月曜日, 7月 26, 2004

7月26日

なんとまあ、6月中旬に田植えをして以来ほとんど一滴も雨がありません。完全な空梅雨。天水頼りの我家の田んぼは悲惨な状態で、土がコンクリートになっています。田植えからの1ヶ月は稲の成長にとってもっとも大事な時期。この日照りは大打撃です。ところが、日本海側では大雨で被災者が出ているのです。そしてインドやバグラディシュでは大洪水で2000万人が被害を受けていると報道されてます。この世界的な極端な異常気候現象をどう考えればいいのでしょう。市の上水道がない我家は、この山奥からちょろちょろ流れ出ているわき水を引いて生活用水にしているのですが、幸いにも、いまのところそこはまだ涸れていません。しかし、それは貴重な飲み水ですから、むやみに畑や田んぼに撒くわけにはいきません。刈るにも刈れずに畑に生い茂った雑草が唯一、夜露を集めてくれるだけです。この週末は家族で、千葉県北部にある栗本・地球村での「平和への結集」合宿をしました。そこのオーナーの佐藤文彦さんもこんな日照りははじめてと言っていました。そこは井戸で地下水を汲み上げているので、我家のように苦労はないのですが、それでも見ると畑の土はカラカラで作物の生育もあまりよくないようです。たまたま泥ネギを収穫していたので、もう残り少なくなった我家のネギの補充に5キロほど買ってきました。栗本・地球村は畑が6ヘクタールもあります。佐藤さんは以前九州の赤嶺さんのところで研修していたそうで、ゆみとはその当時からの知り合いです。そういえば、彼の風貌はなんとなく赤嶺さんに似てましたね。「平和への結集」合宿は参加者16人、これは理想的な人数ですね。ファシリテーターの上村雄彦さんの手慣れた進行で、ディープエコロジー・ワークショップなどを含めて、内容の濃い二日間でした。小林正弥先生ほかみなさん御苦労さまでした。7月はなんといっても17日の第一回東京平和映画祭があったので、その前後は超がつく忙しい毎日でした。おかげさまで映画祭は大成功といってよい盛況に終わりましたが、50も参加してくれたボランティアスタッフが盛り上げてくれたことが最大の要因です。若い人たちのエネルギーはすごい。もう秋に第二回をやろうという声が上がっているようですが、私たちはとても同じようにはコミットできません。3歳になった真生が最近やっと紙おむつを卒業してくれました。毎日おしっこ、うんち、と言ってくれるようになりました。これで、我家の下肥がやっと家族全員のものになったわけで、完全リサイクルになりました。するとにわかに我家のゴミの量が半減したのです。全国で出る赤ちゃんのおむつのゴミの総量たるや、きっと天文学的な数字でしょう。もし土に戻せる紙おむつを開発したら、それこそ、そのまま生ゴミなどと混ぜて理想的な堆肥ができるでしょう。誰かやらないかしら

木曜日, 7月 01, 2004

7月1日

お茶の水の明治大学で作家の井上ひさしさんの講演があると聞いて、久しぶりに夫婦で出かけてきました。冬の間留守番をしてくれ、しかもその間すっかりここで人気者になった彦根の「アコ」くんがベイビーシッターを快く引き受けてくれたのに甘えたのです。アコくんは岡山から自転車で旅をつづけ、富士山麓でのWPPDに参加してから甲府を通って、1週間まえに鴨川についていました。明治大学では、ゆみの夜間部クラスでの講演がその後に予定されていました。明治大学の昔のキャンパスを知っているので、リバティホールというモダンな会場にはびっくりしましたが、そこで井上ひさしさんのイタリア・ボローニャにまつわる話が始まりました。ヨーロッパの地域社会の政治文化についてはまったく無知に近い私に、氏の話はとても新鮮に興味深く響きました。ボローニャにはフェラーリ工場があるのですが、元々自転車を作る会社だったそうです。井上さんがいかにこのボローニャという小さな都市(人口38万)に魅入られたのか、訥々とした口調で語ってくれるのですが、さすが一流作家、話上手でどうしてもこのボローニャに一度は行ってみたい気になります。この町をここまで魅力ある都市に育てたのは、やはり住人たちの人間としての意識の高さ、ひとはどう生きるべきかという民主主義の根本精神の高さではないでしょうか。たまたま今読んでいる本で、アメリカの哲学者デューイの言葉につきあたりました。「民主主義はそれ自体が目的ではない。それは、人びとが人間の根本的なあり方と人権とを見い出し、広め、証明していくための道具である」。まさにボローニャの人たちは真の民主主義を実践しているのです。だれもがそこに住みたいと希望が殺到しているそうですが、当然ですね。