5月22日、ある画期的な新エネルギー実験が大阪大学の名誉教授で文化勲章受章者の荒田吉明博士によって、多くの報道陣を前にして行われました。そして、予想された結果が得られ、この世界初の公開実験は成功裡に終わりました。
しかし、そこに招待されていた毎日、朝日、読売、NHKなどの大手マスコミは、これをニュースとして報道しませんでした。
なぜでしょう?
この実験は「常温核融合」と呼ばれる一種の核エネルギー実験です。
1989年3月、英国のフライシュマンとアメリカのスタンレー・ポンズがガラス瓶の中で常温核融合実験に成功したというニュースが世界中を駆け巡り、ついに夢の新エネルギーへの道が開けたかと世界中が興奮しました。ところが、しばらくしてほかの研究者が同じ条件で実験を試みてもうまくいかないという声が各地で起こり、実験結果を疑う報道が相次ぎました。結局は、アメリカのエネルギー省が「核融合によるエネルギーの発生が起こったという確証がない」と結論づけたため、あれはなにかの間違いだった、常温核融合などもともとない話しだ、ということになり、興奮は急激に冷めてしまいました。
つまり、エセ情報だったということになったわけです。それ以来、世界の、そして特にアメリカの科学ジャーナリズムは「この手の」実験研究に関する報道は「錬金術まがい」としていっさい御法度にしています。
では、肝心の科学学界、この場合は物理学界はどうかというと、常温(低温)核融合研究者を異端視することには変わりなく、研究論文がまともに学会誌や専門雑誌に取り上げられることはありません。
でも、1989年の衝撃的なニュースに影響されて、それ以来地道に研究をつづけている研究者たちが世界各地にいます。なぜなら、かれらは何度も通常では考えられない異常なエネルギー発生(中性子、高熱、光など)やヘリウムや各種元素の析出を自分の目で確認しているからです。じつは、もう常温核融合の研究者たちのあいだでは、核融合が起きていることは当たり前の事実であり、実験の再現性もほぼ100%になっているのです。常温核融合の国際学会である凝集系核科学国際学会(International Society for Condensed Matter Nuclear Science/ISCMNS)も設立され、毎年国際会議が開かれています。2005年11月には横浜で第12回凝集系核科学学会国際会議が開かれ,私も初日だけ参加しましたが、このときも日本のメディアはいっさい触れませんでしたね。日本にも1999年にCF(固体内核反応)研究会(Japan CF-Research Society)ができています。今回の公開実験をおこなった荒田吉明博士はJCFの顧問をされています。
さて、今回の阪大の常温核融合公開実験ですが、この手の実験を公開で行うこと自体、実験の再現性によほど自信があったことが分かります。荒田博士としては、この機会にエネルギー物理学界に風穴を開けたかったのでしょうが、肝心のマスコミがまったくの無関心で無視し、したがって物理学会もノーコメントとなった次第です。
メインストリームの物理学界が、常温核融合研究者を異端視するには別の理由があります。水素の核融合によって夢のエネルギーを得ようという考えは、もともと太陽エネルギーをこの地上で再現させようという意図からきています。太陽表面にはたくさんの水素ガスとヘリウムガスが存在していることが知られていますが、重水素ガス同志が融合してヘリウムに変換し,その際莫大なエネルギーが発生すると今の科学は考えています。宇宙の星が輝いているのは、核融合のエネルギーだというのです。
その「人工太陽」計画がITER(イーター)計画で2006年中国、EU、アメリカ、韓国、日本、ロシア、インドの7カ国が協力して取り組むことを決めました。日本も莫大な資金を提供しています。ITERとはInternational Thermonuclear Experiment Reactorつまり国際熱核実験炉のことです。
さて、単純に常識で考えても、そもそもものが創られる反応行程でエネルギーが出るなどと言うことはあり得ません。ものとものとをくっつけるにはエネルギーが必要ですね。水素原子核と水素原子核同士をくっつけると(融合)、どうしてそこからエネルギーが出てくるのでしょう??物事の道理は反対ではないでしょうか。ものを創る(融合)するのには力や熱(エネルギー)が必要です。そして、創ったものが分解(分裂)するとエネルギーが出てくる・・・つまり、エネルギーを放出する反応行程はたったひとつ、それは分裂崩壊反応のみ・・・これが常識であり、ものの道理です。
核融合反応とは、核分裂があるのなら核融合もあるだろうという単純な思いつきから出発したものです。この両者は一つの反応行程の表裏反応とも言えるのに、どうして両方ともエネルギーを出す反応なのでしょう。片方がエネルギーを出す反応なら、もう片方はエネルギーを消費する反応でなければならないのは”科学”の道理ではありませんか。私たち生物は水と二酸化炭素を融合させて糖(グルコース)を創造し、そのグルコースが分解するときに放出されるエネルギーによって運動能力を獲得しています。では、はたして水と二酸化炭素を結合させるときにエネルギーが放出されるものでしょうか?
人工太陽計画ITERは、その基本的なところで大きな間違えをしているのではないでしょうか。
金属に重水素ガスを吸わせて行くと、金属はその質量分のガスを吸蔵すると言う不思議な性質(水素の吸蔵現象)を持っています。そのガスを吸蔵した金属電極に微弱電流を流すと、実験の再現性はわるいものの、ときおりものすごいエネルギーを放出して金属電極は溶解してしまいます。そのとき、トリチウム(H3)ヘリウム3(He3)などの核反応育成物やγ線や中性子線などの放射線が検出されることから、低温核融合(Cold Fusion)の研究者たちは重水素が核融合した際に熱エネルギーが放出され、その副産物として放射能や核反応育成物が生産されたと考えています。
一方で、人工太陽計画ITERを押し進める物理学界メイン勢力の熱核融合研究者たちは、低温核融合を非難し、今回の公開実験のような動かし難い歴然とした事実を無視して、それが化学反応による現象であると一方的に決めつけています。
化学反応で放射線が出てきたり、電極を一瞬に溶かしてしまうような熱エネルギーが放出されるはずもありません。物理学界はなぜ低温核融合を頭から否定し、その科学的事実を認めようとしないのでしょうか?
ところで、熱核融合理論にとって、その正当性の根拠と呼べるものは水素爆弾(核融合爆弾)という絶対的な真実ただひとつだけなのです。
実際に爆弾が完成しているのだから実験もいつか成功するだろう、この理論には間違いがないと、熱核融合研究者たちはそう信じて研究をつづけています。でも、1954年3月ビキニ環礁で最初の水爆が爆発して以来すでに50数年もの歳月が流れているのに、今だにただの一度も熱核融合を実験的に成功させた試しはありません。
よく知られているように、原子爆弾は実験室で核分裂連鎖反応が確認されたあと、翌年(1945年)に完成された爆弾です。しかし、水素爆弾は核融合連鎖反応が実験的に確かめられる前に、突然爆弾の方が先に完成したものです。その後50年の年月が経過して、いまでは2億度の高温レーザー核融合炉を持っているのに、依然として熱核融合実験は成功していません。
そもそも、水素爆弾とは中身の原子爆弾を爆発させて、そのときに生じる1億度という高温高圧下で熱核融合を引き起こし、二次的な大規模爆発を誘発させるというもくろみの爆弾です。水爆には起爆剤となる原爆が入っているので、とりあえず爆発はしますが、核融合連鎖反応がじっさいに起こったかどうかは確認がきわめて難しいという”いわく付き”の代物です。もしかしたら中身の原爆だけが爆発しただけかもしれません。実際のところ、爆発力の推測理論値に対して実測値があまりにも小さく、そのためその後に何百回もの核実験が行われています。でも水爆と認められるような数百メガトンという核実験はどこの国でも成功していません。ましてや、軍が水爆実験が失敗したなど正直に認めるはずもありません。
もしかしたら、もともと熱核融合理論が間違っていて、水素爆弾などできるわけもなく、それらは軍事勢力を誇示しようという軍部の”真っ赤なうそ”ということはあり得ないでしょうか?水爆という特殊な爆弾などそもそもどこにも存在しないのでは?
熱核融合理論は質量とエネルギーが等価であるとしたアインシュタインのE=mc2の定理が基礎になっていますが、この方程式は、そもそも、原子核に潜在するポテンシャルエネルギーがこのくらいすごいものだという比喩表現に過ぎません。
水素原子に過剰な熱エネルギーを与えれば,水素はますます励起して個々の運動エネルギーを増大させ、電子をはじき飛ばして高温のプラズマ状態になることは知られています。では、そんな興奮状態の水素原子がおとなしく融合するはずがないことは、常識から判断しても、理屈から言っても、当然でしょう。
では、水素原子をおとなしく融合させるためには一体どうしたらよいのでしょうか。もちろん、それは冷却して圧縮するのが正解です。昔からある”漬け物の原理”にしたがうことです。ですから水素原子が核融合したところで、その時点でエネルギーが放出されるわけではありません。エネルギーがでるためには、なにかもうひとつ他のプロセスを想定しなければなりません。
実際、水素原子同志が核融合したらどうなるのか、という研究者を悩ましている未解決の問題があります。要するに核融合理論はいまだ確立していないのです。
そこで、核融合育成物として陽子と中性子がペアーになった重水素原子核が連鎖的に超密度に結合した”重列元素”というものを想定すると、この謎が解決するのです。このあらゆる元素の母元素とも呼べるのものは、超密度の高エネルギ-状態の超物質であり、制御コントロールをしないかぎり分裂崩壊をし続けます。太陽が膨大なエネルギーを瞬間瞬間だし続けるのはこの”重列元素”の核崩壊によるものだと考えられます。
低温核融合研究者たちの報告によると、実験のあとに残った物質を分析すると、金、銀など無数の元素が発見されています。それらの元素の混合比は、この宇宙の物質の成分比と同じだそうです。
この事実は、核融合によって超物質である”重列元素”がまず生成され、それが分裂崩壊してエネルギーをだし、あらゆる元素を生んでいることを示唆しています。重列元素こそ星の生成の元になるものだと考えられるのです。
この先の話しはまた次の機会に。
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