木曜日, 7月 01, 2004
7月1日
お茶の水の明治大学で作家の井上ひさしさんの講演があると聞いて、久しぶりに夫婦で出かけてきました。冬の間留守番をしてくれ、しかもその間すっかりここで人気者になった彦根の「アコ」くんがベイビーシッターを快く引き受けてくれたのに甘えたのです。アコくんは岡山から自転車で旅をつづけ、富士山麓でのWPPDに参加してから甲府を通って、1週間まえに鴨川についていました。明治大学では、ゆみの夜間部クラスでの講演がその後に予定されていました。明治大学の昔のキャンパスを知っているので、リバティホールというモダンな会場にはびっくりしましたが、そこで井上ひさしさんのイタリア・ボローニャにまつわる話が始まりました。ヨーロッパの地域社会の政治文化についてはまったく無知に近い私に、氏の話はとても新鮮に興味深く響きました。ボローニャにはフェラーリ工場があるのですが、元々自転車を作る会社だったそうです。井上さんがいかにこのボローニャという小さな都市(人口38万)に魅入られたのか、訥々とした口調で語ってくれるのですが、さすが一流作家、話上手でどうしてもこのボローニャに一度は行ってみたい気になります。この町をここまで魅力ある都市に育てたのは、やはり住人たちの人間としての意識の高さ、ひとはどう生きるべきかという民主主義の根本精神の高さではないでしょうか。たまたま今読んでいる本で、アメリカの哲学者デューイの言葉につきあたりました。「民主主義はそれ自体が目的ではない。それは、人びとが人間の根本的なあり方と人権とを見い出し、広め、証明していくための道具である」。まさにボローニャの人たちは真の民主主義を実践しているのです。だれもがそこに住みたいと希望が殺到しているそうですが、当然ですね。
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