日曜日, 4月 28, 2013

ふくしま子ども集団疎開裁判に判決

311福島原発災害から3ヶ月後の2011年6月、郡山市の小中学生14名が原告になって、いわゆる「ふくしま集団疎開裁判」を郡山市に対して起こしました。現在の高い放射線環境下で子どもたちを教育するのは憲法で保障された安全な環境のもとで教育を受ける子どもたちの権利を奪うものであるから、管轄行政府はただちに子どもたちを安全が保障された場所に疎開させ、教育を受けさせる義務がある、というのが原告側の主張でした。

4月24日、仙台高裁はふくしま集団疎開裁判の原告側の申立てを却下する判決を言い渡しました。

 「チェルノブイリ原発事故によって生じた健康被害,福島県県民健康管理調査の結果,現在の郡山市における空間線量率等によれば,子どもたちは,低線量の放射線に間断なく晒されており,これによる,その生命・身体・健康に対する被害の発生が危惧され,由々しい事態の進行が懸念される。この被ばくの危険は,これまでの除染作業の効果等に鑑みても,郡山市から転居しない限り容易に解放されない状態にある。」

判決文のこの最初部分を読めば、だれでもこれは集団疎開を認める判決だと思うでしょう。子どもたちの生命が脅かされる可能性があり、被曝の危険は疎開しないかぎり避けられないと明言しているからです。ここまでは裁判官はいまの福島の現実を素直に認めていると言えます。

ところが本文に入ると論調はがらりと変わって、いますぐに悪影響がでるという確証がない、自主避難の道はあるのだからわざわざ郡山市が避難させる必要性がない、という不可解な論旨で被告の責任を回避しています。

 これほど前文と結論がねじまがった判決文は、これを書いた裁判官たちがどんなにプレッシャーを受けていたかを如実に示していると思われます。そして子どもたちへの危険を認めながら、それに対してなにもできない裁判官の悲痛とも言える恐れと悲しみがこの文言から聞こえてくるのは私だけでしょうか。

 このニュースはすぐ海外メディアで大きく報道されましたが、日本国内ではほとんど無視されました。NHKもまったく報道しませんでした。

原子力産業の恐ろしい支配のすごさをあらためて思い知らされます。

以下は弁護団による声明です。
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2013年4月24日仙台高裁決定についての声明(ふくしま集団疎開裁判弁護団)

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 2013年4月24日仙台高裁決定についての声明

                        2013年4月26日

ふくしま集団疎開裁判弁護団

1 平成25年(2013年)4月24日,仙台高裁第2民事部は,福島県郡山市立小,中学生14人が,郡山市に対し,年1ミリシーベルトを超える環境下の学校施設で教育活動を実施することの差止め,及び,年1ミリシーベルト以下の環境下の学校施設で教育活動を実施することを求めた民事仮処分事件(いわゆる「ふくしま集団疎開裁判」)の抗告審(なお,抗告した子どもの数は10名)において,その申立てを却下する旨の決定をした。

2 決定理由の骨子は次のとおりである(分かりやすさのために,趣旨を変えない限度で言葉を足している)。

(1) チェルノブイリ原発事故によって生じた健康被害,福島県県民健康管理調査の結果,現在の郡山市における空間線量率等によれば,子どもたちは,低線量の放射線に間断なく晒されており,これによる,その生命・身体・健康に対する被害の発生が危惧され,由々しい事態の進行が懸念される。この被ばくの危険は,これまでの除染作業の効果等に鑑みても,郡山市から転居しない限り容易に解放されない状態にある。

(2)もっとも,中長期的には懸念が残るものの,現在直ちに不可逆的な悪影響を及ぼす恐れがあるとまでは証拠上認め難い。

(3) 子どもたちは,学校生活以外の日常生活において既に年1ミリシーベルトを超える被ばくをしており,引き続き郡山市に居住する限り,郡山市内の学校施設における教育活動を差し止めてみても,被ばく量を年1ミリシーベルト以下に抑えるという目的を達することができないから,子どもたちにこれを差し止める権利が発生する余地はない。

(4) 子どもたちに対して郡山市の学校施設で教育活動を継続することは,直ちにその生徒の生命身体の安全を侵害するほどの危険があるとまで認め得る証拠もないから,直ちに不当ではない。子どもたちの避難先での教育は地元の教育機関により行われるのが原則であり,避難元の公的教育機関がわざわざ地元の教育機関を差し置いてまで別の学校施設を開設する必要はない。子どもたちが自主避難した場合は,子どもたちは避難先の公的教育機関で教育を受けることで被ばく被害を回避する目的は達成される。言い換えれば,子どもたちは郡山市に対し避難先での学校教育を求めることはできず,また,郡山市は避難先で教育活動を実施すべき義務を負うものでない。

(5) 子どもたちに自主避難が困難とすべき事情は認められず,保全の必要性がない。

3 本決定は,低線量被ばくが子どもたちの生命,身体,健康に与える影響について2の(1)において正しい認識を示しながら,同(2)においては,「中長期的には懸念が残るものの,現在直ちに不可逆的な悪影響を及ぼす恐れがあるとまでは証拠上認め難い」と述べた。しかし,本決定が引用する福島県健康管理調査によれば,これまで100万人に1人と言われていた小児甲状腺がんが,僅か3万8000人の余りの検査で既に3名確定診断され,7名が強く疑われている。もはや,危険は中長期的なものではなく,今現在,健康被害について不可逆的な悪影響を及ぼす恐れがある可能性が高いのである。その意味でこの部分は重大な事実の誤認であり,撤回すべきである。

4 私たちは,子どもたちに対して教育を実施する憲法上の義務を負う郡山市は,子どもたちに対し,安全な環境下で教育を実施する義務がある,すなわち,子どもたちを避難させる義務を負うと主張していた。小中学校の設置場所については,「その区域内に設けるのが原則であるが,やむをえない理由がある場合は区域外に設けることもできる」(昭和34年4月23日文科省通達)のである。また,私たちは,経済的問題,子どもの気持ちの問題,行政による放射能安全宣伝の浸透等から,今の福島で自主避難を決断することがいかに困難であるかを力説してきた。しかし,本件決定は,子どもたちが自主避難すれば,郡山市としてやるべきことはなく,郡山に住み続けるのなら,郡山市が子どもの被ばくを1ミリシーベルト以下に押さえるすべはないという特異な理屈で,本件申立てを退け,私たちの上記主張には,全く答えることがなく,いわば「肩透かし」をした。

 結局,裁判所は,チェルノブイリ報告書や福島県民健康管理調査の結果等から,子どもたちの生命身体への被害発生の危険性を正当に評価し,「由々しい事態の進行が懸念される」と強い調子で断定し,集団疎開は,「被ばく被害を回避する一つの抜本的方策として教育行政上考慮すべき選択肢である」とまで述べながら,子どもたちが郡山市に対して避難を求める権利を有することを認めず,匙を行政に投げ,司法としては,この現在進行中の深刻な人権侵害を手を拱いて見ているしかないと言ったのである。これは,「人権の最後の砦」としての司法が担うべき最も重要な職責を放棄するものにほかならず,強く抗議する。

5 郡山市を含む市町村,福島県,国は,せめて司法の上記2(1)の認識,憂慮を深刻に受け止め,速やかに子どもたちの被ばく回避のための抜本的な措置をとるべきである。

 最後に,今後行政を動かしていくために,全国の,全世界の心ある市民の皆様に更なる支援をお願いしたい。弁護団としては,新たな提訴も選択肢の一つとして,一日も早い子どもたちの集団疎開の実現に向け,力を尽くす所存である。

以 上

9 件のコメント:

さきしなのてるりん さんのコメント...

裁判そのものを知りませんでした。法の下で、すべて人は健康で、、、、の憲法にかんがみれば、判決全文は当たり前。なのに判決がノーとは!

森田 玄 さんのコメント...

てるりんさん

コメントありがとうございました。ええそうなんです。もう2年近くつづいていた裁判なのに、マスコミからは徹底的に無視されて来ました。じつはこのような政府に対する裁判はまず門前払いされて本裁判にならないのが普通です。それがここまで裁判所が判断を下せなかったのは、それだけ市民の声があったからだと信じています。

いつになったら人間として当然のことを、当然として言えるようになるのでしょう。

匿名 さんのコメント...

戦後の日本は、欧米の支配からの脱却を図るには、その傘下にありつつ経済発展を遂げる道しかなかったんですね?
けれど、どんなに発展しても、世界経済を牛耳る者たちの支配下にあり続ける…そこから逃れる道はない?その方法論はない?
それでそろそろ、被爆のモルモットはやーめた!拝金主義はやーめた!と宣言する政財界の識者が現われてくれないでしょうか…100人ほどいれば変人扱いされませんよね。
「ふくしま」に限らず、国中の原子力発電所(核の地雷みたいです)は永久に人々の首を絞め続けるわけでしょ?
原因不明の健康被害や(ひょっとしたら不妊症や)莫大な経済的負担として。
…つまりそうです!日本人は民族の絶滅と経済力を天秤にかけてきた!!まさに背水の陣!
けれど、愛しい人たちの未来のために、必ず解決しなければいけません。

匿名 さんのコメント...

アセンションが起こるとされていた2012年12月が過ぎたけれど、アセンション(地球の5次元上昇)も起こらなかったし、通貨制度もなくならなかったし、地球の滅亡も起こらなかっただろ。いつぞやのノストラダムスの予言の時も、地球の滅亡だとか騒がれていたけど、何も起こらなかったしね。
これで分かったろう、アセンションを唱えている奴はペテン師だと。アセンション信者どもは、アセンション教祖(アセンション商売人)に騙されて金づるにされていたことに気付け、阿呆。いまだにアセンション関連の話題でセミナーだの集会だのやっている、しぶといアセンション商売人もいるようだが。

アセンションなどという偽りの情報を本やネットで広めているオカルトさんは誰なんだか。

アセンション布教者は、アセンションが起これば地球は5次元に次元上昇するだとか、通貨制度がなくなって貧富の差がなくなり皆が平等になるだとか、信者に変な期待を持たせ、アセンションなんか起こらずに信者を絶望させる。または、地球が滅亡するだとか言って恐怖を煽り、私のセミナーに参加すれば救われますとか言って信者を獲得し、信者を金づるにする。

重症のアセンション信者は、彼らの脳内でアセンションが起こったのかもな。脳内でアセンションが起こった奴は、一刻も早く精神病院に行かないと手遅れだろ。
ていうか、3次元から5次元にアセンションできるのなら、マンガ・アニメオタク達を逆アセンションさせて、2次元の世界に入れてやれよ。(笑)

すぐに騙されるし、オカルト・スピリチュアルビリーバーって、ホント無知だよね。詐欺師の餌食になるために生まれて来た頭の弱い人間。
嘘で塗り固めたオカルト・スピリチュアル本を読んでスピリチュアル詐欺師の金づるになっている暇があるなら、正常な学問の知識を身に付けて騙されないようになれよ。

このコメントを森田さんは削除するだろうか?
削除したなら益々悪質だね。

kahonnn さんのコメント...

ふぐり玉蔵 ‏@fuguri_tamazo

原爆で被爆しても原爆症が出なかった人たち http://memogoldentama2.blog.fc2.com/blog-entry-405.html …

私は、知りませんでしたが事実なら大変なことですね。

確かマシュー君の話では、通貨制度がなくなるとは一言も無いと思いましたけど。

匿名 さんのコメント...

まあマシュー君は色んな変化は急激に起こるものではなく、時間はかかる、と言ってた記憶があるのですが。

私達そのものの集合意識が変わる事が大切だし、いくら彼らがバックアップしてくれてても、おんびにだっこでは無く自分自身が変わって行かなくてはいけないのですから。

匿名 さんのコメント...

ハーモニーと名乗っている、佐藤由美子という女。
http://hukuennohouhou.blog98.fc2.com
気色悪いニヤけた顔で高額な金を取って中身の無いカウンセリングやら講演会やらをやってますね。

精神世界系統って、こんな欲でギトギトの気色悪い人間ばかりで嫌になる。

精神世界系統って、何でここまで欲の皮が突っ張ってるの?

匿名 さんのコメント...

自分の内面の世界地図を広げて、何とか全体像を、地球を、宇宙を、見たい!知りたい!という欲求に突き動かされて…結果、非力な自分は、そのポータルをを探すことになり、ちょっと味わってみないと、という気になり、講演会を聞きに行ったり、興味をもったカウンセリングを受けたりと、そして気づきます。

捕らわれることはないと。その過程を経なければ見えてこない現実なら、あえて飛び込んでみるべきでしょう。

集合意識の一人分を担って、今を生きていることは確かなのですから、自分が想い描いている世界を信じて、一緒に生きましょう。

匿名 さんのコメント...

「原発直下に活断層」という、新聞記事がでましたね。まともな調査結果がまともに報道されるという、言ってみれば「当たり前の記事」が出たことにちょっと驚きました。
人間が粗末にされない仕組みがこれから確立されていくことを祈りたいものです。