火曜日, 10月 03, 2017

心と身体/感謝することの科学的意味

古来から、ほとんどの文化で心と身体がつながっているのは当然のこととされ、私たちも日頃の経験からなんとなくそう理解していることですが、それを科学的、医学的に証明するとなると非常に困難なようです。それは心という存在が未だに現代科学では捉えられない領域だからでしょう。

心を解明する科学というとすぐ脳科学が浮かびますが、では「心は身体のどこにあると思いますか?」と尋ねると、まず頭を指す人は皆無で、ほとんどの人は胸や心臓のあたりを自然に指しますね。

脳の働きとは、私たちの意識や認知、記憶といった範囲や領域のことで、心はもっと深いところにあるようです。どうやら胸にある心臓がそれに関わっていると想像するのは難しい事ではありません。

実際、古代では心臓が心と知性の象徴だと考えられていました。例えば、古代エジプト文明では、ミイラの脇に死者の脳ではなく心臓だけが大事に保管されていました。あの世に行くと、心臓の重さを測る裁判官のような存在がいて、もしそれがダチョウの羽よりも軽かったら天国に行け、重かったら地獄に行くとされていました。



ところで心臓脳という言葉を知っているでしょうか。実は心臓にも頭脳と全く同じ神経細胞ネットワークがあることが明らかにされています。さらに、心臓の驚くような様々な機能が明らかにされています。



1990年始めから脳と心臓の関係を研究しているカリフォルニアのハートマス研究所は、脳と心臓を同期(シンクロ)させるとストレスが緩和/解消され、脳だけでなく身体のあらゆる機能が向上することを発見しました。

脳と心臓が同期している状態はコヒーランス状態と呼ばれています。さらにハートマス研究所は、私たちの感情がコヒーランスと密接な関係があることを明らかにしています。
(心臓の心拍変動とネガティブな感情(イライラ)、ポジティブな感情(感謝)との相関性を示すグラフ)


上図のグラフは、心(感情)が身体(心臓)にどのように影響するかを初めて科学的に計測可能な数値として明らかにしたものです。言い換えると、初めて心を測ることに成功したとも言えます。

さらに研究を重ねた結果、様々の感情の中で感謝の気持ちが最も高いコヒーランスをもたらすことがわかりました。

私たちの感情(心)と身体(心臓/脳/全身の器官や細胞)が密接につながっていて、それらが相互に影響していることが科学的に解明されつつあるのです。

そして、心と身体のバランスに決定的なファクターはコヒーランスであることがわかって来ました。つまり脳と心臓を同期させることが極めて重要なのです。そこに思考(マインド)は一切関係ありません。逆に、どのように思考や意識の介入を防いで、心につながるかが大事なのです。

それがコヒーランステクニックと呼ばれる子供でもできる簡単なスキルです。ハートマス研究所はコヒーランスを測定するエムウェーブというコンピュータソフトを開発し、世界中でたくさんの人々に利用されています。

特筆することは、その医療面での利用です。中でもADHDや自閉症などの発達障害の子供たちへの治療に著しい効果があることが多数報告されています。

クイック・コヒーランス・テクニックは、意識や頭にあるエネルギーをハート(心臓)のあたりに集中し(ハートフォーカス)、そこから呼吸をするようにゆっくりと深い呼吸を繰り返す(ハート呼吸) 、そしてハートを感謝やポジティブな気持ちで満たす(ハートフィーリング)という3つのステップになっています。

私たちの心(感情)がどのように身体に生理学的に影響するのかを実証する実験写真を紹介しましょう。



写真提供©️ハートマス研究所


最初の写真は、通常の(コヒーランスではない)状態の唾液の顕微鏡写真です。唾液の細胞組織が混然としています。同じ人がコヒーランステクニックを行って5分後に撮ったのが下の写真です。組織構造が結晶のように整然としています。

唾液の構造が変化したことが一目瞭然ですね。このようにコヒーランスの効果は即身体に反映されます。

食事の前に「頂きます」と感謝するのは、単なる形式的な儀礼ではなく、その感謝の心が実際に身体の生理を変化させ、唾液の構造/成分を向上させることで、食事をより美味しくいただけるし、より健康になるわけです。



(ハートマス研究所が開発したコヒーランステクニックとNVCの共感を組み合わせたコネクション・プラクティスに関するお問い合わせは一般社団法人ラスールジャパンにどうぞ)


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