木曜日, 12月 06, 2012

ヤマケンさん

ヤマケンこと山川健一さんは、日本の若手小説家の中で私がもっとも一目置いているひとりです。それは、彼の語る世界のスペクトルが幅広く、しかもバランスをつねに意識した内容になっているからです。彼の本がベストセラーになるのも読者を知らず知らずに無辺な宇宙に旅立たさせてくれるからでしょう。

その山川さんの選挙に関する以下の文章が最近目に留まりました。彼の憂いは私のこころに深く共鳴します。

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(山川健一essay「イージーゴーイング」から転載)

 

投票所に行くこと。すべてはそれ

1年ぐらい前にもツイートしたことだが、ぼくらは「幸運」にも首の皮1枚でつながっているにすぎない。東電福島第一原発からは、東京電力の発表では、今も毎日2億4千万ベクレルの放射性物質が放出されている。出てないと言い張っていたわけだが、あれだけの事故だったのだから、出ているに決まっている。

「2億4千万ベクレル/日」という数字は東電が公式にコメントしたものであるにもかかわらず、マスメディア各社は示し合わせたかのように何も報じない。東電や政府やメデイアの姿勢からみて、数値は2億4千万ベクレル以上かもしれないと疑いたくもなる。

日本は既に報道管制がしかれた情報統制国家であると言うべきなのかもしれない。東電福島第一原発は今も24時間休むことなくこれだけの放射性物質を大気中に放出し続けており、核燃料冷却のための大量の水が高濃度汚染水と化し、地中や海水中に大量に不法投棄され続けている。

汚染物質は大地や海や内陸の湖沼、河川に堆積し、農作物や水産物の汚染は深刻さの度合いを深めている。それがリアルな現状なのに、政府や福島県はメディアを使いまるで事故が収束したかのような嘘をつき続け、原発に近い地域からの避難を促すどころか住人を呼び戻そうと画策している。

安全基準も、事故前は年間1ミリだったのが根拠もなしに20ミリに──20倍に引き上げられた。チェルノブイリにおいては、年間5ミリで強制移住だったことがよく知られている。事故があったから基準を引き上げるのでは、何のための基準かわからないではないか。

日本では、子供でも20ミリまでは大丈夫だとしているのだ。

ご存知のように日本は地震の活動期だ。日本をとりかこむ4つのプレートが動いている。多くの原発の直下かその近辺に活断層があると警告する人が多いのに、それでも再稼働しようとしている。

そんな時に行われる衆院選挙なのに、脱原発は争点になっていない。意図的に「国防軍」「憲法改正」などが争点にされ、原発事故は隠されてしまっている。

21世紀の日本で、「国防軍」「憲法改正」「核武装」などということを大声で言う政治家がいるということが、ぼくには信じられない。狂っているとしか思えない。ただただ唖然として、溜め息をつくばかりである。週刊誌などは中国と戦争したらどうなるか──というような記事を掲載しているが、戦争に勝者などいない。死者と悲しみと憎しみがのこるだけだ。

「強い日本を!」と拳を振り上げる政治家がいる。だから憲法を改正して──というロジックが展開される。とんでもないことだ。

在日米軍の日米間での取り扱いなどを定める日米地位協定は明らかな不平等条約だ。なにしろ、刑事及び懲戒の裁判権が日本にないのだから。これは治外法権である。

1995年にはアメリカ海兵隊の兵士3名が12歳の女子小学生を拉致した上、集団強姦するという事件が起こったた。実行犯である3人の米兵が日本側に引き渡されなかったことが大きな問題になった。強い日本を叫ぶなら、まずこの日米地位協定の見直しから粘り強く交渉していただきたいものだ。

アメリカの言いなりになってオスプレイを配備し、憲法を改正して国防軍を創り領土を守るなどと嘯くのは、単なる弱腰外交にすぎない。

今度の選挙の争点は、脱原発、反TPP、反消費税であるべきだ。小選挙区ではいろいろな人が立候補するわけだから、どこの党がいいとは言えない。しかし、脱原発、反TPP、反消費税をちゃんと言ってくれる人に投票しようと思う。

原発はものすごく大きな既得権益に取り囲まれているのだなということが、今回の事故で明らかになった。莫大な広告宣伝費が投下され、メディアも本当のことが言えなくなっている──ということが明らかになった。

TPPについて言えば、これを推進しようとしている人達と原発を推進しようとしている人達はほぼ重なる。TPPは明らかにアメリカとの不平等条約であり、こんなものを推進すれば遺伝子組み換え食品などが流れ込み、さらに医療が壊滅するだろう。

現在の国民保険は3割負担だが、アメリカの圧力でこれも自由化が進むだろう。貧乏人は病院にも行けないという事態に間違いなくなる。山本太郎さんも「脱原発と反TPPはセットなんです」と言っていたが、仰る通りだ。

それでも日本はまだ自由だとぼくは思う。こんなツイートをしても、逮捕されることはない。しかし、政府と既存メディアが力を合わせてインターネットを潰そうと画策している。それが、ACTAだ。

この問題は、ほとんど報道されることなく、日本では通ってしまった。ヨーロッパでは否決されたのに、である。テレビや新聞は「報道」という名の既得権益を守るために意図的にインターネットを潰しにきているのかもしれない。

そんな今、選挙である。戦後日本でもっとも重要な選挙になるだろう。とにかく投票に行かないとなと思う。

圧倒的な人数がちゃんと投票所に行くこと。
すべてはそれからだろう。
原発をめぐる深夜の連続ツイート(2012年12月4日) 

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3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

現実を知ると、目の前が真っ暗ですね。
でも、そんな気分にめげずちゃんと選挙で投票する。あまりにも穏やかすぎて遠回りな方法かもしれませんが、僕たち一般市民が力を合わせれば乗り越えられないことはない、と信じたいです。
今こそ、経済的効率などは捨てて、「人間が大切にされる世の中」に舵をきってゆきたいものですね。これからの子供たちのためにも。

匿名 さんのコメント...

>21世紀の日本で、「国防軍」「憲法改正」「核武装」などということを大声で言う政治家がいるということが、ぼくには信じられない。

これを否定する人のいる人が信じられない。

>狂っているとしか思えない。

あなたが。

で? どこに投票したのです?
小沢一郎の未来の党?
山本太郎?wwww

愚かです。中国がチベットウィグルで現在進行形でやっている大殺戮レイプ拷問には触れず、アメリカ兵のたった一件の犯罪を麗々しく掲げて論じる視野の狭さ。

今まで日本が無傷で来たのは、日本弱体化目的でGHQに押し付けられた似非平和憲法のおかげではありません。アメリカの武力と核のおかげだ。現実を見ないと。

放射能神経症になっている山本太郎は韓国の21基の原発になぜ言及しないのか。ほとんどが日本海沿岸で、事故を起こしたら偏西風で吸収、西日本、四国がすっぽり覆われる。そして、日常的事故はしじゅうで、それゆえ韓国は莫大な年収を提示、日本の原発技術者を引き抜きに来ている。優秀な日本の原発を叩き、韓国のそれは放置ってバカのすることではないか?
東京福島間は200キロ、韓国対馬間はわずか50キロなのだ。

世界はいまだ成熟していない。平和を守りたければ軍が要る、核も必要悪だ。無くせというは簡単。しかし現実をどうする? 中国も韓国も年々軍事費を増大させているこの現実の中で精神世界のお花畑ぶりには相変わらず呆れます。
本人が花畑で遊んでいるぶんいはいいけれど、他をミスリードしないように。
宇宙船が現れる詐欺に始まって、今はさしたる劇的変化がなくても失望しないように、とトーンダウンに至るまで。
そろそろ恥を知りなさい。

原発が言わない、核も軍備もいずれ手放されなければならない。でも今ではない。不可能です。

pasukaru さんのコメント...

pasukaruと言うものです。

ヤマケンさんが言っていたことに違和感を凄く感じました。現実を知らなすぎる。安部首相をキチガイ扱いしていましたが、この人の頭の中身を見たいと感じた(左翼の人間かも)

現実の中に政治がある。反原発を叫ぶのでなく今叫ばなくてはならないのは、放射性廃棄物の処理だ!この技術は確立されているのに表に出ないように差別されている。
AmoTerra(アモテラコーポレーション)を調べてください。これを表に出して実際福島でやらせるように声を出さなければならのじゃないですか!これと並行して化石燃料や原子力を使わなくても良いエネルギーの開発で、これも今までいろんな人が努力してきたことが、技術と共に人までもが抹殺されている。
これを早く表に出す努力をしていくことの方が大事だと思う。
目的より手段を実際に行うのが政治の世界だ。
理想を言ううのは一見かっこよく見えるが、それをイデオロギーとして他人をあおってはならない。
あなたみたい人が日本の大多数になると、日本はあっという間にアメリカに代わって中国の奴隷国家に成り下がってしまう。
そこに日本国民の幸せはないと思いますが・・・