の中米諸国がほとんどアメリカの軍事介入で傀儡政権と化しているのに、コスタリカだけは、独立を保守できているのは驚異でもあります。それは軍隊を捨てたという平和憲法を歴代の政権が死守したことなのですが、なによりも国民の平和や民主主義に対する高い意識があるからだと思います。ほとんど白人だけの均質社会ということも理由のひとつにあるでしょう。日本も同じ均質社会で、平和憲法があるのに、戦後だらだらとアメリカ占領軍の恒常的基地居残りを認め、巨大な自衛隊という軍隊まで保持し、しかも今回はイラク派兵までしてしまいました。平和憲法を現実に合わせて変えようと言う動きまであります。コスタリカとのこの差はなんなのでしょう。それはひとえに国民の政治への意識、民主主義というあり方についての意識の差だと思います。独裁政治下で過酷な生活を強いられてきたラテンアメリカの人たちが、何回も民主主義革命で多くの血を流し闘ってきたなかで、国民による国民の政治を求める民主主義の意識が成長してきたのです。実際に国民が闘って獲得してきた政治です。ところが、日本人(国民)がそのように直接政治に関わって闘ってきた歴史はありません。政治はいつも武士や貴族という特権階級のもので、第二時大戦を闘ったのは軍隊(軍部)であり、人民ではありません。たしかに何百万もの犠牲者がありますが、兵士以外は闘って死んだのではないのです。日本人の政治はいつも「お上」から与えられると言う意識がまだまだ強いのでしょう。政治に無関心な人が多いのはこの辺の理由でしょう。これを変えるのは、私たちが政治を変えることが可能という認識を植え付ける活動が必要です。その最先端がNGO活動ですね。
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