水曜日, 4月 12, 2006

4月12日

ひさしぶりの投稿です。春はあまりにもすべてが早く変化するので、からだもこころも追いついていくのが大変。昨夜の嵐は予想以上で台風並みでしたね。今朝こどもたちを幼稚園に送りにいった先々で河川が氾濫していて、郵便局前は洪水状態で近寄れませんでした。こんなことはかつてなかったことです。わざわざ自然の形態を破壊してあらゆる水路をコンクリート堤にしてしまったつけがこういうときに回ってくるのですね。降った雨がいっきにコンクリート水路を通って流れてきたのです。山は自然のプールです。その保水性があるからこそどんな大雨でも洪水が防がれてきたのです。せっかく自然が与えてくれているものをお金を(税金)かけて捨てる人間の愚かさにはつくづく呆れます。

Peach Blossoms JPG

桜はほとんど散ってしまいましたが、桃が例年のごとく見事に鮮やかにはたけを飾ってくれています。そのとなりに梨の花が白く色添えしてくれました。大雨も田んぼには、特に100%天水頼りのわが棚田には、恵みの雨です。午後雨が上がったら早速代掻きをしましょう。ことしは、昨年収穫した「はえぬき」種と地元の方から新たに頂いた「ちば28号/ふさこがね」種を7日から水浸けしています。秋にはニュージーランド(当地では春)で稲作りの指導に行くことになっているので、今年はまさに二期作になるかもしれません。

世界政治の変化も大変なスピードで、これも追いついて行くのが大変。アメリカのブッシュ政権がイラン空爆に踏み切るか議論が沸騰しています。そのことで、私が好きなジャーナリスト、ウィリアム・リバーズ・ピットが、先の見えない不気味な不安感を今日のTruthoutに書いているので思わず訳してしまいました。

「どこまで彼らは狂っているか?」
ウィリアム・リバーズ・ピット 2006年4月11日
(原文)http://www.truthout.org/docs_2006/041106R.shtml

昨夜、ブッシュ政権のイラン攻撃計画の可能性についてボスと論争した。ニューヨーカー誌に載ったセーモア・ハーシュの記事に、彼はずいぶんとショックを受け落ち込んでいた。「やつらはやるつもりだ」と言う。
私はボスに言った。ブッシュ政権がやるとは思えない。そしてイラン攻撃がいかに馬鹿げているか、とくに核兵器使用なども含め、あらゆる理由を掲げて説明した。

イランには強力な軍隊がある。とくに音速の2倍以上で飛びイージス艦のレーダーをすり抜けるサンバーンミサイルを含むミサイル陣営があり、ペルシャ湾にいるアメリカ戦艦は簡単に標的にされるだろう。
イランと連結するイラク多数派のシーア派も呼応してただちに猛反撃するだろう。アメリカ国旗を掲げるものはすべて無差別に気違いのように攻撃してくるだろう。
イランと安全協定を結んでいるシリアも攻撃に参加するかもしれない。
イランと石油取引を最近はじめた中国も干渉してくるだろう。
イランの核開発をあるていど支持しているロシアも黙っていないだろう。
イギリスのブレア首相はイラン問題には関わりたがらないし、イタリアのベルスコーニも失職したようだ、スペインのアズナーはもういない。いまブッシュがそんなことをしたら孤立するだけだよ、と私はボスに言った。

通常兵器でさえそうなのだから、核使用などはとんでもない結果になる。地域を越えて拡大した大混乱は、なんとかタリバン関連の原理主義者たちの反乱を押さえ込んでいるパキスタンのムシャラフ政権の崩壊につながり、パキスタン自身の核兵器使用にもなる最悪のシナリオになる恐れがある。そうなればインドも自制心を失うだろう。

私の話しは説得力があったのだろう。ボスは気分をとり直して、その晩は別れた。10分後。ボスからメールで、NYタイムズに今日載ったポール・クルッグマンの記事が送られてきた。
それは「そう、彼はやるよ」という記事だった。そしてこう言っている;
『「でも彼はそこまでやらないだろう」とみなが思っていたからこそ、ブッシュはイラク戦争にアメリカを引き込むことができたのだ。しかも戦争の理由について何も説明なしに。アメリカ大統領が国民を騙して戦争を始めるなど多くのアメリカ人は信じたくない。常識あると自認する人は「彼はやるはずがない」と言う。しかし、イラク戦争がどうやって始まったかをその経緯を知れば、ブッシュ大統領がまた無計画で不必要な戦争を始める可能性を否定することは分別あることではない。それは考えが甘い。』

まいった。

戦争や死ということを考えると、「いったいこの人たちはどこまで狂っているのだろう」と自問せざるを得ないほどアメリカは相当ひどい状況にある。イランが核兵器を保有するにはまだ10年掛かるだろうというのが説得力ある通論だ。だから外交や経済での状況打開策はいくらでもある。イランを攻撃するもっともな理由などないが、悪い理由はいくつかある。
悪い理由の最大のものはもちろん、2006年中間選挙がせまっている中でイラン攻撃はワシントンの雰囲気を一掃することだ。今やブッシュ政権の人気は最低だ。このままいけば2007年1月には民主党のジョン・コンヤーズが議会司法委員会の議長になるかもしれない。しかも召喚状を持って。
いまのところイラク戦争のときのシナリオと違うのは、ブッシュ政権自身はイラン攻撃、とくに核兵器を用いての、は考えていないと強く否定していることだ。

ではどうしてこう腹の底に嫌な気持ちがあるんだろう。

イギリスのガーディアン紙の記事に、元CIA対テロ作戦部長の話しとして、ブッシュはイランへの軍事行動への踏ん切りがまだついていない、ブッシュ自身のこころとの戦いがある、それにまた大統領主席補佐官のカール・ローブが全面的に反対しているからだと書いてある。しかし、秘密作戦はすでに始まっていて、何人かは殺されているそうだ。

ブッシュのこころの戦いだって?何人かが殺されているって?この何でもありのめちゃくちゃ世界で、私はカール・ローブとは全面的に同意見だ。本当に怖いのはすべてがこの不確定さにあるからだ。理性ある人間ならそんな悲惨な行動には走らないだろう、しかし、我々がこの数年間に観てきたことは、この政権の運転ではその理性が後部座席に追いやられていることだ。

今朝、イラン女性が経営する近所の素晴らしいカフェでコーヒーを注文した。彼女に、国が攻撃されたらどうなるかとずばっと訊くと。そんなことは起きないと言った。「クルッグマンの記事は読んだわ。でも彼らがそんなことやるはずない。狂っていないかぎり」
そりゃそうだ。狂って辞めるまで行ってないのは残念だ。
                       (訳文責:森田 玄)

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