金曜日, 6月 06, 2008

アメリカ軍脱走兵

2003年のイラク戦争開始以来、なんと25,000人以上のアメリカ軍兵士が脱走兵として行方をくらましているそうです。軍当局との隠れんぼゲームに疲れはてて、そのうちの数百人がカナダに逃亡しているようです。

ジョシュア・ケイのJPG

24歳のアメリカ軍兵士ジョシュア・ケイは、2003年11月に数日の休暇をもらって本国に戻ったところで山に逃げ脱走しました。もうあのイラクの地獄には金輪際戻るつもりはありませんでした。それから数ヶ月間フィラデルフィアの郊外で妻のブランディと3人の子どもたちとひっそりと隠れていました。

「軍は、脱走兵があまりにも多いのとそれを取り締まる人間がいないので実際に捜査しようとしていません。でも逮捕状は出しているんです。ちょっとした違反で、駐車違反からでも警察は僕たちを追跡できるんです。そうしたら軍事裁判に掛けられます。いつも見張られているのは嫌なものです」とジョシュアは言う。

2005年、ジョシュアは母国で犯罪者としていることに耐えられず、カナダ国境を越えて難民申請をしました。

アメリカ国防省によれば、2003年のイラク戦争開始以来25,000に近い兵士が脱走しています。ほとんどの”良心的兵役忌避者”たちはアメリカでひっそり隠れることを選んでいます。正確な数字は分かりませんが、少なくても225人の脱走兵がカナダにいるようです。

ジョシュア・ケイは2001年9月11日の後、母国を守ろうとアメリカ陸軍に入隊しました。「最初はイラクでの作戦を信じてました。サダム・フセインは悪魔だから、彼から大量破壊兵器を奪わなければならないと。でも、みんなウソだったんです。誰もイラクにそんなもの見つけませんでした」

2003年、ジョシュアがバグダッド西の不穏区域の村ラマディに配属されたとき、もう二度とこの地獄には戻らないと決心しました。ジョシュアは200回以上イラク人の家屋を襲い、不法な殺人を数えきれなほど目撃しました。「数ヶ月であまりにも多くの惨劇を見てしまいました。アメリカ兵がイラク人の頭でサッカーをしているんです。僕は自分の国を守りたかった。無実の人を殺すことではありません」

どうして脱走兵たちがカナダを目指すのでしょう?
それはまず言葉が話せること。メキシコだとそうはいきません。
それと、過去、ベトナム戦争時代(1965〜1973年)にカナダは5万人のアメリカ脱走兵を受け入れた事実があります。1969年当時のピエール・トルードー首相はカナダは軍国主義からの避難場所であると宣言し、良心的兵役忌避者に永住権を認めました。

ところが現カナダ保守政権は脱走兵の受け入れを拒否しているのです。

カナダでの脱走兵は裁判でイラク戦争の不法性を訴えてカナダへの移住権を求めていますが、いまのところ98%の脱走兵は本国送還になっています。

6月4日TRUTHOUTから抄訳)

2 件のコメント:

ピエール さんのコメント...

この件で報告およびお知らせです。
まさにここに登場するジュシュア・キーが書いた『イラク 米兵脱走兵、真実の告発』(合同出版)を刊行しました。かなり反響をいただきました。それは、イラクにおいてももっとも危険といわれるレッドゾーンに配備され、狂気じみた米軍の蛮行を見聞きし、また米軍の嘘八百のリクルート事情や軍隊での訓練の様子などが書かれた内容はめずらしいからです。12月5日に本人はさすがに登場しませんが、この本の内容にそったトークイベントを行ないます。ぜひおいでください。
『イラク 米軍脱走兵、真実の告発』出版記念トークイベント
元米軍陸軍上等兵ジュシュア・キー氏が書いた手記の解説や、帰還兵との交流などがある高遠菜穂子さんと、戦う兵士へと洗脳されていくブートキャンプの様子を取材してきた影山あさ子さんのお二人との対談など。

日時 12月5日(金)18:45〜21:00(開場18:20)
●会場 文京区区民センター3C会議室(都営三田線春日駅A2出口真上)
●参加費 500円
●内容
1.「この本の意義と感動したこと」伊藤美好(本書・翻訳協力)
2.「ブートキャンプでいかに若者たちを戦う兵士に仕立て上げるか」映像と話し:影山あさ子(ジャーナリスト)
3.「米軍はイラクだけではなく、自国の兵士の心をも破壊した実態について」影山あさ子&高遠菜穂子のトーク/聞き役・吉岡 一
●問合せ03-3294-3506(合同出版・八尾)

森田 玄 さんのコメント...

ピエールさんへ

お知らせありがとうございます。そしてご出版おめでとうございます。合同出版社さんは私たちもお世話になっている出版社です。できれば当日参加したいと思っています。