水曜日, 10月 05, 2005

10月5日

先週末はひさしぶりに家族で京都に行ってきました。憲法9条・メッセージ・プロジェクト主催の「なんで?なんで?の市民のつどい」に参加するついでに、ちょっと京都見物も兼ねたわけです。この会のオーガナイザーであるジャーナリストの柴野徹夫さんにすっかりお世話になり、普段観光客が行かないような、そして、京都育ちの柴野さんが子どもの頃遊んだという、いわゆる通の場所を案内してくれました。最初に訪れたのは、詩仙堂(丈山寺)。煎茶の開祖といわれ、寛永年間の京の文人と知られる石川丈山が59歳のときに造営した庵です。決して豪華ではない、どちらかというと清貧という言葉が近い門や建物に入って、庭園を眺めるとそこに絵のような景観が現れました。すべての樹木や庵や池などが、考え抜かれたデザインで配置されて、なんともいえないダイナミックな美を構成していました。樹木は楓が重なるように植えられて、驚いたのは樹齢百年以上とも思える巨大な幹の楓があたりを覆うように庭の中央にあったことです。11月が紅葉の絶頂だそうですが、すでにいくらか赤く染まって、さぞかしそのころの景観は息をのむようだろうなと思わされました。つぎに訪れたのは、当時丈山と諸文芸を競い合っていたという本阿弥光悦が造った光悦寺。当時生粋の工芸職人を集めていわゆる芸術村を造ったとされているところです。一見、普通の住宅街と思われる一角に、普通なら何気なく通り過ぎてしむようなさりげない門があって、そこに一歩足を踏み入れると別世界が広がります。楓の並木が連なる石畳を行くと、眼前に北山杉のまるい山を背景に、静寂な美の世界がありました。詩仙堂とは趣を異とするもっと自然的な造園芸の極致。柴野さんは、対極的な江戸時代初期の文人の作品を私たちに見てもらいたかったようです。

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