水曜日, 3月 09, 2005

3月9日

なんとまあ、一月以上もダイアリーを留守にしてしまいました。この1ヶ月はハワイでさまざまなイベントに参加し、また後半は日本から5人が参加したアロハトラストツアーがあり、その間ハプニングもあり、帰国の前日までコンサートなど、とにかく忙しい日々でついつい日記が後回しになってしまいました。まあ、この間のことはまたおいおい思い出しつつ書くつもりです。一昨日、3ヶ月のアメリカ・ハワイ旅行を無事に終え、関西空港に着きました。いつもはもう少し長くハワイに滞在するのですが、昨日(8日)の国際婦人デー大阪集会にぜひ出演してほしいという強い要望があって、急きょ戻って来たのです。驚いたのは日本の寒さ、なんと雪が降っているではありませんか。いやはや、すっかりハワイの温度にゆるんでいた私たちのからだはちじこまってしまいました。昨夜の講演・コンサートは中ノ島中央公会堂です。この建物は明治44年に着工、当時最高の技術とデザインで5年をかけて完成したもので、今あるものは5年前に再建されたもの。よくある現代ハイテク建築がすっかり失った人間的空間や肌触りが随所に感じられる素場らしい建造物です。劇場内に入ると一瞬時代が戻ったような錯角に襲われます。何よりも感心したのは、これは自分が音楽を専門にしていることからですが、音響のよさでした。こんなに気持ちよく歌いやすいステージはひさしぶりでした。もっともPAさんの仕事もよかったからですが。1000人入る会場はほぼ満員、もちろん女性ばかりです。アロハトラストツアーに参加したシンガーの桑名晴子さんも駆けつけてくれました。今回のツアーが最高に盛り上がったのは彼女のその強烈なキャラクターとアロハマインドのよるところが大きかったのです。さて、これからしばらく関西地域での講演・コンサートツアーが続きます。今日はひさしぶりの奈良行きです。まだまだ私たちの旅は続きます。鴨川に戻るのは21日。

夜6時半。今、奈良県大和郡山市平和地区公民館での「教職員のための平和について語ろう会」が始まりました。そして驚くべきビデオが紹介されました。防衛庁が作成した小・中学生向け広報ビデオ「ディフェンス3」です。今回この会を企画してくれた日教組郡山執行委員長の細谷佑司さんが、教職員しか入手できないこのビデオを私たちのために用意してくれていました。はじめてこれを見てまずこういう自衛隊の存在をアピールするものが子どもたちを対象に作られていること自体に驚きとショックを受けました。まだ学校までこれが配付されてはおらず(奈良県では)先生の中でこのビデオの存在を知って人はわずかなようですが、これが出回るようになったらきっと大きな社会問題に発展するでしょう。さて、今見たこのアニメビデオですが、カセットの裏に書いてある説明を読むと、「ある日マモル、ダイスケ、ユリコに届いたテレビゲーム「ディフェンス3」。そのゲームの目的は、平和な国をつくりあげること。しかし、どうすれば良いのか戸惑う3人。ゲームを進めていくうちに、自衛隊の活動や日本の防衛力、そして平和について学んでいく。陸・海・空3つの防衛力でユリエ国の平和を守れ!ピース!」とあります。そして中身は、自衛隊の幹部とおぼしき戦闘服を着た隊員が、こどもたちに呼び掛ける設定になっています。ある架空の国カラカラ国は戦闘的な国で巨大な軍事力を保持し外交的交渉をいっさい否定している。その隣のグリーン国には防衛力(軍隊)がない。さて、カラカラ国が問答無用に攻めてきたらどうするか、防ぎようがないではないか。そのためには最低限の自国を守る防衛力が必要だ。それでこそ、平和が達成され、国際貢献ができるのだ、という論調です。いかに軍備することが平和につながるのだと巧みに子どもたちを誘導するやり方には確かに感心させられました。なるほど、これを見たらこどもたちは戦力を持つことに何も疑問を持たないようになるかもしれません。さらにビデオは国際的な軍事協力も大切だと言い、中でもアメリカと協力することの意義がが強調されています。つまりこれは、今回のアメリカのイラク侵略を正当化し、自衛隊のイラク派遣は平和のための国際貢献だということを子どもたちに洗脳する広報ビデオなのです。いったいアメリカが過去どのように他国(弱小第三世界国)を侵略し支配してきたかについては、もちろん、いっさい言及しません。ましてや、大日本帝国が過去自国の自衛という名目でどんなに中国やその他の国に対し戦争を起こし支配してきたかについても言及しません。はっきり言って、いまの日本はアメリカの軍事基地だと言っても過言では無いでしょう。なにしろ、この国には米軍基地や演習場、関連施設など300以上もあるのです。しかも核ミサイル装備されていることはもう常識になっています。それが日本の周辺国にとってどんなふうに写っているか、どんなに脅威か、日本人ほど鈍感な国民はいないかもしれません。早く私たちも戦争中毒アニメフィルムを完成させなければ。