日曜日, 4月 18, 2010

非暴力的科学とは

アメリカの権威ある「米国公共衛生ジャーナル」にこんな記事が出ていました。

大手の健康保険会社が20億ドルものお金を、マクドナルドやバーガーキング、ケンタッキーフライドチキン、タコベルといった巨大ファーストフード企業に投資しているというのです。

これらの保険会社は儲けを人々を不健康にさせる業界に再投資することで、さらに多くの保険加入を獲得しようというのです。要するに、健康保険会社にとって、人々の健康などはどうでもよいということなのでしょう。

そのような大衆を不健康にすることで利益を得ようという企業は保険会社にとどまりません。製薬会社も、健康にいいどころかどちらかというと害になる安い化学ビタミン剤の会社に巨額を出資をしているのです。

もっと怖い話は、米国歯科医師会は水銀アマルガムという歯の詰め物の特許を持っていて、そのために子どもの歯の詰め物に水銀アマルガムを今も薦めているというのです。水銀はご存知のように水俣病の原因になった物質で神経系麻痺を引き起こす恐ろしい元素です。日本では今ではほとんど使われなくなっているようですが、アトピーや鬱病などさまざまな症状の原因になっている可能性があるので、過去に水銀アマルガムの詰め物をしていて心当たりがある人は、一度歯科医と詰め物を入れ替える相談をしたほうがいいでしょう。

以上の事実から言えることは、これらの大企業がひとびとの病気の要因をつくることで利益を得ているという全体的な病んだ産業構造です。彼らがいわゆるジャンクフードと言われるガンや心臓病、糖尿病などを引き起こす可能性のある食べ物を人々に提供することで儲けるのであれば、まさに人間の生命の苦しみや犠牲の上にこの産業が成り立っていることになります。

でも、もう少し広い視野でよく考えてみると、私たちが何気なく投資したり、貯金しているお金がとんでもないところに使われている可能性があることに気づきます。

たとえば、世界でもトップクラスの保有高を誇る日本の郵便貯金や銀行預金などはどうでしょう。

私たちが銀行に預けてある預貯金で、銀行は日銀の政府短期証券を購入します。日銀はそのお金(私たちの貯金)で為替介入、すなわち円を売ってドルを買い、米国債に投資するという流れになっています。そこで困ったことは、アメリカは自国の税収では軍事費が賄えずに、国債を売ったお金でそれを調達している事実です。しかも日本はアメリカの国債のお得意先になっているのです。実際、現在日本の米国債保有高は中国を抜いて世界一になっています。つまり、アメリカの戦争の費用を賄っているのは、間接的に私たちの貯金なのです。

これはお金の流れが引き起こす、皮肉で悲劇的な結果です。何気なく使っているお金が、知らない内に、まわり回っておそろしい破壊的なことに使われていることを意識している人が何人いるでしょう?

そもそもお金自体には何の責任はありません。アメリカの健康保険会社がマクドナルドに投資するのも、企業として利潤追求のための当然の行為なのかもしれません。

そして、お金という通貨そのものが、大企業に支えられた巨大な金融システムに支配されている現状の世界では、人間性などという価値観が入り込むすき間など皆無だという ことです。

それを資本主義とか社会主義とか呼ぼうと関係なく、私たち一人ひとりがこのお金のシステムに加担し、それを利用し、そしてまた支えていることには変わりありません。私たち自身がその問題の当事者だという非常に困ったことになっているのです。戦争を止めよう、企業の環境破壊を止めようなどと叫んでいる私たち自身が、間接的にそれらを支えていると言ったらどう思いますか?

どうしてこのような状況になったのでしょう。ある人たちはお金が存在し始めた有史以来からのことだと言います。でも、これほど人間性を破壊するシステムに成長したのは、どちらかと言うと人類史では近代西欧に始まると思います。じっさい、キリスト教やイスラム教では、お金で儲けること、つまり利子をつけるのは”邪悪”と考えられ禁止されていました。もちろん、それは表向きで、当時ユダヤ人たちが一手に握っていた金貸し業の最大の顧客は教会と国王だったそうです。でも、イスラム教では今日でも利子は禁止されています。

では、なにが決定的な変化のきっかけになったのでしょうか。私は、それを近代科学の始祖と言われる天才ニュートンの出現が最大の起因になったと考えています。

なぜ科学がお金と関係するのでしょう?

じつは、ニュートン以前の人々の信仰や哲学、思想そして生き方を支えていた根源的ものは、”神”の存在であり、万物は神の創造物であり、しかも神によって動かされ、生かされていると信じられていました。いわゆる宗教的宇宙観であり世界観であったわけです。(この点では、仏教や神道、儒教、インド宗教などの東洋思想とその他の世界のアニミズム的宗教は基本的に同じと考えてよいでしょう。)ですから、お金も神の創造物で”神聖”な存在なのですから、利子で儲けるなど神に対する冒涜になるわけです。

では、アイザック・ニュートンが何をしたのでしょう?もちろん、彼は得意の数学的才能を駆使して「万有引力の法則」を世に知らしめたのですが、彼の”業績”はそれだけではありません。ニュートンはその数学の師匠であるルネ・デカルトが考えていた宗教的宇宙物理観をひっくり返してしまったのです。

それはどういうことかと言うと、前述のようにニュートン以前は万物は神のパワーで動かされていると考えられていたので、物自身に独自の力があり、勝手に動いたり、引っぱったりはしないことになっていたのです。ところが、「万有引力の法則」はその神のパワーをばっさり取り去って、物自体に力(引力)があると数学的に示したのです。これは、それまでの人々の宇宙・世界観そして宗教観に決定的な影響を与えました。俗にいえば、神の呪縛から自由になったのです。ニュートンが近代科学の祖と言われる所以はそこにあります。

物はそれ自身独立した存在であり、神であろうと何であろうと、それに勝手に影響を与えることはできないという「唯物主義思想」がそこに生まれました。それは人間理性の勝利であり、また科学的実証性が近代人類の普遍的価値観の基礎になったという意味でもあります。

そしてそれまで隠れてやっていた”利子”が晴れてその権利が認められて合法的になったのです。

私たちは、科学的理性を尊重するように教育されて来ました。世の中の出来事や存在に感情や気持ちをはさむことは、客観的判断を誤るとされて来ました。そして数学が至上のものとされて来ました。物には感情などなく、ただ存在し、性質と量や数や重さがあるだけだと教えられて来ました。昨今の拝金思想やモノ崇拝に始まる人間性の喪失や混乱は、いまの政治経済文化システムがたしかにその要因をつくっていますが、その根源的なルーツはこの近代科学中心主義であり、それに端を発した非人間性的ハイテク文化が人類に蔓延していると思うのです。

真の人間性を忘れ、人間のいのちを害する行為や状態を私たちは”暴力的”と言います。その意味で、科学中心主義に根ざした今の文化は基本的に暴力的文化なのです。健康保険会社が儲けのために人 々の健康を害する食品販売に加担するのは暴力的行為ではありませんか。私たちの銀行に預けたお金が、戦争に使われるのは暴力的行為ではありませんか。必要悪だと言って、地球から莫大な量の石油を毎日掘りあげ、ガソリンとして使って大気を汚染し、また廃棄処理不可能なプラスチックに加工して世界中にばらまくことは?農薬は?学校教育は?病気の治療は?民主主義は・・・?

公平 か、正当かにかかわらず、それは事実です。人間性を忘れた科学そのものが暴力的であり、それに支えられている現代社会のあらゆるシステムそのものも本質的に暴力的だと言っても過言ではないでしょう。

ですから、どんなに今の政治経済システムをいじくっても、現代の人々の考え方を支配しているその科学的概念や価値観が変わらない限り、根本的な問題解決にはならないでしょう。

ちなみに、ニュートンの言う”万有引力”、つまり重力が本当にあるのか実証されてはいません。それはあくまで数式からの仮説に過ぎないのです。リンゴがなぜ落ちるのか?当たり前に思えるその理由が証明されていません。

いま望まれるのは、唯物主義的観念に陥っている近代科学に代わる真の科学の登場です。だからといって、またニュートン以前の”神の科学”に戻ろうというわけではありません。人間の精神性や宇宙エネルギー(東洋では”気”と呼びますね)などの形而上的存在と形而下的存在を統合する新しい”非暴力的”な科学です。平和の科学と言っても良いでしょう。

それがもうすぐ人類にもたらされる予兆を感じています。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

玄さんはじめまして。

在英20年ロンドンからです。
こちらイギリスでは、スーパーに行くと食品に対する知識のあるなしでハッキリと買い物に違いがあります。そして体に良くないものを食べ続けるとどうなるかは彼らを見れば姿でわかります。往々にして年齢より老け込んで、体形、顔色も良くない方が多いのです。。。

この矛盾に満ちた世界で暮らすのは、知れば知るほど悲しい事ですが、明日を信じて頑張ります。
BBC4でBeautiful mind というタイトルで James Lovelockの番組が放映されました。Youtubeで見れるかもしれません。

宇宙人 さんのコメント...

日本人がよく誤解する事実として・・・太っている多くの貧しいアメリカ人は知識や自己制御力がないから、ジャンクフードを選んで食しているわけではありません。貧困層はガス代電気代が払えない。ジャンクフードが一番安くて熱を使わず、チケットでできるだけたくさん買えるものでおなかにたまるからでなんです。体に悪いことは十分知っているが、彼らは今日を生きるために選択肢がないんです。お金持ちは食品を選ぶ自由がある。だからローフードやオーガニックを食べることができる。貧しい人は知らないのではなく、食品を選ぶお金の余裕がない、ということなんです。

お金について。ニュートンの話より、もっと簡単に説明しましょう。この地球で生まれたもの全てには、「ライフサイクル」があるということです。生命が生まれ、育ち、次の世代につなげて、死ぬ。長い目で見れば、岩だって、水だって、宇宙だって、自然淘汰があります。
しかしこの自然な原理が、お金のシステムにはないということです。つまり、お金はお金だけでどんどん増殖し続ける。まるで、イルミナティが目指しているように、今のお金は永遠の命なのです。
全てのものが衰退し淘汰の時期を迎えていくのに、お金だけは永久に増え続けて、総量としては減ることがない・・これは異常です。
世の中は相互作用で成り立っているので、ひとつがその自然なライフサイクルのバランスを崩すと、全てがそれに引きずられてバランスを崩します。それが様々な社会問題を引き起こしているともいえましょう。
体の中で異常増殖した、狂ってしまった細胞は、体本体が死ぬまで増殖をやめません。同じようにお金もこのシステムが崩壊するまで増殖したとき初めて、死を迎えるでしょう。
結局は、お金でさえも大きな自然の摂理には逆らえないからです。

新しい世界では、お金にも、生き物と同じようにライフサイクルを持ち込まないとなりません。つまり人間がお金に「死ぬ」時期を与えてやることです。
お金に「期限」がついたとしたらどうでしょう。10年たったら、ネットショッピングのポイントのようにお金の価値がゼロになる。そんな生鮮食品のようなお金なら、溜め込んでも仕方ないので、みんな生活に必要なだけあればよい、と考えることでしょう。お金が循環して、文字通り、天下のまわりものになるでしょう。
また、どうしてもお金を維持したいのなら、それを無利子で貸すことで、ゼロになる期限を延ばすこともできます。
そうすれば、ここでかかれているような不幸な出来事がおきたり、お金がパワーと結びつくこともなくなります。

お金のシステムが、もうすぐ死を迎えるとき、新たなシステムを選択できるひとは、今の多くの人のように、どんなに善人ぶってもこころの奥底では自分の範囲のことだけを考えて生きている人ではありません。全体と自分との利害関係はつながっていることをつねに同時に把握できる人だけです。