金曜日, 4月 28, 2006
4月28日
数年前、アメリカでふたりの若者が、MoveOnというインターネットを通して会員を募ることを始めました。これは、ネットで会員から集めた寄付金を使って政治的テレビコマーシャルを製作・放映することで市民の声を直接広めようという企画です。これが現在では330万人もの会員を擁するパワーフルな団体に成長しました。これまで、ブッシュ政権の政策をことごとく批判する広告を流してきました。昨日、送られてきたMoveOnは、今年11月に行われる中間選挙(いわゆるアメリカの総選挙)に向けてブッシュ政権を支えている共和党議員、それも影響力が大きい上院議員をひとりひとり集中的に批判する広告を出そうという案内でした。アメリカはメディアが強大な影響力をもつ国です。メディア、とくにテレビを握ったものが勝利する典型的なところと言っていいでしょう。そして大企業が政治家と組んでメディア支配をずっと続けてきました。そうやって政権に不利な情報は国民に知らせないのです。また反政府的な情報や意見は主要メディアで取り上げられることはまずありません。ですからMoveOnの企画は画期的でした。今回MoveOnでつくった共和党議員批判コマーシャルを試験的に共和党が制する選挙区で流したところ、あっという間に支持率が急降下し、逆に同選挙区の民主党議員の支持率が上がるという逆転現象が起きたのです。その結果に勇気づけられて、昨日の呼びかけはMoveOn会員に11月の中間選挙まで毎月15ドル寄付してくれないかというお願いでした。https://political.moveon.org/donate/tilnov.html?id=7418-2119821-4e7ykpVHgSeLenyd5eiMjQ&t=6の右側のVIDEOをクリックすればテレビ広告が見られます。アメリカ政局の鍵を握っているのは上院議会です。いまはブッシュ政権を支える共和党上院議員が圧倒的多数ですが、このうち16名を民主党議員に置き換えれば逆転するそうなのです。11月まで毎月15ドル、しめて120ドルでアメリカの政治が変わってくれるのなら安いものではありませんか。というわけで、さっそく昨夜寄付に賛同しました。ところが一夜明けた今朝のMoveOnニュースは、この24時間で124万ドルもの寄付が集まったと報告してきました。すごいですね。同じようなことが日本でもできないでしょうか。
木曜日, 4月 27, 2006
4月27日
このところ天候が気まぐれで農作業の予測がつかず苦労しています。2〜3日天気がつづかないと畑の土が乾かないので耕せません。そろそろ野菜の種まきの準備をしなければいけないのですが。昨日やっと苗床に籾蒔きをしました。籾は水が冷たいのか芽だしがいまいちです。ところが苗床を保温するビニールシートが途中で足らなくなりそうになったので、あわてて近くのコメリというホームセンターに行ったら無いのです。そこで、町まで出かけて農協ともうひとつのホームセンターに行ってら、もう扱っていないと言われてしまい、困りました。ホームセンター(カインズという)の若い店員は、苗床用シートを説明してもなかなか理解してくれませんでした。しかたなく、田んぼに戻って残り少ないシートでなんとかうまく苗床を被せることができました。それにしても、苗床シートが手に入らなくなったとは、ショックです。でも、それもそうですね。今時苗代を見かけることなど皆無ですから。となりのおじさんももう3年前にやめてしまいました。田植えはどこでも機械植えが当たり前になってしまいました。苗をわざわざ育てる農家も少なくなり、農協から購入する人がほとんどです。日本人が食べ物の中でもっともこだわる米をつくる行為が、どんどん管理化され人手を離れていきます。田植機に使う苗は、ほんとうにかぼそく、よくこんなひょろひょろで育つなあと思うくらいです。それにくらべると苗床で育てる稲の苗は頑丈で、見ただけで大丈夫という感じです。そういえば苗床シートを買ったのはもう5年くらい前かもしれません。さて、来年のために今のうちからシートを手配しておかなくては。でも、苗代作りという神聖な作業(それにとても楽しいのに)をこんなに簡単に捨ててしまっていいのでしょうか。
日曜日, 4月 23, 2006
4月23日
竹の子が毎日つぎつぎと土から出始めました。もう子どもたちはうんざり顔です。野良犬のクロがどうやら縁の下で赤ちゃんを生んだようで、数日前からミャーミャー声が聞こえます。どこからか白い野良犬が我が家のまわりに最近出現していたので、こうなることは薄々予感がしていたのですが、さてさてどうしたものでしょう?
今日は、そろそろ苗床の準備と思っていたら、あいにく朝からの雨。無精百姓の私は今日1日たまっているほかの仕事をやることにしました。
共謀罪(正式には「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案(刑法の一部改正)」)という、かつての治安維持法を彷彿させる法案審議が始まろうとしています。だれでも犯罪行為を意図とする会話なり相談をすると、たとえそれが冗談や単なる空想でも、犯罪行為として逮捕されるという恐ろしい法律です。これが成立すると警察国家の体制が一挙に進むでしょう。しかし、法律というものは一部の過激な政治力でできるものではありません。それを支える世論があって初めて可能になるものでしょう。戦前の治安維持法にしても、その目的は影響力を持ち始めた共産党やその思想を取り締まるためでしたが、それは天皇の絶対統治体制をよしとする世論が圧倒的であった当時の事実があるからです。そう考えると、果たして今の世の中、国の治安や安全という問題に関して、どこまでの権力を国家に委ねても構わないと人びとは思っているのでしょうか。不安や恐怖が蔓延するいまの社会を背景に、このような法案自体が実際に国会で審議されること自体すでに人心はそこまで受け入れる用意があるのかもしれません。
陰陽論は宇宙のあらゆる事象に法則があることを教えています。それは、ものごとはすべからず陽から陰に進むということです。そして陰はかならず陽にとって替わられるという宿命があります。今の時代、世間を凌駕している力はもともと陽であったものが陰になったものです。人類の進化の歴史をみると、魚類が栄えていた時代にすでに原始両生類が発現しており、それらが陸に上がってきて両生類時代を築きます。しかし、すでにそこでもすでに原始爬虫類が出現していてやがて陸は爬虫類の天下になります。それも原始哺乳類の出現があってやがて哺乳類にとって替わられます。そして最後にホモエレクトスの出現があって人類の天下になりました。
その人類の歴史も、陽から陰に、さらにそれが新しい陽にとって替わられるということを繰り返してきています。どんな文明もそこに芽吹いた新しい力によって崩壊させられます。そのような視点でいまの世の中をみると、世界を牛耳っているパワーや体制はすでに陰の極みに達しているのかもしれません。すでに陽の力がどこかに現れていて、やがていまの体制にとって替わることになるのです。陰が極まると、つまり世界すべてがそれに染まってくると、自己腐敗や崩壊を起こすとされています。さて、私たちはいったいどこにいるのでしょう。
今日は、そろそろ苗床の準備と思っていたら、あいにく朝からの雨。無精百姓の私は今日1日たまっているほかの仕事をやることにしました。
共謀罪(正式には「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案(刑法の一部改正)」)という、かつての治安維持法を彷彿させる法案審議が始まろうとしています。だれでも犯罪行為を意図とする会話なり相談をすると、たとえそれが冗談や単なる空想でも、犯罪行為として逮捕されるという恐ろしい法律です。これが成立すると警察国家の体制が一挙に進むでしょう。しかし、法律というものは一部の過激な政治力でできるものではありません。それを支える世論があって初めて可能になるものでしょう。戦前の治安維持法にしても、その目的は影響力を持ち始めた共産党やその思想を取り締まるためでしたが、それは天皇の絶対統治体制をよしとする世論が圧倒的であった当時の事実があるからです。そう考えると、果たして今の世の中、国の治安や安全という問題に関して、どこまでの権力を国家に委ねても構わないと人びとは思っているのでしょうか。不安や恐怖が蔓延するいまの社会を背景に、このような法案自体が実際に国会で審議されること自体すでに人心はそこまで受け入れる用意があるのかもしれません。
陰陽論は宇宙のあらゆる事象に法則があることを教えています。それは、ものごとはすべからず陽から陰に進むということです。そして陰はかならず陽にとって替わられるという宿命があります。今の時代、世間を凌駕している力はもともと陽であったものが陰になったものです。人類の進化の歴史をみると、魚類が栄えていた時代にすでに原始両生類が発現しており、それらが陸に上がってきて両生類時代を築きます。しかし、すでにそこでもすでに原始爬虫類が出現していてやがて陸は爬虫類の天下になります。それも原始哺乳類の出現があってやがて哺乳類にとって替わられます。そして最後にホモエレクトスの出現があって人類の天下になりました。
その人類の歴史も、陽から陰に、さらにそれが新しい陽にとって替わられるということを繰り返してきています。どんな文明もそこに芽吹いた新しい力によって崩壊させられます。そのような視点でいまの世の中をみると、世界を牛耳っているパワーや体制はすでに陰の極みに達しているのかもしれません。すでに陽の力がどこかに現れていて、やがていまの体制にとって替わることになるのです。陰が極まると、つまり世界すべてがそれに染まってくると、自己腐敗や崩壊を起こすとされています。さて、私たちはいったいどこにいるのでしょう。
水曜日, 4月 12, 2006
4月12日
ひさしぶりの投稿です。春はあまりにもすべてが早く変化するので、からだもこころも追いついていくのが大変。昨夜の嵐は予想以上で台風並みでしたね。今朝こどもたちを幼稚園に送りにいった先々で河川が氾濫していて、郵便局前は洪水状態で近寄れませんでした。こんなことはかつてなかったことです。わざわざ自然の形態を破壊してあらゆる水路をコンクリート堤にしてしまったつけがこういうときに回ってくるのですね。降った雨がいっきにコンクリート水路を通って流れてきたのです。山は自然のプールです。その保水性があるからこそどんな大雨でも洪水が防がれてきたのです。せっかく自然が与えてくれているものをお金を(税金)かけて捨てる人間の愚かさにはつくづく呆れます。桜はほとんど散ってしまいましたが、桃が例年のごとく見事に鮮やかにはたけを飾ってくれています。そのとなりに梨の花が白く色添えしてくれました。大雨も田んぼには、特に100%天水頼りのわが棚田には、恵みの雨です。午後雨が上がったら早速代掻きをしましょう。ことしは、昨年収穫した「はえぬき」種と地元の方から新たに頂いた「ちば28号/ふさこがね」種を7日から水浸けしています。秋にはニュージーランド(当地では春)で稲作りの指導に行くことになっているので、今年はまさに二期作になるかもしれません。
世界政治の変化も大変なスピードで、これも追いついて行くのが大変。アメリカのブッシュ政権がイラン空爆に踏み切るか議論が沸騰しています。そのことで、私が好きなジャーナリスト、ウィリアム・リバーズ・ピットが、先の見えない不気味な不安感を今日のTruthoutに書いているので思わず訳してしまいました。
「どこまで彼らは狂っているか?」
ウィリアム・リバーズ・ピット 2006年4月11日
(原文)http://www.truthout.org/docs_2006/041106R.shtml
昨夜、ブッシュ政権のイラン攻撃計画の可能性についてボスと論争した。ニューヨーカー誌に載ったセーモア・ハーシュの記事に、彼はずいぶんとショックを受け落ち込んでいた。「やつらはやるつもりだ」と言う。
私はボスに言った。ブッシュ政権がやるとは思えない。そしてイラン攻撃がいかに馬鹿げているか、とくに核兵器使用なども含め、あらゆる理由を掲げて説明した。
イランには強力な軍隊がある。とくに音速の2倍以上で飛びイージス艦のレーダーをすり抜けるサンバーンミサイルを含むミサイル陣営があり、ペルシャ湾にいるアメリカ戦艦は簡単に標的にされるだろう。
イランと連結するイラク多数派のシーア派も呼応してただちに猛反撃するだろう。アメリカ国旗を掲げるものはすべて無差別に気違いのように攻撃してくるだろう。
イランと安全協定を結んでいるシリアも攻撃に参加するかもしれない。
イランと石油取引を最近はじめた中国も干渉してくるだろう。
イランの核開発をあるていど支持しているロシアも黙っていないだろう。
イギリスのブレア首相はイラン問題には関わりたがらないし、イタリアのベルスコーニも失職したようだ、スペインのアズナーはもういない。いまブッシュがそんなことをしたら孤立するだけだよ、と私はボスに言った。
通常兵器でさえそうなのだから、核使用などはとんでもない結果になる。地域を越えて拡大した大混乱は、なんとかタリバン関連の原理主義者たちの反乱を押さえ込んでいるパキスタンのムシャラフ政権の崩壊につながり、パキスタン自身の核兵器使用にもなる最悪のシナリオになる恐れがある。そうなればインドも自制心を失うだろう。
私の話しは説得力があったのだろう。ボスは気分をとり直して、その晩は別れた。10分後。ボスからメールで、NYタイムズに今日載ったポール・クルッグマンの記事が送られてきた。
それは「そう、彼はやるよ」という記事だった。そしてこう言っている;
『「でも彼はそこまでやらないだろう」とみなが思っていたからこそ、ブッシュはイラク戦争にアメリカを引き込むことができたのだ。しかも戦争の理由について何も説明なしに。アメリカ大統領が国民を騙して戦争を始めるなど多くのアメリカ人は信じたくない。常識あると自認する人は「彼はやるはずがない」と言う。しかし、イラク戦争がどうやって始まったかをその経緯を知れば、ブッシュ大統領がまた無計画で不必要な戦争を始める可能性を否定することは分別あることではない。それは考えが甘い。』
まいった。
戦争や死ということを考えると、「いったいこの人たちはどこまで狂っているのだろう」と自問せざるを得ないほどアメリカは相当ひどい状況にある。イランが核兵器を保有するにはまだ10年掛かるだろうというのが説得力ある通論だ。だから外交や経済での状況打開策はいくらでもある。イランを攻撃するもっともな理由などないが、悪い理由はいくつかある。
悪い理由の最大のものはもちろん、2006年中間選挙がせまっている中でイラン攻撃はワシントンの雰囲気を一掃することだ。今やブッシュ政権の人気は最低だ。このままいけば2007年1月には民主党のジョン・コンヤーズが議会司法委員会の議長になるかもしれない。しかも召喚状を持って。
いまのところイラク戦争のときのシナリオと違うのは、ブッシュ政権自身はイラン攻撃、とくに核兵器を用いての、は考えていないと強く否定していることだ。
ではどうしてこう腹の底に嫌な気持ちがあるんだろう。
イギリスのガーディアン紙の記事に、元CIA対テロ作戦部長の話しとして、ブッシュはイランへの軍事行動への踏ん切りがまだついていない、ブッシュ自身のこころとの戦いがある、それにまた大統領主席補佐官のカール・ローブが全面的に反対しているからだと書いてある。しかし、秘密作戦はすでに始まっていて、何人かは殺されているそうだ。
ブッシュのこころの戦いだって?何人かが殺されているって?この何でもありのめちゃくちゃ世界で、私はカール・ローブとは全面的に同意見だ。本当に怖いのはすべてがこの不確定さにあるからだ。理性ある人間ならそんな悲惨な行動には走らないだろう、しかし、我々がこの数年間に観てきたことは、この政権の運転ではその理性が後部座席に追いやられていることだ。
今朝、イラン女性が経営する近所の素晴らしいカフェでコーヒーを注文した。彼女に、国が攻撃されたらどうなるかとずばっと訊くと。そんなことは起きないと言った。「クルッグマンの記事は読んだわ。でも彼らがそんなことやるはずない。狂っていないかぎり」
そりゃそうだ。狂って辞めるまで行ってないのは残念だ。
(訳文責:森田 玄)
世界政治の変化も大変なスピードで、これも追いついて行くのが大変。アメリカのブッシュ政権がイラン空爆に踏み切るか議論が沸騰しています。そのことで、私が好きなジャーナリスト、ウィリアム・リバーズ・ピットが、先の見えない不気味な不安感を今日のTruthoutに書いているので思わず訳してしまいました。
「どこまで彼らは狂っているか?」
ウィリアム・リバーズ・ピット 2006年4月11日
(原文)http://www.truthout.org/docs_2006/041106R.shtml
昨夜、ブッシュ政権のイラン攻撃計画の可能性についてボスと論争した。ニューヨーカー誌に載ったセーモア・ハーシュの記事に、彼はずいぶんとショックを受け落ち込んでいた。「やつらはやるつもりだ」と言う。
私はボスに言った。ブッシュ政権がやるとは思えない。そしてイラン攻撃がいかに馬鹿げているか、とくに核兵器使用なども含め、あらゆる理由を掲げて説明した。
イランには強力な軍隊がある。とくに音速の2倍以上で飛びイージス艦のレーダーをすり抜けるサンバーンミサイルを含むミサイル陣営があり、ペルシャ湾にいるアメリカ戦艦は簡単に標的にされるだろう。
イランと連結するイラク多数派のシーア派も呼応してただちに猛反撃するだろう。アメリカ国旗を掲げるものはすべて無差別に気違いのように攻撃してくるだろう。
イランと安全協定を結んでいるシリアも攻撃に参加するかもしれない。
イランと石油取引を最近はじめた中国も干渉してくるだろう。
イランの核開発をあるていど支持しているロシアも黙っていないだろう。
イギリスのブレア首相はイラン問題には関わりたがらないし、イタリアのベルスコーニも失職したようだ、スペインのアズナーはもういない。いまブッシュがそんなことをしたら孤立するだけだよ、と私はボスに言った。
通常兵器でさえそうなのだから、核使用などはとんでもない結果になる。地域を越えて拡大した大混乱は、なんとかタリバン関連の原理主義者たちの反乱を押さえ込んでいるパキスタンのムシャラフ政権の崩壊につながり、パキスタン自身の核兵器使用にもなる最悪のシナリオになる恐れがある。そうなればインドも自制心を失うだろう。
私の話しは説得力があったのだろう。ボスは気分をとり直して、その晩は別れた。10分後。ボスからメールで、NYタイムズに今日載ったポール・クルッグマンの記事が送られてきた。
それは「そう、彼はやるよ」という記事だった。そしてこう言っている;
『「でも彼はそこまでやらないだろう」とみなが思っていたからこそ、ブッシュはイラク戦争にアメリカを引き込むことができたのだ。しかも戦争の理由について何も説明なしに。アメリカ大統領が国民を騙して戦争を始めるなど多くのアメリカ人は信じたくない。常識あると自認する人は「彼はやるはずがない」と言う。しかし、イラク戦争がどうやって始まったかをその経緯を知れば、ブッシュ大統領がまた無計画で不必要な戦争を始める可能性を否定することは分別あることではない。それは考えが甘い。』
まいった。
戦争や死ということを考えると、「いったいこの人たちはどこまで狂っているのだろう」と自問せざるを得ないほどアメリカは相当ひどい状況にある。イランが核兵器を保有するにはまだ10年掛かるだろうというのが説得力ある通論だ。だから外交や経済での状況打開策はいくらでもある。イランを攻撃するもっともな理由などないが、悪い理由はいくつかある。
悪い理由の最大のものはもちろん、2006年中間選挙がせまっている中でイラン攻撃はワシントンの雰囲気を一掃することだ。今やブッシュ政権の人気は最低だ。このままいけば2007年1月には民主党のジョン・コンヤーズが議会司法委員会の議長になるかもしれない。しかも召喚状を持って。
いまのところイラク戦争のときのシナリオと違うのは、ブッシュ政権自身はイラン攻撃、とくに核兵器を用いての、は考えていないと強く否定していることだ。
ではどうしてこう腹の底に嫌な気持ちがあるんだろう。
イギリスのガーディアン紙の記事に、元CIA対テロ作戦部長の話しとして、ブッシュはイランへの軍事行動への踏ん切りがまだついていない、ブッシュ自身のこころとの戦いがある、それにまた大統領主席補佐官のカール・ローブが全面的に反対しているからだと書いてある。しかし、秘密作戦はすでに始まっていて、何人かは殺されているそうだ。
ブッシュのこころの戦いだって?何人かが殺されているって?この何でもありのめちゃくちゃ世界で、私はカール・ローブとは全面的に同意見だ。本当に怖いのはすべてがこの不確定さにあるからだ。理性ある人間ならそんな悲惨な行動には走らないだろう、しかし、我々がこの数年間に観てきたことは、この政権の運転ではその理性が後部座席に追いやられていることだ。
今朝、イラン女性が経営する近所の素晴らしいカフェでコーヒーを注文した。彼女に、国が攻撃されたらどうなるかとずばっと訊くと。そんなことは起きないと言った。「クルッグマンの記事は読んだわ。でも彼らがそんなことやるはずない。狂っていないかぎり」
そりゃそうだ。狂って辞めるまで行ってないのは残念だ。
(訳文責:森田 玄)
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